はじめに
デジタル技術の進展に伴い、著作権の重要性はますます高まっています。エンジニアやウェブデザイナーにとって、著作権の理解と対策は避けて通れない課題です。創作物やプログラムコードの保護はもちろんのこと、第三者の著作物を利用する際の法的リスクを回避するためにも、最新の著作権動向を把握し、適切な対策を講じることが求められます。
このガイドでは、エンジニアやウェブデザイナーが直面する具体的な著作権問題とその対策について解説します。今まで完璧に著作権について理解していなかった人のためにも、著作権の基本理解から始め、最新の事例や実際の法改正がどのように業界に影響を与えるかを説明していきます。
著作権への理解を深め、安心して創作活動を行うために、このガイドを見ていきましょう。
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本記事の執筆者は法律に関する専門家ではないため、法律などに関する解釈は正確ではない可能性があります。
誤っている点、気になる点についてはコメントをぜひお願いします。
また、この記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属企業を代表するものではないことのご理解お願いします。
著作権とは
著作権は、創作者が自らの作品を保護し、その使用をコントロールするための法律的な権利です。これには、文学作品、音楽、映画、美術、プログラムコードなど、様々な創作物が含まれます。著作権は、作品が創作された瞬間から自動的に発生し、日本では創作者の生涯とその後70年間保護されます。1
著作権の目的
著作権の主な目的は、創作者に対してその作品の使用に関する独占的な権利を付与し、創作活動を奨励することです。これにより、創作者は自身の作品から経済的利益を得ることができ、さらなる創作活動を続けるインセンティブを持つことができます。1
権利の範囲
著作権は、複製権、上映権、公衆送信権、翻訳権、改変権など、多岐にわたる権利を含みます。これにより、著作権者はその作品がどのように使用されるかを制御し、不正使用に対して法的措置を講じることができます。1
ちなみに、Qiitaのヘルプページ(こちら)にも、著作物を引用する際の注意点について書かれています。
著作権?どうせ私には関係ないでしょ
いやいや、そんなことはありません。ウェブデザイナーはもちろん、エンジニアにとっても重要な話です。実際いくつかの問題となった例を見ていきましょう。
1. GitHub Copilotと著作権問題
2022年10月、GitHub Copilotに対する著作権侵害の集団訴訟がアメリカで提起されました。この訴訟では、Copilotがオープンソースコードを無断で利用し、著作権を侵害していたと主張されています。訴訟はマシュー・バタリック弁護士とジョセフ・サヴェリ法律事務所によって提起され、GitHub、Microsoft、OpenAIを被告としています。現在もまだ進行中の訴訟です。
Copilot、非常に便利ですよね。2022年6月にリリースされた、AIがコードの続きを候補として提案してくれる機能です。しかし、これをそのまま使用してしまって良いのでしょうか。一体何が問題なのか、見ていきましょう。
何が問題なのか??
GitHubの公開されているコードのほとんどには、MIT License、GPL、Apache Licenseなどのオープンソースライセンスが提供されています。これらのライセンスを明示すれば、誰でもそのコードを利用可能となります。
ところが、GitHub Copilotの出力するコードにはライセンスが明示されていないため、ユーザーはどこのライセンスに帰属するコードか知らないまま使用しています。
これにより、無断でコピーされたコードがCopilotによって生成されるため、著作権とライセンス違反が疑われており、これが著作権を侵害しているというのです。
エンジニアへの影響
エンジニアは、著作権侵害とならないために、Copilotが生成するコードをそのまま利用するのではなく、無断使用を避けるための適切なライセンス管理が必要です。使用によって直接訴えられるリスクは低いかもしれませんが、AIの使用により著作権侵害になるかもしれない、という意識を持つことは重要です。
また、自身が制作したコードにおいても、コードが無断使用されないよう、ライセンス条件を明確にし、後の章でも示すような対策を講じておくことが重要です。234
2. Stability AIとデザイン著作権の侵害
2023年1月、アーティストのサラ・アンダーセン、ケリー・マクナーナン、カルラ・オルティスが、Stability AI、Midjourney、DeviantArtに対して集団訴訟を起こしました。これらの企業が彼女らの作品を無断で使用し、AI生成ツール(Stable Diffusionなど)のトレーニングデータとして使用したと主張しました。
この集団訴訟は、一部同年10月に裁判所より棄却されていますが、Stability AIに対する訴訟については訴状を修正し問題を追及する事が認められました。
現在は訴訟に新たに7名が加わり、修正訴状では、AIのトレーニング対象になったとされている作品のアーティストたち(約4700人)のリストが証拠物として提出され、話題となっています。
何が問題なのか???
