この記事で紹介するもの:Chat with Characters(CwC)の制作記録
対象読者:AIを使った個人開発に興味がある人
技術スタック(現在の配布版):C# / .NET 10 / WPF(Windows向け)
はじめに
そんな個人的な動機から、Windows向けアプリ
Chat with Characters(CwC) を作りました。
キャラクターの姿を眺めながら、
好きな音楽とともにAIと会話する。
そんな、自分だけの空間を作れるアプリです。
私のプログラミング経験は、
Pythonのif文とfor文がわかる程度。
大規模なアプリを設計したことはありません。
ましてや、C#は講義で電卓を作った程度の経験値だけ…。
それでもChatGPTとCodexの力を借りながら、
試作、改良、コンセプトの整理、
一般配布を意識した再構築まで進めることができました。
ただ、これは「AIに一言頼んだら完成した」という話ではありません。
何度も動かず、何度も作り直し、
そもそも「自分は何を作りたいのか」まで考え直した記録です。
1. 始まりは「これってデキル?」
古い会話履歴を発掘したところ、
2025年10月30日にこんな質問をしていました。
アプリを開発したい。
画面左1/4に任意の画像(pngやgif動画)を配置し、残りの右側3/4にgoogle chromeで任意のChatGPTのプロジェクトを立ち上げる。
これってデキル?
今見ると、要求は驚くほどシンプルです。
当時欲しかったのは、AIモデルを自作することでも、
新しいチャットサービスを開発することでもありません。
普段使っているChatGPTの隣に、
好きなキャラクターを表示したかった。それだけです。
最初の相談では、ウィンドウを並べる方法や、
Electronを使ったアプリ化などが提案されました。
「専用アプリ化して使いたい」と選んだものの、
ここから思った以上の長旅が始まります。
2. 最初はターミナルすらわからなかった
当時の開発記録には、次のようなやりとりが残っています。
最初らへんのやりとりで「ターミナルがありません」
(「そもそも、ターミナルって何だよ…」って、
当時の私は思っていました。恥ずかしい。)
さらに、Node.jsのコマンドが認識されない。
PowerShellでnpmが実行できない。
パッケージの設定でビルドが止まる……。
やっと起動しても、今度は左の画像が真っ黒。
表示方法を変えても真っ黒です。
テスト用の市松模様だけは映るのに、画像は映りません。
ChatGPTは原因を推定して修正コードを提案しますが、
必ずしも成功するとは限らない…。
私もエラー内容や画面の状態を返し、別の方法を試しました。
途中では、ChatGPT側のページをアプリ内に表示するのを断念し、
外部ブラウザを使う構成へ移っていきました。
そして記録の中に、こんな一言も出てきます。
おおお!上手くいきました!
ちなみに、1画面に集約できる?
動いた瞬間に次の注文をしているあたり、
我ながら容赦がありません。
そんなこんなで断念と要求追加を繰り返し、
アプリをこねくり回していきました。
AI駆動開発は、まず動かす!
この頃に学んだのは、
AIの提案を「正解」と決めつけず、
実際に動かして確かめることでした。
なお、当時のトラブルの原因について、
会話中のAIは断定的に説明している箇所もありますが、
それらがすべて技術的に検証・解決されたわけではありません。
ひたすらトライ&エラーでした。
3. 自分のためのアプリを育てていく
「画像を表示して会話する」だけなら、
そこまでで目的達成だったはずです。
でも、使ってみると欲が出てきます。
好きなBGMを流したい。
起動音も欲しい。
音楽の入り方にもこだわりたい。
キャラクターに合わせて画面の色や表示内容を切り替えたい。
その後、ChatGPT Workを使ったHTMLのプロトタイプ制作や、
Codexによる自分用アプリの開発も進め、
必要な機能を試しながら形を育てました。
ここでは、自分が使って気持ちいいと思える機能を、
ひたすら足していました。
当時は単なる自己満足でした。
4. 「他の人にも使ってほしい」と思った
自分用として楽しんでいたアプリでしたが、
次第に「これを他の人にも使ってもらえないだろうか」と
考えるようになりました。
そこで初めて、機能ではなく
届けたい体験を考え直しました。
「AIキャラクターと会話できるアプリ」だけでは、
既存のチャットサービスとの差が伝わりません。
振り返ると、私が欲しかったのは
単なるチャット機能ではありませんでした。
好きなキャラクターが、日常の中にいてくれること。
BGMや色を選んだり、
キャラクターごとに雰囲気を変えたりしていたのも、
会話をする場所そのものを作りたかったからではないか。
こうして整理したコンセプトが、
キャラクターと日常を分かち合う場所
です。
つまり、コンセプトから各機能を設計したのではなく、
先に作った機能の共通点から、
後になってコンセプトを発見した形でした。
コンセプトメイキングの詳細は、
別記事で掘り下げたいと思います。
