本記事は数学講座2.5 張る空間を勉強して投稿したメモです。詳細は元の素晴らしい講座のページをチェックしてください。
また色を例にして、三つの色RGBがベクトル組になります。
\{\boldsymbol{R}=\begin{pmatrix}255\\0\\0\end{pmatrix},\quad \boldsymbol{G}=\begin{pmatrix}0\\255\\0\end{pmatrix},\quad \boldsymbol{B}=\begin{pmatrix}0\\0\\255\end{pmatrix}\}
上記のベクトル組の線形結合をして、全て色を作ることができます。
全ての色=k_1\boldsymbol{R}+k_2\boldsymbol{G}+k_3\boldsymbol{B},\quad (k_{1,2,3}\in\mathbb{R})
これら色が構成されたのはベクトル空間です、即ち色空間です。
張る空間とは
\mathcal{A}=\{\boldsymbol{v_1},\boldsymbol{v_2},...,\boldsymbol{v_p}\}
ベクトル組$\mathcal{A}$の全ての線形結合で表せるベクトルの集合がベクトル空間、ベクトル組$\mathcal{A}$の張る空間も呼ぶ、$span(\boldsymbol{v_1},\boldsymbol{v_2},...,\boldsymbol{v_p})$に記します。即ち:
span(\boldsymbol{v_1},\boldsymbol{v_2},...,\boldsymbol{v_p})=\{k_1\boldsymbol{v_1}+k_2\boldsymbol{v_2}+...+k_p\boldsymbol{v_p},k_{1,2,...,p}\in\mathbb{R}\}
例えば、上記ベクトル組$\mathcal{A}$の張る空間が$\mathcal{V}$であれば、
\mathcal{V}=span(\boldsymbol{v_1},\boldsymbol{v_2},...,\boldsymbol{v_p})=\{k_1\boldsymbol{v_1}+k_2\boldsymbol{v_2}+...+k_p\boldsymbol{v_p},k_{1,2,...,p}\in\mathbb{R}\}
$\mathcal{V}$内の任意の二つ成分(ベクトル)が加算、スカラー倍の計算(線形結合)をしても、結果が$\mathcal{V}$に存在します。
ベクトル空間の定義によれば、$\mathcal{V}$がベクトル空間であり、ベクトル組$\mathcal{A}$の張る空間も呼びます。
張る空間例1
\{\boldsymbol{u}=(1,0,0),\boldsymbol{v}=(0,1,0),\boldsymbol{w}=(0,0,1)\}
以上のベクトル組の張る空間が$\mathbb{R^3}=span(\boldsymbol{u},\boldsymbol{v},\boldsymbol{w})$です。$\mathbb{R^3}$が三次元空間です。
張る空間例2
$(1,0,0),(0,1,0)$の張る空間が$\mathbb{R^3}$、$\mathbb{R^2}$ではなく、$\mathbb{R^3}$の部分空間です。以下のように緑色の平面です。
ベクトルとベクトル組、及びベクトル空間とび張る空間
- ベクトル:数字を並べたものをベクトルと定義します。以下の例は三次元ベクトルです。
\boldsymbol{u}=(1,0,0)
- ベクトル組:複数(有限)のベクトルの集合です。
\{\boldsymbol{u}=(1,0,0),\boldsymbol{v}=(0,1,0),\boldsymbol{w}=(0,0,1)\}
- 張る空間(ベクトル空間)補足、上記ベクトル組の線形結合で計算されたベクトルの集合体です。無限な数のベクトルがあります。
\mathbb{R^3}=span(\boldsymbol{u},\boldsymbol{v},\boldsymbol{w})
=\{k_1\boldsymbol{u}+k_2\boldsymbol{v}+k_3\boldsymbol{w}\}
補足:張る空間とベクトル空間は、性質上から見たら等しいものですが、違いを見てみましょう。
- ベクトル空間:既婚者(状態の表すもの)
- 鈴木さんが既婚者です。
- $\mathcal{V}$がベクトル空間です。ベクトル組$\mathcal{A}$の張る空間も呼びます。
- 張る空間:配偶者(具体的に誰のもの)
- 鈴木さんが田中さんの配偶者です。
- $\mathcal{V}$が ベクトル組$\mathcal{A}$の張る空間です。
等しいベクトル組
\mathcal{A}=\{\boldsymbol{a_1},\boldsymbol{a_2},...,\boldsymbol{a_m}\}
\\
\mathcal{B}=\{\boldsymbol{b_1},\boldsymbol{b_2},...,\boldsymbol{b_n}\}
ベクトル$\mathcal{B}$で全てのベクトルは$\mathcal{A}$での線形結合(加算、スカラー倍)で表せるなら、ベクトル組$\mathcal{B}$はがベクトル組$\mathcal{A}$にって線形結合で表す可能です。
ベクトル組$\mathcal{B}$とベクトル組$\mathcal{A}$はお互いに線形結合で表す可能であれば、$\mathcal{B}$と$\mathcal{A}$が等しいベクトル組です。
例えば、また色のRGBとMYKで例えにすると、ベクトル組$\mathcal{V}$とベクトル組$\mathcal{W}$はお互いに線形結合で表す可能なので、$\mathcal{V}$と$\mathcal{W}$が等しいベクトル組です。
\mathcal{V}=\{\boldsymbol{R},\boldsymbol{G},\boldsymbol{B}\},\quad \mathcal{W}=\{\boldsymbol{C},\boldsymbol{M},\boldsymbol{Y}\}
等しい張る空間
等しいベクトル組の張る空間も等しいです。
\mathcal{A}=\{\boldsymbol{a_1},\boldsymbol{a_2},...,\boldsymbol{a_m}\}
\\
\mathcal{B}=\{\boldsymbol{b_1},\boldsymbol{b_2},...,\boldsymbol{b_n}\}
\\
\mathcal{A}\ と\ \mathcal{B}\ が等しいベクトル組
であれば、$span(\mathcal{A})=span(\mathcal{B})$!
RGBとCMYが等しいベクトル組であれば、両者の張る空間(色空間)も同じです。
線形独立な最大なベクトル組
定義:
ベクトル組$\mathcal{A}$から、$\mathcal{r}$個ののベクトル$a_1,a_2,a_3,...a_r$を選んで、
\mathcal{A}_0=\{\boldsymbol{a_1},\boldsymbol{a_2},...,\boldsymbol{a_r}\}
以下の条件を満たせれば、ベクトル組$\mathcal{A_0}$がベクトル組$\mathcal{A}$の線形独立な最大なベクトル組の一つです。(複数個のケースがある)
ベクトル組のランク
ベクトル組のランクは線形独立な最大なベクトル組での個数になります。$\mathcal{A_0}$でのベクトル個数$\boldsymbol{r}$がベクトル組$\mathcal{A}$のランクです。
例えば、ベクトル組$\mathcal{A}$があります、実はピンク色というベクトルが不要なものです。ピンク色は他の色の線形結合で表せる色です。
\mathcal{A}=\{\boldsymbol{R},\boldsymbol{G},\boldsymbol{B},\boldsymbol{ピンク色}\}
ピンク色を外せば、ベクトル組$\mathcal{A}$の線形独立な最大なベクトル組$\mathcal{A_0}$になります。
\mathcal{A_0}=\{\boldsymbol{R},\boldsymbol{G},\boldsymbol{B}\}
ベクトル組$\mathcal{A}$のランクが3になります。
補足説明
- 補足1:零ベクトルしかないベクトル組のランクが$\boldsymbol{0}$です。
\mathcal{A}=\left\{\begin{pmatrix}0\\0\\0\end{pmatrix}\right\}