原告側は被告企業により開発された画像生成AIが、著作権で保護されている数十億の画像を、アーティストの同意や補償なしにダウンロードした上でトレーニングに用いていると考えています。
これにより直接的な著作権侵害、偽造に関連する間接的な著作権侵害、デジタルミレニアム著作権法違反、パブリシティー権の侵害を主張し損害賠償と差し止めを求めています。
似たような訴訟で、2023年1月、大手フォトストックサービスであるGetty ImagesもStability AIに対して知的財産権の侵害を主張しています。これは同年12月に、Getty Imagesの主張に正当性があるとして裁判所は次の段階の審理に進むことを認めています。
ウェブデザイナーへの影響
近年の画像生成AIの台頭により、AIを使用したデザインを考えているウェブデザイナーもいるかもしれません。その場合、ウェブデザイナーはAIツールを使用する際に、そのトレーニングデータの出所とライセンス条件を確認する必要があります。
また、自身のデザインが無断で使用されないように、後の章でも示すようなオンラインでの管理と保護を強化することが重要となってきます。5
3. Instagramの埋め込み画像と著作権侵害
2023年7月に、写真家のアレクシス・ハンリー氏とマシュー・ブラウアー氏が、自身がInstagramに投稿した画像が、ニュースサイトの記事内に埋め込み機能を用いて使用され、これが著作権侵害に当たるという訴えを主張しました。ハンリー氏の投稿した写真は、Instagramの埋め込み機能を用いてニュースメディアであるBuzzFeed Newsに使用されており、ブラウアー氏の投稿した写真は同様にTimeに埋め込んでありました。
しかしカリフォルニア裁判所は、Instagramの埋め込みリンクを利用して写真を表示する行為が著作権侵害には当たらないとする判決を下しました。この判決は、埋め込みリンクが直接的な著作権侵害を構成しないという重要な先例となりました。
何が問題なのか??
両氏は、BuzzFeed NewsやTimeなどの第三者サイト以外にも、Instagram側も著作権侵害を阻止するための工夫が施されておらず、画像埋め込み機能を用いて、サードパーティのウェブサイトを意図的に支援、誘導したとし、Instagramに対して著作権侵害や著作権侵害のほう助に基づく訴訟を提起しました。
裁判所は、画像が第三者のサーバーに保存されていないため、直接的な著作権侵害とは認めなかったものの、Instagram自身はすでに2020年に公式の見解として、「埋め込み機能を使っても、著作権侵害に当たる可能性がある」という内容を示しています。
ウェブデザイナーへの影響
コンテンツを埋め込む際には、その著作権者の許可を得ることが重要です。特に商用サイトでは、埋め込みコンテンツのライセンス条件を確認し、無断使用を避けるための対策を行う必要があります。さらに、法律の変更や新しい判例に注視し、常に最新の情報を把握することが求められます。67
これらの事例から、エンジニア・ウェブデザイナーにとっても著作権が大きな問題になるということが分かったかと思います。
次に、当たり前に思ってしまっている箇所においても著作権については気をつける必要があります。見ていきましょう。
あなたのSNS、大丈夫?
