はじめに
前回の『MOD Dwarfを無料で使ってみよう(1)』では公開されているisoファイルをUSBメモリに書き込み、そのUSBメモリからブートすることでmod-live-usbを利用しました。
前回、一番最初に下記のスクリーンショットを貼り付けましたが、このスクリーンショットは前回の記事では実現できないことがいくつかあります。
- ウェブブラウザからアクセスしている
- isoファイルではNeural Amp Modeler lv2とAida-Xが収録されていない
などです。
ネット機能やNeural Amp Modeler lv2やAida-Xを収録したisoファイルを提供してもらえればよいのですが、現在のところまだ公開されていません。
しかしながらmod-usb-liveのソースファイルは公開されていますので、今回はそのソースを使って、上記2点を実現していきたいと思います。
具体的にはこちら(https://github.com/moddevices/mod-live-usb)に書いてある通りなのですが、ビルドに必要な環境なども説明していけたらと思います。
必要なもの
- Linuxが入ったパソコン
Linuxはディストリビューションがさまざまありますが、本記事ではUbuntu 22.04を使いました。
そして実際に動かすにはDocker環境とJACK2環境が必要です。
Ubuntu22.04の準備
インストールについては割愛します。
開発ツールのインストール
$ sudo apt install build-essential
Dockerのインストール
Dockerについて素人なので他の方の記事を参照してください。
わたしはDocker本家(https://docs.docker.com/engine/install/ubuntu/)の記事を参考にインストールしました。
systemd-nspawn
経由でmod-osを開始するので、systemd-container
もインストールします。
$ sudo apt install systemd-container
JACK2のインストール
$ sudo apt install jackd2
jackd2のインストール終了時には下記の表示がされるので"Yes"
を選択します。
グループへの追加
インストールが完了したら、docker
とaudio
グループに自分自身を追加します。
$ sudo usermod -a -G docker,audio ユーザ名
グループに追加できたら、一旦ログアウトか再起動して、再ログインします。
mod-live-usbのビルド
mod-live-usbのソースファイルのダウンロード
$ git clone --recurse-submodules https://github.com/moddevices/mod-live-usb.git
mod-osのビルド
$ cd mod-live-usb/
$ make mod-os
時間がかかります。わたしの環境(Thinkpad x230)では3時間ぐらいかかりました。
pluginのビルド
$ make plugins
さらに時間がかかります。
途中サードパーティのサーバからのダウンロードで止まるときがあるかもしれません。この記事の作成途中で実際にビルドしているのですがdownload.linuxaudio.org
がダウンしていて、プロセスが止まってしまうことがありました。
そんなときには一旦ビルドプロセスをKILLしてmod-live-usb/plugins/Makefile
を編集して、ビルドするプラグインを#
でコメントアウトして、再度make plugins
を実行してください。
上記のサーバに関してはfluidplug
パッケージに関連していますので下記のようになります。
最初のスクリーンショットの実現
ビルドが正常に完了したら一番最初のスクリーンショットは実現できます。
まずビルドした環境のIPアドレスを調べます。
$ ip addr
次にLinuxに接続しているオーディオ・インターフェースを調べます。
$ cat /proc/asound/cards
mod-osを起動する際にさきほどのUSB接続されているオーディオ・インターフェースの先頭の番号をhw:
の後につけて、次のコマンドを実行します。ちなみに下記で48000はサンプルレート、128はバッファサイズです。
ちなみにcat /proc/asound/cards
の出力結果は番号が起動する毎に変わることがあるので、毎回確認する方がよいです。(順番を固定することもできるのですが、本記事では説明しません。詳しくはこちら(https://wiki.archlinux.org/title/Advanced_Linux_Sound_Architecture#Set_the_default_sound_card)を参照すると良いような気がします。)
$ ./mod-os/start.sh hw:1 48000 128
systemd-nspawn
経由でDcokerコンテナが起動します。
終了するときはCtrl+]
を三回押してください。
同じネットワーク上にあるパソコン(Windowsでも構いません。ビルドしたLinuxのブラウザでも構いません。)でブラウザを立ち上げ、上記で確認したIPアドレスの後に:8888
をつけて開きます。
https://192.168.0.12:8888
これでNeural Amp Modeler lv2やAida-X、Klon CentaurオーバードライブのクローンChow Centaurなども使えるようになります。
次回、『MOD Dwarfを無料で使ってみよう(3)』では、mod-osの一番外側のビルドと、Neural Amp Modeler lv2へのMODファイルの渡し方などを説明しようと思います。