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SaaSビジネスの収益リテンション(維持)の改善または悪化を直感的に可視化する

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レイヤーケーキ・チャートを使った収益の可視化

SaaSなどのサブスク型のビジネスでは、収益リテンション(維持)の改善または悪化を理解するために「レイヤーケーキ・チャート」がよく利用されます。

この「レイヤーケーキ・チャート」は以下のような顧客のサービスの利用開始タイミングで収益を色分けしたエリアチャートです。

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各月のチャートの頂点が毎月(あるいは毎年)の総収益となるため、時間の経過とともに収益が増えているのかを確認できます。

また色分けされたグループに注目すると、例えば、2019年の5月にサービスの利用を開始したグループから得られる毎月の収益がどのように変化しているのかを理解できます。

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どのようなサービスでも、顧客はいつかはキャンセルしてしまうため、各グループから得られる収益は一般的に、時間とともに減っていく傾向があります。

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しかしプロダクトの改善やオンボーディングによって、顧客がサービスや製品の価値をより実感しやすくなっていれば、利用開始から間もない顧客から得られる収益の減少幅は小さくなるような特徴があります。

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このようにレイヤーケーキ・チャートは、全体の収益の増減を理解しつつ、収益リテンション(維持)の改善または悪化の状況を大まかに理解したいときには便利です。

そのため、成長が著しいSaaSのビジネスレポートで良く利用されるのですが、収益リテンションの状況については大まかにしか理解できない側面もあります。

例えば、以下のように2019年5月もしくは2019年7月にサービスの利用を開始した顧客の、利用開始から2ヶ月目の収益の変化に注目します。

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この場合、収益リテンションが改善しているかどうかは直感的にわかりづらいという問題があるのです。

収益のリテンション・カーブ

そこで上記に挙げた問題を解決するためによく使われるのが、リテンション・カーブと言われるチャートです。

ここから、以下のレイヤーケーキ・チャートにおける4月にサービスの利用を開始したグループを使ってリテンション・カーブのチャートを解説します。

image-20240428171606836.png

実は収益リテンションがどのように推移しているかを知りたければ、サービスの利用を開始してからの経過時間ごとの収益リテンションを可視化できれば、どのように収益リテンションが変化しているのかを理解できます。

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このような曲線を収益のリテンション・カーブと呼び、収益リテンションの改善または悪化を理解したいときには、レイヤーケーキ・チャートのようにサービスの利用開始タイミングごとに、リテンションカーブを分割します。

image.png

ここからは、リテンション・カーブの見方と良い例と悪い例を解説していきます。

仮に収益のリテンション・カーブを可視化したときに、以下のような結果が得られたとします。

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この場合、時間の経過と共にリテンション・カーブが急になっているため、サービスやユーザー体験に何らかの問題が生じていて、直近のユーザーのキャンセルやダウングレードが起きやすくなっている可能性があります。

一方で、以下のような結果を得られた場合、時間の経過と共にリテンションカーブが緩やかになっているので、サービスやプロダクトなどの改善によりキャンセルやダウングレードが起きにくくなってきていると言えるわけです。

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このようにリテンション・カーブを描くことで、時間の経過とともに収益リテンションが改善しているか、あるいはその変化がどの程度なのかを直感的に理解できます。

しかし、さらに「良い」収益のリテンション・カーブも存在します。

なぜなら、SaaSのビジネスにおいて、「既存顧客」の数が増えることはありませんが、「既存顧客から入る収益」はプランのアップグレードなどにより、前月よりも大きくなることがあるからです。

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仮にキャンセルによる収益減よりも、プランのアップグレードによる収益増を上回った場合、各グループから得られる収益はどんどん大きくなるため、収益リテンションは100%を超え、以下のようなリテンション・カーブを描くことになります。

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このようなカーブを描くビジネスがより理想的なビジネスと言えるわけです。


レイヤーケーキ・チャートやリテンション・カーブを実際に作成したい

今回、紹介したレイヤーケーキ・チャートやリテンション・カーブは、収益のデータを少し加工するだけで簡単に可視化ができます。

実際のデータを使って、これらのチャートを作成する方法を知りたい方は、以下のセミナーで詳しいやり方を紹介していますので、ぜひご覧ください!

サブスク型ビジネスのデータ分析のためのページ

SaaSを始めとするサブスクリプション型のビジネスにとって重要なKPIとその作り方だけでなく、データの加工・可視化・統計・機械学習などのデータサイエンスの手法を使ってビジネスを改善するためのデータ分析のやり方を1つのページにまとめて公開しています。ぜひご覧ください。

データサイエンスを体系的に学びたい!

今回はレイヤーケーキ・チャートとリテンション・カーブという2つのチャートを紹介しましたが、実際のビジネスを改善していくためのヒントを得るためには、収益などの指標を予測したり、またはその裏にある因果関係に迫っていくための分析が欠かせません。

そこで、そういった分析手法を基礎から、そして体系的に学びたいという方向けに、データサイエンス・ブートキャンプ・トレーニングを6月に開催しますので、興味のある方はぜひご参加をご検討いただければと思います。

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