エンジニアやウェブデザイナーがSNSで発信する場合、アニメのキャラクター画像や他の無断使用された画像をアイコンや投稿に使用しているケース、良く見るのではないでしょうか。当たり前となってしまっているような気がしますが、これにももちろん著作権侵害のリスクがあります。以下に具体的な例とその対策について説明します。
アニメキャラクターの画像使用
アニメのキャラクター画像をSNSのアイコンとして使用する行為は、著作権者の許可がない限り、著作権侵害に該当します。
例えば、人気アニメのキャラクター画像を公式の許可なしに使用すると、著作権者から削除要請や法的措置を取られる可能性があります。
意図せず設定してしまっている人も多いため、現在は黙認されているような状況ですが、リスクを限りなく負いたくなければ以下の対策を取るべきです。
・公式ライセンスの確認: 使用したい画像が公式に配布されているフリー素材かどうかを確認します。公式サイトやSNSアカウントでライセンス情報を確認することが重要です。
・フリー素材の利用: 著作権フリーの画像素材サイトから適切なアイコンを選ぶことで、著作権侵害を防ぐことができます。
・自作画像の使用: 自分で作成したオリジナルのイラストやデザインを使用することで、著作権の問題を避けられます。ただ、キャラクターをイラストで書いた場合でも著作権侵害に当たる可能性はあるため、注意が必要です。
SNSでの無断画像使用
Twitter(現X)で他人の画像を無断で使用したいわゆるネタツイや、記事を投稿する際に著作権のある画像を使用することも、著作権侵害に該当します。
例えば、ニュース記事のスクリーンショットや他人の撮影した写真を無断で使用することは問題です。こちらも現在は黙認されているような状況ではありますが、著作権侵害のリスクを考えると以下の対策を取るほうが良いでしょう。
• 引用の遵守: 画像を使用する場合、著作権法の「引用」の要件を満たすようにします。これは、出典を明示し、使用する範囲を必要最低限にすることを意味します。
• 著作権フリー素材の利用: 無断使用を避けるために、フリー素材サイトから画像を入手することが推奨されます。
• リンクの使用: 記事や画像の紹介には、画像そのものを投稿するのではなく、元のページへのリンクを共有することで著作権侵害を回避できます。
エンジニアやウェブデザイナーは、SNSでの画像使用において著作権を尊重することが重要です。アニメのキャラクター画像や他人の画像を無断で使用することは著作権侵害に該当し、法的リスクを伴います。公式の許可を得る、フリー素材を利用する、またはオリジナルのコンテンツを作成することで、適切な著作権管理を行うことが推奨されます。
ここからは、エンジニア・ウェブデザイナーに深く関わってくる内容でどのような点を気をつければよいかについて考えていきます。
自分の作ったコードならどう使っても大丈夫?
著作権とは本来、そのものを生み出した人に対し与えられるものです。
ですが、エンジニアが作成するコードに対しては、必ずしもそうとは限りません。
自分が作成したコードであっても、その使用に際してはいくつかの注意点があります。
1. 勤務中に作成したコードは?
会社の勤務時間中に作成したコードは、雇用契約に基づき会社に帰属することが多いです。例えば、あなたが企業のプロジェクトで作成したWebアプリケーションのコードを個人的なプロジェクトで再利用することは、会社の許可がない限り違法となる可能性があります。8
雇用契約や社内規定を確認し、必要に応じて上司や法務部門に相談することが重要です。
2. 業務委託で作成したコードは?
業務委託で作成したコードは、契約内容によってはクライアントに著作権が帰属することがあります。以下の図は、業務委託の典型的な関係を示しています。
この図のように、A社がB社に業務を発注し、B社がエンジニアに業務を依頼します。エンジニアが作成したコードは、契約によってB社に帰属し、さらにA社に納品される場合があります。この場合、エンジニアがそのコードを他のプロジェクトで使用するには、A社およびB社の許可が必要です。9
契約書を確認し、著作権に関する条項を明確に理解することが重要です。不明な点がある場合は、法的アドバイスを求めることをお勧めします。
3. オープンソースプロジェクトにおけるコードは?
オープンソースプロジェクトに貢献したコードは、そのプロジェクトのライセンス条件に従う必要があります。
例えば、GNU General Public License (GPL)の下で提供されているソフトウェアに貢献したコードを、別のプロジェクトで使用する場合、そのプロジェクトも同じGPLライセンスを適用しなければなりません。10
ライセンス違反は法的トラブルを引き起こす可能性があるため、貢献する際にはライセンス条件をよく理解しておくことが重要です。
4. 他のソフトウェアの一部として提供されたコードは?
自分が作成したコードが他のソフトウェアの一部として提供されている場合、そのソフトウェアのライセンス条件を遵守しなければなりません。
例えば、商用ソフトウェアに組み込まれたコードをオープンソースプロジェクトで再利用する場合、その商用ソフトウェアのライセンスが許可しているかを確認する必要があります。11
誤ってライセンス条件を無視して再利用すると、著作権侵害として訴えられるリスクがあります。
5. 自身のプロジェクトでの再利用は?
自身の複数のプロジェクト間でコードを再利用する場合でも、そのコードが他のライブラリやAPIから派生している場合は注意が必要です。
例えば、MITライセンスのライブラリを使用して作成したコードを再利用する場合、そのライセンスの条件に従って元の著作権表示を保持する必要があります。また、自分が開発したコードであっても、第三者のライブラリを使用している場合は、そのライセンス条件を守ることが重要です。11
これらのポイントを理解し、適切に対応することで、法的リスクを避けながら安心して自身のコードを活用することができます。
AIによって著作権は変わった?
