IBMのソフトウェア要求管理ツールとしてはIBM DOORSとIBM DOORS Next があります。DOORSはもともとTelelogic社の製品であり、2008年のTelelogic社買収に伴いIBMの製品となりました。IBM DOORSは要求のトレーサビリティー管理機能が充実しており、航空防衛、自動車、鉄道などの業界の組み込みシステム開発においてデファクト・スタンダードともいえるシェアを獲得していました。
一方で要求管理は組み込み製品開発の分野だけでなく、ITシステムの開発においても重要であり、特に上流で定義された要求がきちんと下流の実装まで落とし込まれていることを確認したり、もれなくテストされていることを確認するという意味でも重要となります。ソフトウェア開発の上流から下流までのエンドツーエンドの開発を支援するプラットフォームとしてIBMはJazz Platformというものを提唱していますが、その中で要求管理を行うアプリケーションにはこのIBM DOORSのコンセプトが組み込まれています。
同様なコンセプトをもつ2つの製品ですが、ここで簡単に比較してみたいと思います。
IBM DOORS & IBM DOORS Web Accessの特徴としては以下の点があります。
- 組み込み製品開発向け。自動車、航空防衛業界を中心に世界的に利用ユーザが多い。
- クライアント-サーバーのアーキテクチャー。必要に応じてWebサーバーを追加 (IBM DOORS Web Access)
- 別拠点からのアクセスにはCitrixを用いるか、IBM DOORS Web Accessを用いる。
- ExcelやWordなどのOffice文書をOLEオブジェクトとして引用できる。
- 要件の再利用は要件をコピーすることで行う。(下図参照)
IBM DOORS Next の特徴としては以下の点があります。
- Webアーキテクチャーのみ。クライアント側には特にソフトウェアの導入の必要はない。
- Webアーキテクチャーなので別拠点からのアクセスにも特に考慮を必要としない (例:オフショア)
- ExcelやWordなどのOffice文書をアップロードして、バイナリーファイルとして他の文書から引用される。
- 要件をコピーせずに要件の再利用を行うことができる。(下図参照)
詳細な比較についてはこちらを参考にしてください。
| DOORS | DOORS Web Access | DOORS Next | |
|---|---|---|---|
| モジュール/ベースライン | |||
| ログインにはパスワードが必要 | 〇 | 〇 | 〇 |
| モジュール参照のアクセス | 〇 | 〇 | 〇 |
| モジュールにおける行/列の表示サポート(リッチテキスト、OLE、表など) | 〇 | 〇 | 〇 |
| モジュールの作成/削除 | 〇 | 〇 | |
| 要求の変更 (モジュール内) | 〇 | 〇 | 〇 |
| 複数ユーザーによるモジュール編集 (共有された編集) | 〇 | 〇 | 〇 |
| モジュールのオフライン化(パーティション/リジョイン あるいは アーカイブ/リストア) | 〇 | ||
| ベースラインの参照アクセス | 〇 | 〇 | 〇 |
| ベースラインに対するデジタル署名 | 〇 | 〇 | |
| ベースライン比較 | 〇 | 〇 | |
| オブジェクトの作成/変更/削除 | 〇 | 〇 | 〇 |
| リンクの作成およびトレーサビリティー | 〇 | 〇 | 〇 |
| 属性/タイプの作成/変更/削除 | 〇 | 〇 | |
| トレーサビリティーの参照/ナビゲーション | 〇 | 〇 | 〇 |
| トレーサビリティーエクスプローラー | 〇 | 〇 | 〇 |
| ディスカッションコメント | 〇 | 〇 | 〇 |
| モジュールの検索 | 〇 | 〇 | 〇 |
| オブジェクト番号を指定して移動 | 〇 | 〇 | |
| 検索と置換 | 〇 | ||
| 直接URLサポート | 〇 | 〇 | |
| オブジェクトトレーサビリティーリンクのナビゲート | 〇 | 〇 | 〇 |
| データ変更記録の履歴 | 〇 | 〇 | 〇 |
| モジュール/オブジェクトの表示履歴へのアクセス | 〇 | ||
| Microsoft Wordへのインポート/エクスポート | 〇 | 〇 | |
| ビューからのCSV(Excel)へのインポート/エクスポート | 〇 | 〇 | |
| XML(RIF, ReqIF)を使ったインポート/エクスポート | 〇 | 〇 | |
| モジュール比較 | 〇 | 〇 | |
| 組み込まれた公式変更管理(CPS) | 〇 | 〇 | 〇(EWM) |
| モジュールにおけるビュー | |||
| 保存された共有ビューへの表示アクセス | 〇 | 〇 | 〇 |
| オブジェクト変更バーによる通知 | 〇 | 〇 | |
| ビューの作成/変更/削除 | 〇 | 〇 | |
| ビュー内検索 | 〇 | 〇 | 〇 |
| トレーサビリティービュー (DXLサポート) | 〇 | 〇 | |
| リンクパネル (トレーサビリティー分析とナビゲーション用) | 〇 | 〇 | |
| トレーサビリティーの作成/変更 (to,from) | 〇 | 〇 | |
| 表示されたビューからの直接印刷 | 〇 | 〇 | 〇 |
| サスペクトリンク通知 | 〇 | 〇 | 〇 |
| サスペクトリンク (アクション) | 〇 | 〇 | |
| 制限のない要求階層 | 〇 | 〇 | 〇 |
| データベース管理 | |||
| プロジェクト/フォルダーの作成 | 〇 | 〇 | |
| リンクモジュールの構築 (トレーサビリティー構造) | 〇 | 〇 | N/A |
| プロジェクトのアーカイブ/復元 | 〇 | 〇 | |
| ユーザー/グループの管理 | 〇 | 〇 | |
| セキュリティー (グループ, ユーザー, アクセス権限) | 〇 | 〇 | 〇 |
| セキュリティー/アクセス権限の変更 | 〇 | 〇 | |
| ユーザーパスワードの設定 | 〇 | 〇 | 〇 |
| DXLメニューのサポート | 〇 | 〇 | N/A |
| ツール統合 | |||
| IBM Publishing | 〇 | 〇 | |
| IBM Rhapsody | 〇(ReqXChanger) | 〇 | 〇(RMM) |
| IBM Engineering Test Management | 〇 | 〇 | |
| IBM Engineering Workflow Management | 〇(DWA) | 〇 |
EWM=IBM Engineering Workflow Management
RMM=Rhapsody Model Manager
DWA=DOORS Web Access