5. 自分用から「配布するアプリ」へ
自分が使うだけなら、不具合が起きても原因を探し、
設定を直すことができます。
しかし、一般の利用者にそれを求めるわけにはいきません。
そこでCodexとともに、配布や保守を意識した
Windowsアプリとして再構築しました。
現在のリポジトリで確認できる主要技術は以下のとおりです。
| 項目 | 現在の構成 |
|---|---|
| 対象 | Windows 10/11(64-bitを想定) |
| 言語 | C# |
| UI | WPF |
| フレームワーク | .NET 10 |
| 設定 | ローカルのJSONファイル |
| 配布 | ZIPを展開して起動するポータブル方式 |
| AIとの会話 | 利用者が設定した外部ブラウザ上のWebサービス |
※誤解されやすいので注意書き
CwC自身がAIのAPIを直接呼び出して
回答を生成するわけではありません。
既存のAIサービスをブラウザで利用しながら、
キャラクターの表示、BGM、画面テーマ、ウィンドウ配置、
プロンプトの受け渡しなどを支援するアプリです。
設計資料や実装からは、
初回設定、設定保存時の競合検出、バックアップと復旧、
エラー案内、配布ZIPの検査なども確認できました。
【配布版の設定画面、モード切替画面など】
実装されていること、
検証できたこと、
まだ確認が必要なこと は、
分けて考えないといけないなと実感できました。
狙った人に思った通りに使ってもらう
今回の実装では、UIを追求したり、
配布ページからプロモーション動画までつくったりと、
アプリ開発以外の部分も頑張りました。

https://gyoumunohonshitsu.com/cwc/
どうやったら使いたいと思えるか…、
どうやったら使いやすいと思えるか…。
他人の視点を想像するのは大変です…。
配布するなら、公開ページも守る必要がある
2026年10月には、使用するPHPに関する脆弱性の情報を受け、
CwCの配布ページ側でPHPを更新しました。
CwC本体は問題ありませんでしたが、
PHPで動いていた配布ページの方は対応が必要でした。
アプリが動けば終わりではなく、
届ける仕組みも保守していく必要がある。
そのことを実感した出来事でした。
6. AIとの開発で、自分に残った仕事
私がCodexに伝えていたのは、基本的に日本語の仕様です。
最初に「何を実現したいか」を可能な限り言語化します。
動くものができたら自分で触り、期待と違う部分を伝えます。必要なら、仕様そのものも考え直します。
事前の要件整理と、動かしてからの試行錯誤。
その両方を行いました。
一方で、コードの構造や技術の選び方、
プロジェクトの管理方法は、わからない部分が多く、
Codexに任せていました。
その中で得た大きな学びが、
Gitなどを使った変更履歴の管理です。
以前は小さなPythonプログラムを書くだけだったので、
「なぜ過去の変更を記録する必要があるのか」を
実感できていませんでした。
CwCでは機能追加と修正が積み重なり、
昔の状態や変更理由を振り返ることの重要性が
ようやく腑に落ちました。
これは「Gitを知らなかったから失敗した」という
単純な反省ではありません。
自分の開発を通して、それまで必要性を感じていなかった概念を
理解できたことが大きかったのです。
AIがコードを書く時代でも、人間が考えることは残ります。
何が欲しいのか。
どんな状態なら完成と呼べるのか。
誰に使ってもらうのか。
そして、使う人にどう安心してもらうのか。
おわりに
最初は、「画像を左に、ChatGPTを右に表示したい」というだけの話でした。
それが少しずつ機能を増やし、自分用のアプリになり、コンセプトを持ち、
他の人に届けるためのアプリになりました。
私にとって一番の収穫は、単にWindowsアプリを作れたことではありません。
AIのおかげで「作ること」のハードルが下がった結果、
「何を作るか」「なぜ作るか」を
以前より深く考えるようになったこと。
そして、知らなかった開発の考え方を、
実際の経験を通して学べたことです。
「AIに頼めば一発で完成する」とは言えません。
でも、やりたいことを言葉にし、
結果を確かめ、試行錯誤を続ければ、
以前なら手が届かなかったものを作れるかもしれません。
これからAIで何かを作ろうとしている人に、
そんな一例として届けば嬉しいです。
Chat with Characters(CwC)
配布・紹介ページ
https://gyoumunohonshitsu.com/cwc/
キャラクターの姿を眺めながら、
好きな音楽とともにAIと会話する。
そんな自分だけの空間を作れるアプリです。
よろしければぜひ使ってみてください。
続編で書きたいこと
- AI駆動開発の今と昔:2025年のChatGPTとのやりとりと、現在のCodexを使った開発の違い
- コンセプトメイキング:「自分が欲しい機能」から「人に届けたい体験」を見つけた過程
- 配布版の技術的な裏側:外部ブラウザ制御、設定保存、エラー処理、配布物の検証