AI技術の進展により、AIが生成したコンテンツの量が急速に増加しています。
特に、AIの生成した作品が著作物として保護されるかどうかが議論の中心となっています。
先に紹介した事例の多くにもAIが関わっています。AIによる著作権への影響を見ていきましょう。
アメリカの動向
アメリカでは、フェアユースの概念が拡大され、AIによるコンテンツ生成や情報解析に関する法的枠組みが整備されつつあります。フェアユースを簡単に説明すると、著作権のあるものでも、オリジナルのものから違う価値を見出して示すことができれば、著作者の使用許可なしに使用することができる、というものになります。特に、Andy Warhol Foundation v. Goldsmithの判決は、フェアユースの適用範囲に関する重要な先例となりました。12
また、2023年3月16日に米国著作権局が発表したガイダンスでは、著作物として保護されるためには「人間」による創作物であることが求められ、コンピュータは補助的な役割にとどまる必要があるとしています。AIが生成したコンテンツに人間がアレンジを加えた場合、その部分のみが著作権で保護されます。そのため、登録の際には、AI生成部分を明示的に除外する必要があります。13
日本ではフェアユースの概念は導入されていないものの、急速に拡大するAIに対して議論は多く広げられています。そのため、最新の法改正14に順応していくことが大事です。
AIによる著作権に対する考え方の変化
伝統的な著作権の枠組み
従来、著作権は人間が創作した作品に対して付与されるものでした。しかし、AI技術の進化により、著作権の適用範囲について再評価が必要となっています。
著作権法の適用
AIが生成したコンテンツに対しては、以下のような考え方が提案されています。
• 補助的役割: AIは人間の創作を補助する役割にとどまり、主要な創作は人間によるものとする。
• アレンジの重要性: AIが生成したコンテンツに人間がアレンジを加えることで、そのアレンジ部分が著作権で保護される。
著作権登録のガイダンス
著作権登録の際には、AIが生成した部分と人間が創作した部分を明確に区別する必要があります。AI生成部分は著作権の対象とならないため、登録から除外する必要があります。13
具体的な対策
ライセンスの明確化
エンジニアやウェブデザイナーは、AIを利用する際に使用するデータのライセンスを確認し、適切な使用許可を得ることが重要です。これにより、データの無断使用による著作権侵害を防ぐことができます。例えば、オープンソースコードを使用する際には、そのライセンス条件を厳密に確認する必要があります。14
AI生成物の管理
AIが生成したコンテンツを使用する場合、その生成プロセスと使用範囲を明確にし、人間がどの部分に創作的関与を行ったかを記録します。特に、著作権登録を行う際には、AI生成部分を明確に除外し、人間が創作した部分のみを記載することが求められます。15
著作権侵害のリスク管理
生成AIによるコンテンツを利用する際には、著作権侵害のリスクを最小限に抑えるためのリスク管理が必要です。例えば、AIが生成したコンテンツを商業利用する前に、専門の法務部門や知的財産の専門家に相談し、法的リスクを評価することが推奨されます。16
AIが著作権に与えた影響を理解することができたと思います。
うまくAIを活用しつつ、著作権侵害とならないよう気をつけていきましょう。
ここからは、実際にどのような対策を取って気をつけていくべきか、見ていきましょう。
著作権対策の実践方法
著作権の理解と適切な対策は、エンジニアやウェブデザイナーにとって重要です。この章では、具体的な著作権対策の実践方法について解説します。
1. ライセンスの理解と選定
オープンソースライセンスの選択
オープンソースプロジェクトを使用する際には、そのライセンスを理解し、適切なライセンスを選ぶことが重要です。MIT、GPL、Apacheなどのライセンスはそれぞれ異なる条件を持つため、プロジェクトに最適なものを選びましょう。17
コードのリポジトリにライセンスファイルを必ず添付し、どのライセンスを適用しているか明確にしましょう。また、各コードファイルの冒頭にライセンス情報を記載し、使用条件を明示します。これにより自らのコードがどのライセンスに基づいているかを周りに知らせることで、不正に使用されるリスクを減らすことができるでしょう。
クリエイティブ・コモンズの活用
クリエイティブ・コモンズ(CC)ライセンスを使用することで、著作物の使用条件を明確に示すことができます。例えば、CC BY(表示)、CC BY-SA(表示・継承)など、用途に応じて適切なライセンスを選定します。18
2. デジタル著作権管理
DRMツールの導入
デジタルコンテンツを保護するために、デジタル著作権管理(DRM)ツールを導入することを検討しましょう。これにより、コンテンツの無断コピーや不正利用を防止できます。19
DRMツールでは、アクセスを制御するための機能や、コピー制限機能などが実装されています。
