補足
コの業界を目指す大学生へ(前編) コの業界を目指す大学生へ(後編) と2度に分けてIT業界(コの業界)への就職を希望する学生に向けてのお話をしてきました。これはあくまで、パソコンを授業やレポート作成で触った程度の学生をターゲットにしています。そういうレベルでもチャレンジすることも、やっていくこともできる世界であると。もちろん文系の学生でもかまいません。前編、後編を読んで疑問に思われる点と、本題に関係ないおまけ話をここで書きたいと思います。
Macintosh(Mac)
後編で、技術的準備をするところで、WindowsとLinuxのインストールや環境のインストールの話を書きました。そこでMacintoshではダメなのか?と思われるかもしれません。学校でMacintoshを使っている人は特に不安になるでしょう。それには大きな理由があります。MacはハードウェアとOSでワンセットである。そして高い。
Macは原則として、ハードウェアとOSがワンセットで売られています。OSだけを購入する(そして自作PCにインストールする)ことはできません。ハードウェアとOSがワンセットなので、OSをインストールするという機会もないでしょう。それは単なるリカバリです。そして、Macは高価です。性能が低いものでも10万円以上します。一方でWindows搭載マシンは2万円台から購入できます。今は、自作のほうが高く付きますが、4万円位で組み立てられます。それに、WindowsとLinuxの両方の練習をすることができます。それさえできれば、Macは業界に入ってから使っても間に合います。また、普段遣いのPCにインストールしてデュアルブート點せたらどうかという話もありますが、OSのインストールや環境設定をやっていると、最初のうちは失敗して、二度と起動できなくなってしまい再インストールを余儀なくされることも多々起こります。その間、普段遣いのPCも使えなくなります。さらには、それでハードディスクやSSDをクラッシュさせてしまうかもしれません。デュアルブートで使っていると、普段の作業もできなくなってしまいます。その意味でも、どうなってもいいPCがあると安心です。IT業界はスーツや革靴は必要ないので、その資金をPCに充てましょう。
Macは仕事にならない
これは昔話で今はそんなことはありません。MacOSも非常に安定した素晴らしいものになり、ほとんどのアプリケーションがWindows版、Mac版、Linux版(は一部を除くが)といずれも揃うようになったきました。一般業務に関してなら、Windowsを使おうがMacを使おうが変わりはほとんどありません。私がデビューした頃は違います。WindowsもMacも今ほどは安定して動作しませんでした。特にMacは、アプリケーションがエラーを起こすと下のようなメッセージが出ます。
右下に「Restart(再起動)」とあるように、ここから復帰するにはOSを再起動させるしかないのです。Windows10でアプリがトラブったときは「応答なし」などとなり、そのアプリを落とせば他のアプリやOSは影響は受けません。しかし、この頃はアプリケーションのエラーなのにOSを道連れにするという非常にこまったものでした。しかもこれが頻発するのです。うっかりセーブをし忘れて他のアプリが落ちたためにそれまで作業が台無しになるという苦い思いをした人も多かったものです。
しかし、それ以上に深刻な問題がありました。Macのシェアが絶望的に低かったのです。今のMacのシェアは15%くらいだそうです。しかし、筆者がこの業界に入ったときはちょうどアップルコンピュータ社の迷走期でもあって、シェアは数%ほどにまで落ち込みました。筆者は当時はWindows95搭載のNEC-PC9800と、PowerMacの2台を使っていました。当時の開発環境は、Windowsは今もあるVisual Studio、MacではCodeWarriorというものでした。Windows版のアプリが好評だったときに、Mac版への移植という話はしばしばでましたが、利用者があまりにも少ないのです。趣味であるならたとえ利用者が自分ひとりだけであっても作ることもありますが、仕事となると金にならないことはやれません。次第にMacの開発からは遠ざかってしまい、そのまま今に至っています。
しかし、今ではMacの利用者も増えていますので、Mac上での開発も必要とされています。
そんな昔話をちょこっとだけしてみました。