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金曜の夕方に届いた依頼
ある金曜の夕方、マーケティング担当の私に急な依頼が届きました。
「来週公開するプロダクト動画に、フランス語字幕を付けてください」
元の動画は、日本語で収録した製品デモです。
動画の尺はそれほど長くありませんでしたが、製品名や人名が含まれていました。
そのため、単純に自動翻訳して、そのまま公開するわけにはいきません。
いつも字幕制作は時間との戦い
こうした「明日までに字幕が必要」という依頼は、今回が初めてではありません。
急なキャンペーンや公開スケジュールの変更で、字幕制作の時間が短くなることがあります。
普段であれば、翻訳会社に依頼する方法もあります。
しかし、短い動画でも見積もりや確認のやり取りが必要です。
小規模なキャンペーンでは、納期だけでなく費用も考えなければなりません。
そこで今回は、作業の前半を自動化し、最後の確認を人間が担当する方法を試しました。
自動翻訳をそのまま使えない理由
自動翻訳は便利ですが、製品動画では注意が必要です。
特に、次のような情報は誤訳を避けたい部分です。
- 製品名
- 人名
- 会社名
- 機能名
- 数字
- バージョン番号
- 技術用語
- 画面上に表示される文言
例えば、製品名が一般的な単語として翻訳されると、ブランド表記が変わってしまう可能性があります。
また、技術用語も文脈によって訳し方が変わることがあります。
そのため、必要なのは「自動翻訳だけで完成させること」ではなく、「自動生成した字幕を人間が確認しやすいこと」でした。
まずは字幕の初稿を作る
今回使ったのは、動画の音声を文字起こしし、翻訳字幕を作成できる動画翻訳ツールです。
作業の流れは次のとおりです。
- 動画ファイルをアップロードする
- 原文の言語を確認する
- フランス語を翻訳先として選択する
- 音声の文字起こしと翻訳を実行する
- 原文と訳文を確認する
- 字幕付き動画または字幕ファイルを書き出す
動画をアップロードすると、音声がテキスト化されます。
その後、翻訳文が生成され、動画の時間情報に合わせて字幕として分割されます。
字幕を一行ずつ入力する必要がないため、最初の作業を短時間で始められます。
原文と訳文を比較しながら修正する
今回特に役立ったのは、原文と訳文を並べて確認できることでした。
自動生成された訳文を確認しながら、製品名や人名を修正していきます。
修正した内容は字幕プレビューにも反映されるため、文章と映像を同時に確認できます。
公開前には、次の点を重点的にチェックしました。
- 製品名が翻訳されていないか
- 人名の表記が統一されているか
- 数字や単位に誤りがないか
- 機能名の訳し方が統一されているか
- 字幕が音声より早く表示されていないか
- 一つの字幕が長くなりすぎていないか
- 映像の内容と字幕の説明が合っているか
字幕の文章が自然でも、製品名や数字に誤りがあれば、そのまま公開することはできません。
公開前に行ったチェック手順
今回の作業では、次の手順で確認しました。
- 動画をアップロードして字幕の初稿を作成する
- 製品名、人名、数字を確認する
- 原文とフランス語訳を比較する
- 字幕と映像のタイミングを確認する
- プレビューで全体を再生する
- 問題がなければ字幕付き動画を書き出す
短納期の案件では、最初からすべてを手作業で行うと時間が足りなくなります。
一方で、生成された字幕を確認せずに使うと、公開後に誤りが見つかる可能性があります。
そのため、「初稿は自動生成し、最終判断は人間が行う」という分担にしました。
字幕ファイルを別に保存する
動画に字幕を直接埋め込むだけでなく、字幕ファイルとして保存しておくと後から修正しやすくなります。
SRTやVTT形式で書き出せる場合は、動画編集ソフトや配信プラットフォームで再利用できます。
字幕ファイルを別に管理するメリットは次のとおりです。
- 翻訳文だけを修正できる
- 別の言語に差し替えられる
- 元動画を再編集せずに済む
- 複数の配信先で使い回せる
- 字幕の表示や非表示を切り替えられる
公開後に表記ミスを見つけた場合でも、字幕ファイルを修正して再利用できます。
用語リストを作っておく
複数の動画を翻訳する場合は、用語の訳し方を最初に決めておくと便利です。
例えば、次のような項目を一覧にしておきます。
| 原文 | フランス語訳 | 備考 |
|---|---|---|
| 製品名 | 固有の表記を維持 | 翻訳しない |
| 機能名 | 社内で統一した表現 | 動画間で統一 |
| 人名 | 公式表記を使用 | 表記揺れに注意 |
| 数値 | 原文と照合 | 単位も確認 |
用語リストがあると、動画ごとに訳し方を考え直す必要がありません。
別の担当者が字幕を確認する場合も、チェック基準を共有しやすくなります。
無料枠で試す時の注意
無料利用では、30分までの動画を翻訳できます。
短い製品デモやキャンペーン動画であれば、試しやすい長さです。
対応形式には、MP4、MOV、MKV、AVIなどがあります。
ブラウザ上で利用できるため、専用ソフトをインストールする必要もありません。
ただし、無料枠や対応形式などの仕様は変更される可能性があります。
実際に利用する前に、最新の利用条件を確認しておくと安心です。
自動字幕をそのまま公開しない
自動生成された字幕には、誤認識や不自然な表現が含まれる場合があります。
特に、次の内容は公開前に必ず確認した方がよいでしょう。
- 製品名
- 人名
- 会社名
- URL
- 数字
- 日付
- 価格
- 機能の説明
- 否定表現
- 注意事項
製品動画では、一つの誤訳が視聴者の誤解につながることがあります。
自動化によって作業時間を短縮しても、最終確認まで省略しないことが重要です。
次回に向けて決めたこと
今回の作業を通して、字幕制作の手順をある程度固定できました。
今後は、次の流れで対応する予定です。
- 公開予定の動画と字幕言語を確認する
- 原稿や用語リストを準備する
- 自動生成で字幕の初稿を作る
- 固有名詞と専門用語を確認する
- プレビューでタイミングを確認する
- 字幕ファイルと動画を保存する
先に原稿を用意しておけば、音声認識の誤りも見つけやすくなります。
また、用語リストを共有しておけば、複数の言語や複数の担当者にも対応しやすくなります。
まとめ
短納期の多言語字幕制作では、翻訳だけでなく、文字起こし、タイミング調整、用語確認、書き出しまで行う必要があります。
すべてを手作業で行うと時間が足りなくなるため、字幕の初稿作成を自動化する方法は有効です。
ただし、自動生成された字幕をそのまま公開するのではなく、製品名、人名、数字、専門用語を人間が確認する必要があります。
「機械に初稿を作ってもらい、人間が最後に品質を確認する」という流れを作っておけば、急な字幕依頼にも対応しやすくなります。
まずは短い動画を一本選び、字幕の生成から確認、書き出しまでの流れを試しておくと、次の締切にも備えやすくなります。