例として、Adobe Digital Editions20では、著作権保護された電子書籍のアクセスとコピーを制御し、許可されたデバイスでのみ閲覧できるようにする、という機能が備えられています。
ウォーターマーキング
画像や動画にはウォーターマークを追加することで、不正使用を抑止し、著作権者の識別を容易にします。21
例として、中央に「© [フォトグラファーの名前]」と薄く表示されている写真を見たことがある人もいるのではないでしょうか。写真、画像、動画などにウォーターマークを追加することで、不正なコピーや再利用を防ぎます。
3. 自動化ツールによる著作権管理
著作権侵害の検出
Copyscape22やTinEye23などのツールを使用することで、ウェブ上で自身のコンテンツが無断使用されていないか定期的にチェックすることができます。
Copyscapeはウェブサイトのコンテンツが他のサイトで無断使用されていないかを検出するためのツールで、URLを入力するだけで、コピーされた可能性のあるページを迅速に特定することができます。
TinEyeは、画像の逆画像検索を提供するツールで、アップロードした画像や画像のURLを基に、同じ画像がインターネット上でどこに掲載されているかを特定することができます。
コンテンツ管理システム(CMS)の活用
WordPress24やDrupal25などのCMSを利用することで、コンテンツのライセンス情報を管理し、適切に表示することができます。以下に具体的な機能を一部紹介します。
CMSには、コンテンツのライセンス情報を表示するためのプラグインが多数存在します。例えば、WordPressには「Creative Commons License Manager」や「Easy Digital Downloads」などのプラグインがあり、コンテンツに対して適用されるライセンス情報を簡単に設定・表示できます。
・Creative Commons License Manager: コンテンツにクリエイティブ・コモンズライセンスを適用し、ライセンスバッジを表示できます。
wpbeginner:WordPressでクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの画像を検索して挿入する方法
・Easy Digital Downloads: デジタル製品の販売に適したプラグインで、ライセンス情報や利用規約を設定・表示できます。
CMSのカスタムフィールド機能を使って、各コンテンツにライセンス情報を追加できます。例えば、WordPressでは「Advanced Custom Fields」プラグインを使用することで、ライセンス情報を入力する専用フィールドを作成し、コンテンツに適用することが可能です。
4. 契約書の作成・見直し
著作権譲渡契約
プロジェクトごとに著作権譲渡契約を明確にし、クライアントやパートナーとの間で使用条件を明文化します。これにより、権利関係を明確に保つことができます。26
NDAの締結
機密情報や未公開のコンテンツを扱う場合には、秘密保持契約(NDA)を締結し、情報漏洩を防止することが可能です。27
NDAは、機密情報の範囲と取り扱いに関する義務を明確にし、情報漏洩を防ぎます。
- 定義: NDAには機密情報の範囲を明確に定義し、技術データやビジネスプランなど具体的な情報をリストアップします。
- 義務と責任: 受領者が情報を第三者に開示しない義務を記載し、情報の適切な保管や不正アクセス防止策も明示します。
- 期間: NDAの適用期間を設定し、契約終了後も一定期間保持義務が続くことが一般的です。
- 例外: 既に公知の情報や独自に開発した情報はNDAの適用外となります。
- 違反時の措置: 違反した場合の法的措置や損害賠償についても明記し、違反行為の抑止力を高めます。
NDAを締結することで、情報漏洩を防ぎ、プロジェクトの安全性を高め、信頼関係を築けます。
5. 継続的な学習と最新情報のキャッチアップ
社内教育プログラム
社内で定期的に著作権に関する教育プログラムを実施し、全従業員が基本的な著作権知識を持つようにしましょう。これにより、社内の著作権意識を高めることができます。
また、オープンソースソフトウェアの利用に関する社内ポリシーを策定し、遵守を徹底します。これにより、他人のコードを適切に使用することができるようになります。
最新情報の把握
著作権法の改正や新しい判例についての最新情報をニュースレターの購読やセミナーに出席することで把握していきましょう。
これからの著作権法の変更に迅速に対応し、法的リスクを回避しながら、安心してクリエイティブな活動を続けることができます。
6. 法的対策
弁護士の相談
万が一著作権侵害が発生した場合には、速やかに弁護士に相談し、適切な法的措置を講じる必要があります。これにより、侵害行為を迅速に停止させ、損害を回避することができます。
DMCAの利用
著作権侵害がオンライン上で発生した場合には、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)を利用して侵害コンテンツの削除を依頼することも可能です。28
