~一般的なWebカメラとの違いを中心に解説~
製造業やロボティクスの分野で急速に活用が進む「マシンビジョン」。しかし、「普通のカメラ(Webカメラ)と何が違うの?」という疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、マシンビジョンの基本的な考え方と、Webカメラとの違いを中心に、初心者の方にもわかりやすく解説します。
マシンビジョンとは?
マシンビジョン(Machine Vision)は、機械に目を持たせる技術 の総称です。
カメラや照明、画像処理アルゴリズムを使って、製品の検査・認識・位置決めなどを自動で行う仕組みです。
主な用途
- 製品のキズ・欠陥検出
- 部品の有無・色・寸法検査
- ロボットの位置決め(ピッキング)
- QRコード・バーコード読み取り
一般的なWebカメラとマシンビジョンカメラの違い
項目 | Webカメラ | マシンビジョンカメラ |
---|---|---|
用途 | 人物や風景の撮影 | 製品検査・工業用途 |
シャッタ方式 | 主にローリングシャッタ | グローバルシャッタ対応が主流 |
画像品質 | 圧縮(JPEGなど) | 非圧縮RAWまたは専用形式 |
トリガ撮影 | 不可 | 外部トリガで精密制御が可能 |
インターフェース | USB, 無線 | CameraLink, CoaXPress, GigEなど高速・専用設計 |
同期 | 単体使用が基本 | 複数機器との同期撮影が可能 |
信頼性 | 民生向け品質 | 産業用品質・長期安定動作 |
ソフト制御 | 標準ドライバ | SDK/APIを用いたリアルタイム制御が可能 |
なぜWebカメラでは代用できないのか?
1. タイミング制御ができない
工場では、コンベアの位置に合わせて「今!」というタイミングで1枚だけ撮影する必要があります。
一般的なWebカメラはこのような外部トリガ制御に対応していません。
2. 画像が圧縮されていて詳細情報が失われる
Webカメラは基本的にJPEGやYUVなど圧縮画像で映像を出力します。
キズ検出や寸法測定には、非圧縮・高精度な画像が必要です。
3. 環境条件に対応できない
工場内は、照明が一定ではない、振動がある、粉塵が舞っているなど、過酷な環境です。
マシンビジョンカメラはこれらに耐えうる堅牢な筐体と長期安定性を持っています。
まとめ
- マシンビジョンは、自動で見る・判断するためのシステム全体を指す
- 単なる画像取得ではなく、「いつ」「どうやって」「どのように使うか」が重要で、カメラ・レンズ・照明・制御・画像処理などを含めて考慮する
- Webカメラでは代替できない理由が多数存在