自己紹介
内田といいます。富士通エフサスという会社に19年ほど勤務していましが、2014年から開発をはじめたOSS プリザンター で2017年に独立起業しました。今はインプリムという会社(7期目)を経営しています。
プリザンターとは?
個人開発のOSSで、もともとは富士通社内の管理業務の効率化を狙って開発した情報共有ツールです。データベースとしての機能をもっていて、エクセルで管理している仕事を置き換えることができます。OSSなので、フリーソフトとして無料で提供しています。
なぜ開発したか?
管理業務がとても大変でした。エクセルとメール、そして印刷しての会議は労力が必用でした。こうした業務をWeb化すればよいのですが、管理業務の種類も多いため1つ1つWeb化していっては時間が足りません。そのため、簡単にエクセルで管理しているようなものをWebの操作だけで開発できるツールを作ろうと考えました。今流行の言葉でいうところの業務システムのノーコード開発ツールです。下記は独立・起業する前に Fujitsu Advent Calendar 2016 に投稿した内容です。
なぜOSSにしたか?
OSSとして広く普及すれば、私と同じような人たち(特に富士通グループの仲間)が楽になるのではないか、という想いでGitHubで開発を進めていました。開発当初は独立起業の構想はありませんでした。
なぜ独立起業したか?
富士通グループでも様々な業務やプロジェクトで活用してもらいましたが、金融系の規模の大きい組織では採用されませんでした。理由としては継続性に不安があること。すなわち個人開発のソフトウェアでは、信用が無いということです。規模が大きい組織で使ってほしいという想いで開発したので、このままでは目的を達成できないと思いました。ソフトウェアとして信用を得るためには、組織的にメンテナンスする体制や実績を作る必要がありました。その手段の1つとして、独立・起業を選択しました。
どうやってマネタイズしたか?
起業した当初はまったく売上がたちませんでしたが、1年が経過したころからサポートサービスを購入してくれる企業が何社か出てきました。プリザンターは数百人、数千人規模で使う業務システムなので、フリーソフトのままで使うのではなくサポートを購入したいという企業ニーズにマネタイズのチャンスがありました。
その後、プリザンターを開発プラットフォームとして、SIビジネスを展開するパートナー企業が増えていきました。現在は大手SIerなども加わり70社を超えるパートナー企業と協業しています。
信用を作ることができたか?
当初の狙いどおり大企業にニーズがありました。金融機関や大手製造業など大規模な組織で導入が進み、ありがたいことに事例化に協力してくれる企業が増えました。現在は21事例を公開することができ信用をあげることができたと考えています。会社の業績としても売上・利益も順調に伸び信用調査会社の評点も良い点数になったようです。起業はリスキーな選択ですが、個人開発プロダクトの信用をあげる上で1つの選択肢になり得ると思います。
起業して大変だったことは?
私はエンジニアの経験しか無い中で起業したので、エンジニアリング以外の専門性がありません。当初2人で起業しましたが、セールスも会計も採用も資金調達もはじめてのことばかりです。独立すればソフトウェアの開発に専念できるという甘い考えがありましたが、そんなことはありませんでした。あたりまでですね。幸いなことに良い仲間に恵まれて、現在はそれぞれの専門領域をまかせられるようになりましたが、それまでは何もかも自分たちで勉強してクリアしていく必要がありました。もし個人開発のプロダクトで独立・起業を考えている場合には、専門外のことにも果敢に立ち向かう覚悟をもって取り組んでください。
起業してよかったことは?
その1(仲間)
新しい仲間が1人増えるたびに、会社が活気ずくのを目の当たりにしてきました。OSSとして公開していたこともあって、プロダクトのファンがJOINしてくれることも増えています。当初はプロダクトの信用を得るために独立・起業しましたが、今は仲間のために頑張る気持ちが強いです。
その2(貢献)
ソフトウェア開発を通じて世の中の役に立っているという実感が持てるようになりました。口コミサイトなどで様々なフィードバックがありますが、良いコメントも悪いコメントも全て読んでいます。役に立っているな、期待されているな、と感じると嬉しい気持ちになります。起業する必要はないかもしれませんが、フィードバックがやる気の源泉になっています。
その3(協業)
開発プラットフォームとして、パートナー制度をつくったことがきっかけで70社を超える多くのIT企業と協業することができるようになりました。パートナー企業からのリクエストは難易度が高いものが多いですが、それだけ期待されているということだな、と実感することができます。これからもプリザンターに期待してくださる企業とのつながりをふやして、エコシステムと呼べるような経済圏を創り出していきたいと考えています。
おわりに
プリザンターは今後も業務に役立つノーコード・ローコード開発ツールとして進化を続けてまいります。よかったら応援してください。皆さん良いクリスマスをお過ごしください。
https://pleasanter.org
GitHubにスターつけてもらえたら嬉しいです。
https://github.com/Implem/Implem.Pleasanter