DMCAは、オンライン上の著作権侵害に対処するための法律で、主に次の手順で行動できます。
- 侵害コンテンツの特定
まず、侵害されたコンテンツを特定し、侵害されている箇所を明確にして、そのURLや具体的な位置を確認します。 - DMCA通知の送信
著作権者は、侵害を主張するためにDMCA通知(テイクダウンリクエスト)を送信します。この通知には、著作権者の連絡先、著作物の詳細、侵害しているコンテンツの場所、自分が著作権者であることの証明などを含める必要があります。 - 通知の送信先
通知は、侵害コンテンツをホストしているウェブサイトの管理者またはサービスプロバイダーに送信されます。多くの大手プラットフォーム(YouTube、Facebook、Googleなど)は、DMCA通知を受け付ける専用のフォームやメールアドレスを提供しています。 - 侵害コンテンツの削除
サービスプロバイダーは、正当なDMCA通知を受け取った場合、侵害コンテンツを迅速に削除またはアクセスを無効にする義務があります。これにより、著作権者の権利を保護します。 - 反論通知
もしコンテンツの投稿者が削除に異議を唱える場合、反論通知を送信することができます。この場合、サービスプロバイダーは削除されたコンテンツを再公開することが求められる場合があります。
エンジニアやウェブデザイナーは、自分の著作権を守るためにDMCA通知を効果的に活用することが重要です。
これらの実践的な対策を講じることで、エンジニアやウェブデザイナーは著作権侵害のリスクを低減し、安心して創作活動を行うことができるでしょう。著作権に関する知識を深め、適切な管理と法的対策を行うことで、クリエイティブなプロジェクトを成功させましょう。
まとめ
本ガイドでは、エンジニアやウェブデザイナーが直面する具体的な著作権問題とその対策について解説しました。
著作権の基本的な理解から始まり、最新の事例や法改正の影響までをカバーしました。
適切なライセンス管理や法的対策を講じることで、著作権侵害のリスクを最小限に抑え、安心して創作活動を行うことができます。
今後も最新の著作権動向を把握し、継続的に学習していくことが重要です。
著作権による問題を起こさない・巻き込まれないためにも、この記事がエンジニア・ウェブデザイナーにとって参考になることを願っています。
弊社Nucoでは、他にも様々なお役立ち記事を公開しています。よかったら、Organizationのページも覗いてみてください。
また、Nucoでは一緒に働く仲間も募集しています!興味をお持ちいただける方は、こちらまで。
以下、本記事を書くにあたって参照した文献リストです。
-
ITPro.:Microsoft’s GitHub Copilot sued over “software piracy on an unprecedented scale” ↩
-
InfoQ:First Open Source Copyright Lawsuit Challenges GitHub Copilot ↩
-
spiceworks:Microsoft, GitHub and OpenAI Accused of Software Piracy, Sued for $9B in Damages ↩
-
The Art Newspaper:DeviantArt and Midjourney deny wrongdoing in copyright infringement lawsuit over in AI image generators ↩
-
Electronic Frontier Foundation:Victory! Embedded Links to Photos on Instagram Don’t Infringe Photographers’ Copyrights, Court Rules ↩
-
arstechnica:Instagram just threw users of its embedding API under the bus ↩
-
Plane:The Employer’s Guide to IP Ownership: Understanding IP Rights ↩
-
Apidemia:Who owns the code when you outsource software development? ↩ ↩2
-
Copyright Registration Guidance:Works Containing Material Generated by Artificial Intelligence ↩ ↩2
-
Copyright Registration Guidance:Works Containing Material Generated by Artificial Intelligence ↩
-
Watermarking Techniques and Related Technologies VIII : Watermark Technology —Conclusion and Future Studies— ↩