Fivetran Connector SDK について
Fivetranは既に700以上の多種多様なConenctorを用意していますが(2025年8月時点)、「自社独自のシステム」や「まだ公式コネクタがないサービス」からもデータを取り込みたいケースがあります。Fivetran Connector SDK は、Fivetran が提供するデータ統合基盤において、「自分たちで独自のデータコネクタを開発できる仕組み」です。
なぜFivetran Connector SDK が優れているか
- 統一的なフレームワーク:コネクタ開発に必要な基本構造が標準化されており、学習コストが低い。
- Fivetranの機能を活用:状態管理、エラーハンドリング、インライン変換、スキーマ管理といった「データパイプラインで必須の要素」をSDKが担保。
- プロダクション対応の堅牢性:一度作れば、大規模データやエンタープライズ用途にも適用できる。
- 柔軟なソース対応:認証付き/認証なしAPI、データベース、ファイルなど、Pythonで扱えるデータならほぼ何でもOK。
Connector SDK + AI = 爆速
Connector SDKとAIツールを組み合わせれば、簡単にコネクタを作れます。Fivetran Blogでは、実際にFDA(米国食品医薬品局)の食品衛生監視APIをFivetranに連携するコネクタを、AIの力を借りて開発した事例をご紹介しています。
SDK自体は強力ですが、ゼロからコネクタを作るとやや時間がかかるのも事実。ここで Cursor AI のようなAIコーディング支援ツールを組み合わせると、
- 初期実装のスピードが爆速化
- 定型的な処理(ページネーションや認証処理)の実装を自動生成
- 繰り返し改善も容易
という大きなメリットが得られます。
AIアシストでの開発プロセス(例:Cursor AI)
1. プロンプト設計(Prompt Engineering)
- notes.txt、agent.md、fields.yamlといったコンテキストファイルを用意し、Cursor AIに渡す
- プロンプトは明確な要求を細かく記述(例:「日付によるインクリメンタル同期」「JSONの自動フラット化」「リトライ付きの堅牢なエラーハンドリング」など)
- @file_name形式で、外部ファイルの参照も指定可能
2. Cursor AI が生成したコード内容
- ページネーション対応、バッチサイズ可変設定、認証・非認証両対応、スキーマ推測、自動JSON展開など、多岐にわたる高度な機能が実装されたコネクタが生成される
AIアシスト開発の全体像(例:Cursor AI)
1) プロンプト設計
プロジェクトに以下のコンテキストファイルを用意し、@file_name
でプロンプトに取り込みます。
-
notes.txt
: API仕様・要件のメモ -
agent.md
: 開発ベストプラクティスやガイド -
fields.yaml
: サンプルデータや想定スキーマ - (Cursorのノートに Fivetran Connector SDK の System Instructions を貼って参照してもOK)
要件の例(日本語意訳)
-
report_date
による日付ベースのインクリメンタル同期 - ページネーションと設定可能なバッチ処理
- 認証あり/なし双方のレート制御とクォータ管理
- ネストJSONの自動フラット化
- 日付文字列のISO形式への正規化
- リトライ付きエラーハンドリング
- 状態管理(再開可能な同期)
重要: 最初のプロンプトをできるだけ具体的に書くと、後工程の手戻りが減ります。
2) Cursorが生成した実装の要点
-
設定管理: 例)
api_key
,base_url
,batch_size
,rate_limit_pause
などをJSONで管理 - 認証/非認証の両対応: 開発では非認証でも十分叩けるAPI(FDA)を利用可能
- 堅牢なエラーハンドリング: リトライ(指数バックオフ相当)を実装
- JSONフラット化: ネスト構造→分析しやすいテーブル形へ
-
インクリメンタル同期:
report_date
での範囲検索(例:YYYYMMDD
レンジ) - レートリミット意識: APIキー有無で待機時間を調整
- 状態管理: チェックポイントを記録して再実行に備える
3) ローカル実行と検証
- 依存関係インストール →
fivetran debug --configuration configuration.json
- 取得・ページネーション・レート制御・フラット化が動作
- 取得データはローカルで(例:DuckDBなどで)目視確認
うまくいった点 / 課題
良かった点
- 雛形から一気通貫のコネクタ(
connector.py
,requirements.txt
,configuration.json
, README)が生成 - リトライやレート制御など実運用の定石が反映
- 開発/本番両モードを想定した設定柔軟性
課題(要追加実装)
-
テスト戦略: Fivetranの
debug
に適したユニットテストの生成精度 - モニタリング: 本番向けのログ粒度/指標設計
- パフォーマンス: バッチサイズ最適化などのチューニング
本番適用の考慮点(例)
- 環境別設定: 本番は待機長め・全量、開発は待機短め・バッチ上限あり
- 監視/アラート: バッチ件数、処理時間、総処理件数等をログ出力
- グレースフルデグレード: 致命的失敗時は通知して安全に停止
-
デプロイ:
fivetran deploy ...
(APIキー/接続/構成を指定)
実際の工数感
-
30分未満: インクリメンタルロード、ローカル
debug
、DuckDBでのデータ確認、Fivetranへのデプロイ - +1時間程度: レビュー・テスト・微調整
意訳のため正確な情報は以下を参照してください。