Engineering AI Hub
IBM ELM (Engineering Lifecycle Management)にアドオンするAI機能として昨年リリースされました。2026/3/24時点の最新バージョンはv1.1です。
Engineering AI Hubのシステム構成
Engineering AI HubはOpenShift上で動きます。SaaSで提供されており、オンプレミス版はまだ提供されておりません。Engineering AI HubのバックエンドにはWatsonx.ai実行環境に接続されます。Engineering AI HubはELMから呼び出されます。
Engineering AI Hub上でいくつかのAIエージェントが稼働しており、AIエージェントがWatsonx.ai実行環境のLLMにアクセスします。
AI Hubのユースケース
| ユースケース | 概要 | ツール |
|---|---|---|
| Requirement quality analysis | 業界標準に照らして要求を分析し、詳細なフィードバック付きの品質スコアを生成します。また、要求の品質を向上させるための表現改善に関する推奨事項も提示します。これにより、エンジニアはより強固な要求を作成でき、チームはレビューを加速でき、マネージャーは品質トレンドを可視化してリスクを早期に特定できるようになります。 | DOORS Next |
| Engineering Assistant | 会話形式のクエリ、トピックベースの検索、要約、翻訳などのために設計された、要求への自然言語インターフェイスを提供します。これにより、エンジニアは情報へより迅速にアクセスでき、チームはグローバルなプロジェクトでより効果的に協働でき、マネージャーは整合性の向上と誤解の減少を確認できるようになります。 | DOORS Next |
| Work Item synopsis | 複雑で長期間にわたるタスク、欠陥、機能について、主要な背景情報、進捗状況、リスクを含む簡潔な概要を生成します。これにより、エンジニアはコンテキスト切り替え時のキャッチアップにかかる時間を節約でき、チームはより効果的にコミュニケーションでき、マネージャーは進行中の作業をより明確に把握できるようになります。 | EWM |
| MBSE use case discovery | 自然言語で書かれた要件からユースケースとアクターを識別し、対応するモデル要素および SysML のユースケース図を作成します。これにより、エンジニアは RFLP(要件・機能・論理・物理)設計フレームワークへより迅速に移行できるようになります。 | Rhapsody |
EWM = Engineering Workflow Management
結果
Requirement quality analysis
DOORS Nextの画面を開き、モジュールを開きます。モジュールを構成する要求のいくつかを選択し、画面左側のミニダッシュボード上にある分析ボタンを押すとAIによる分析がはじまり、分析が終了すると要求ごとのスコアが表示されます。(10点満点中7点)

上記文書の翻訳元である英語の文書に対してスコアを表示すると、9点と表示されます。要求の意味は同じですが、日本語と英語でスコアが異なってしまいました。。。

Engineering Assistant
DOORS Nextの画面を開き、モジュールを開きます。画面左側のミニダッシュボードにチャットボックスがあり、その中で要求に対して質問ができます。例えば、「この文書を要約してください。」と入力すると、AIは要求文書を要約します。

Work Item synopsis
ELMにはワークアイテムと呼ばれる作業タスクの概念があるのですが、作業の内容や担当者、期日などの基本情報をもっています。それ以外に、ワークアイテムに対して、いろいろなメンバーがコメントする場合もあるので、長い間オープンになっているワークアイテムには情報量が大きくなるので、ワークアイテムを要約したものがあれば理解が容易です。

画面上部のΣアイコンをクリックするとAIがワークアイテムの情報を要約してくれます。デフォルトの設定だと英語で要約されます。。

要約処理時にLLMに渡すプロンプトをカスタマイズできます。要約を日本語で返すように編集すると、期待どおり日本語で要約してくれます。

MBSE use case discovery
RhapsodyからELMサーバーにログインすると、DOORS Nextで管理されている要求にアクセスできます。
選択した要求の内容からアクターとユースケースを抽出してくれます。

残念ながらアクターとユースケースは英語で返されます。プロンプトの調整ができないので、できるのはここまでのようです。

まとめ
要求のスコアリングが正しく出ないのと、日本語で出てほしいところが一部英語で出てしまっています。この辺が課題ですかね。
今後Engineering AI Hubに機能拡張がされていく予定です。ぜひお楽しみにしていただければと思います。
