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データサイエンスのための線形代数 第3回 線形独立と線形従属

Last updated at Posted at 2023-04-13

本記事は数学講座2.3 線形独立と線形従属を勉強して投稿したメモです。詳細は元の素晴らしい講座のページをチェックしてください。

今回の記事では、線形代数の中心的な概念である線形結合と線形従属について説明します。

調色板のベクトル化

三つの色(緑、赤、青)の組み合わせで、無限な色ができます。組み合わせはこちらで紹介したい線形結合です。

$R:G:B = 255 : 52 : 85$で混ぜると、ピンク色になります。$\color{pink}{ピンク色}=R+\frac{52}{255}G+\frac{85}{255}B$

$RGB$をベクトルの形で表すと:

\boldsymbol{R}=\begin{pmatrix}255\\0\\0\end{pmatrix},\quad \boldsymbol{G}=\begin{pmatrix}0\\255\\0\end{pmatrix},\quad \boldsymbol{B}=\begin{pmatrix}0\\0\\255\end{pmatrix}

黄色はベクトルの加算から得られます。

\color{Goldenrod}{黄色}
    =\color{red}{赤}+\color{green}{緑}=\boldsymbol{R}+\boldsymbol{G}=\begin{pmatrix}255\\0\\0\end{pmatrix}+\begin{pmatrix}0\\255\\0\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}255\\255\\0\end{pmatrix}

また、ピンク色も以下の加算から得られます。

\begin{aligned}
\color{pink}{ピンク}
    &=\boldsymbol{R}+\frac{52}{255}\boldsymbol{G}+\frac{85}{255}\boldsymbol{B}\\
    \\
    &=\begin{pmatrix}255\\0\\0\end{pmatrix}+\frac{52}{255}\begin{pmatrix}0\\255\\0\end{pmatrix}+\frac{85}{255}\begin{pmatrix}0\\0\\255\end{pmatrix}\\
    \\
    &=\begin{pmatrix}255\\52\\85\end{pmatrix}
\end{aligned}

ベクトル組

同じ次元数のベクトル$a_1,a_2,a_3...a_m$で構成された集合$\mathcal{A}$がベクトル組と呼ばれます。

\mathcal{A}:\boldsymbol{a_1},\boldsymbol{a_2},...,\boldsymbol{a_m}\quad または \quad \mathcal{A}=\{\boldsymbol{a_1},\boldsymbol{a_2},...,\boldsymbol{a_m}\}

線形結合

線型結合(せんけいけつごう、英: linear combination)は、線型代数学およびその関連分野で用いられる中心的な概念の一つで、平たく言えば、ベクトルの定数倍と加え合わせのことである。
例えば、上記のベクトル組$\mathcal{A}$に対して、ベクトル$b$、及び実数の$k_1,k_2,k_3..k_m$があります、且つ

\boldsymbol{b_{}}=k_1\boldsymbol{a_1}+k_2\boldsymbol{a_2}+...+k_m\boldsymbol{a_m}

が満たせられています、すると、ベクトル$b$はベクトル組$\mathcal{A}$の線形結合として表現できると言い、また、ベクトル$\boldsymbol{b}$はベクトル組$\mathcal{A}$の線形結合とも言います。

再度以下の例で見てみると:$\color{pink}{ピンク色}=R+\frac{52}{255}G+\frac{85}{255}B$ になっているので、$k_1=1$、$k_2=\frac{52}{255}$、$k_3=\frac{85}{255}$、よって、ベクトル$\color{pink}{ピンク色}$がベクトル組${R,G,B}$の線形結合です。

\color{pink}{ピンク色}=R+\frac{52}{255}G+\frac{85}{255}B=k_1\cdot R+k_2\cdot G+k_3\cdot B\

ベクトル赤いRがベクトル組${R,G,B}$の線形結合ではないです。

\begin{pmatrix}255\\0\\0\end{pmatrix}\ne k_1\begin{pmatrix}0\\255\\0\end{pmatrix}+k_2\begin{pmatrix}0\\0\\255\end{pmatrix},\quad (k_1,k_2\in\mathbb{R})

零ベクトルについて

零ベクトルは、必ず任意のベクトル組$\mathcal{A}$の線形結合です。$k_1=0,k_2=0,\cdots,k_m=0$の場合は、必ず$\boldsymbol{0}=0\boldsymbol{a_1}+0\boldsymbol{a_2}+...+0\boldsymbol{a_m}$が存在しています。

線形独立と線形従属

与えられたベクトル組$\mathcal{A}$に対して、

\quad \mathcal{A}=\{\boldsymbol{a_1},\boldsymbol{a_2},...,\boldsymbol{a_m}\}

以下のようなすべてゼロでない実数$k_1,k_2,...,k_m$が存在する場合、

k_1\boldsymbol{a_1}+k_2\boldsymbol{a_2}+...+k_m\boldsymbol{a_m}=\boldsymbol{0}

ベクトル組$\mathcal{A}$を線形従属と呼び、そうでなければ線形独立と呼びます。

  • 線形独立:
\quad \mathcal{A}=\{R,G,B\}
  • 線形従属:
\quad \mathcal{A}=\{R,G,B,ピンク色\}

ピンク色はR/G/Bベクトルの組み合わせ(スカラー倍、加算)で計算されますので、その$スカラー倍$を$-1$にしておけば、以下のが成立しますので、線形従属になります。

\color{pink}{ピンク色}=R+\frac{52}{255}G+\frac{85}{255}B
    \\
 👇 \\
(-1)\color{pink}{ピンク色}+R+\frac{52}{255}G+\frac{85}{255}B=0

線形独立の例

  • 以下の図のような、ベクトル$a$と$b$が線形独立です。
    image.png

$a$は$b$の基本計算から得られないので、ベクトル組{$a$,$b$}が線形独立です。

\boldsymbol{a}\ne k\boldsymbol{b},\quad k\in\mathbb{R}

線形従属の例

  • 以下の図のような、ベクトル$a$と$b$が線形従属です。
    image.png
\boldsymbol{a}=\begin{pmatrix}-2\\-2\end{pmatrix},\quad \boldsymbol{b}=\begin{pmatrix}1\\1\end{pmatrix}

$a = -2*b$ が成り立つので、ベクトル$a$と$b$が線形従属です。

  • 二つの二次元ベクトルが線形従属の場合、これらのベクトルは同じ直線上にあることを意味します。
  • 三つの三次元ベクトルが線形従属の場合は、これらのベクトルが同じ平面上にあることを意味します。

次数上げと次数下げ

n次元のベクトルの集合$\mathcal{A}$について、以下のことが言えます:

  • $\mathcal{A}$が線形独立であれば、ベクトルのそれぞれに$n+1$番目の成分を追加しても、ベクトルの集合は依然として線形独立です。簡潔に言えば、「線形独立なベクトル集合は、次数を上げても線形独立である」ということです。
    以下ような図を参照してください。
    image.png
    image.png

  • $\mathcal{A}$が線形従属であれば、ベクトルのそれぞれから$n$番目の成分を取り除いても、ベクトルの集合は依然として線形従属です。簡潔に言えば、「線形従属なベクトル集合は、次数を下げても線形従属である」ということです。

線形独立・従属 次数上げ 次数下げ
独立 独立 独立、従属注1
従属 独立注2、従属 従属
  • 注1: 次数下げたら、独立になる要因の邪魔者を除いたので、従属になった
  • 注2: 次数上げたら、邪魔者を入れたので、従属が成立しなくなって、独立になった

参考

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