会社の業務管理システムをASP.NET Coreで開発する中で、私が特に課題として感じていたのが、機能が増えるにつれてソースコードの量が増え、同じような処理を何度も実装しなければならないことでした。
業務管理システムでは、社員情報、顧客情報、商品情報、部署、権限、申請、承認、売上、請求など、さまざまな業務データを扱います。
新しい機能を一つ追加するだけでも、Entity、DTO、Service、Controller、データベース関連の処理など、複数のレイヤーにコードを追加する必要があります。
そこで開発に取り入れたのが、Intent Architectでした。
社内業務管理システムの開発で使用してみると、単純に「コードを自動生成できる」という以上に、開発の進め方そのものを整理できるというメリットを感じました。
Intent Architectを使う前に感じていた課題
従来のASP.NET Core開発では、基本的な構成を自分たちで作り、機能を一つずつ実装していました。
例えば、業務管理システムに「社員」を追加する場合、単純にEmployeeクラスを作るだけでは終わりません。
Employee
├─ Entity
├─ DTO
├─ Service
├─ Controller
├─ Repository / Persistence
├─ Validation
└─ Database Mapping
さらに、一覧取得、詳細取得、登録、更新、削除などのAPIを作っていくと、似たようなコードがどんどん増えていきます。
もちろん、ASP.NET Coreは非常に柔軟なので、開発者が自由に設計できるというメリットがあります。
一方で、チーム開発になると、
「この機能はAさんの書き方」
「こちらはBさんの書き方」
というように、少しずつ実装方法が違ってくることがあります。
システムが大きくなるほど、この違いが保守性に影響してきます。
Intent Architectを導入して変わったこと
Intent Architectを使ってみて最初に感じたのは、「何を作るか」をモデルとして整理してから、実装につなげられることでした。
従来はコードを書き始めてから構造を考えることもありましたが、Intent Architectでは、システムの構造や業務上の概念をモデルとして整理できます。
そして、そのモデルをもとに必要なコードを生成していきます。
この考え方によって、開発者が毎回ゼロから同じようなコードを書く必要が減りました。
1. 定型的なコードを書く時間が減った
業務管理システムでは、似たようなCRUD処理が非常に多くなります。
例えば、
- 社員マスタ
- 顧客マスタ
- 商品マスタ
- 部署マスタ
- 取引先マスタ
などです。
これらは業務内容こそ違いますが、基本的な処理構造は似ています。
Intent Architectを利用することで、このような繰り返しの多い部分を効率よく実装できるようになりました。
その結果、開発者は単純なCRUDコードを書くことよりも、
「この業務ではどういうルールが必要なのか」
「この処理ではどのような例外が発生するのか」
といった、本当に考える必要がある部分に時間を使えるようになりました。
2. システム全体の構造を統一しやすくなった
会社の業務システムでは、長期間にわたって機能追加や改修が行われます。
最初はきれいに設計されていても、時間が経つにつれて少しずつ実装方法が変わっていくことがあります。
Intent Architectを利用することで、プロジェクトで使用するパターンや構造をある程度統一できます。
例えば、
API
↓
Application
↓
Domain
↓
Infrastructure
↓
Database
というようなアーキテクチャを意識しながら開発できます。
新しい機能を追加するときにも、既存のパターンに沿って実装しやすくなりました。
これは特にチーム開発では大きなメリットだと感じました。
3. 「コードを書く」前に業務を整理できる
私がIntent Architectを使っていて特に良いと感じたのが、この点です。
業務管理システムでは、単純にプログラムを書くことよりも、業務そのものを正しく理解することが重要です。
例えば、「申請」という機能を作る場合でも、
- 誰が申請するのか
- 誰が承認するのか
- どのような状態があるのか
- 差し戻しはできるのか
- 承認後に何が起きるのか
など、さまざまな業務ルールがあります。
Intent Architectを利用することで、こうした業務上の概念をモデルとして整理し、それを実際のアプリケーション構造につなげて考えられます。
そのため、単に「画面を作る」「APIを作る」という視点だけではなく、業務とシステムを結びつけて考えることができました。
4. 仕様変更への対応が楽になった
業務システムでは、仕様変更は避けられません。
「社員に新しい項目を追加したい」
「顧客と担当者の関係を変更したい」
「新しいステータスを追加したい」
といった変更が、開発途中でも発生します。
通常の開発では、一つの変更が複数のクラスやレイヤーに影響することがあります。
Intent Architectでは、モデルを中心に考えることで、変更内容を整理し、それに関連するコードを生成・更新するという流れを取りやすくなりました。
もちろん、すべての変更が自動的に解決するわけではありません。
特に複雑な業務ロジックについては、開発者自身がコードを確認して対応する必要があります。
それでも、定型的な変更作業を減らせることは、実際の開発では大きな助けになりました。
5. 新しい機能を追加する心理的な負担が減った
大きな業務システムでは、「この機能を追加すると、どこを修正しなければならないのか?」ということ自体が問題になることがあります。
Intent Architectを使うことで、ある程度決まった開発パターンに沿って機能を追加できるため、新しい機能を作るときの負担が減りました。
特に、
「既存のコードをコピーして、名前だけ変更する」
というような作業を減らせたことは大きかったです。
コピー&ペーストによる開発は短期的には速く見えますが、長期的には修正漏れや実装のばらつきにつながる可能性があります。
モデルと生成を活用することで、こうした問題を減らすことができました。
6. ASP.NET Coreとの相性が良いと感じた
私の場合、業務管理システムのバックエンドにはASP.NET Coreを使用していました。
ASP.NET Coreは、API、DI、Entity Framework Coreなど、エンタープライズ向けのシステムを構築するための機能が充実しています。
ただし、機能が豊富である分、アプリケーションの構造をどのように設計するかは開発チームの判断に委ねられる部分もあります。
Intent Architectを組み合わせることで、
「ASP.NET Coreで自由に開発する」
だけではなく、
「決めたアーキテクチャに沿って効率よく開発する」
というスタイルを取りやすくなりました。
7. 開発者が本来考えるべきことに集中できる
Intent Architectを使って一番大きく感じたメリットは、単純な作業にかける時間を減らせたことです。
業務システムの開発では、コードを書くこと自体が目的ではありません。
最終的な目的は、会社の業務を正確かつ効率的に支援することです。
そのため、開発者が時間を使うべきなのは、
- 業務ルールの設計
- データモデルの設計
- セキュリティ
- パフォーマンス
- エラー処理
- 外部システムとの連携
- ユーザーの業務フロー
などです。
Intent Architectによって定型的な実装作業を減らすことで、こうした業務システムにとって本当に重要な部分に集中しやすくなったと感じています。
Intent Architectを使って感じた一番の変化
実際に会社の業務管理システムを開発してみて、私が一番大きいと感じた変化は、
「コードを一つずつ作る」という考え方から、「システムの意図や構造を定義して、それをコードにつなげる」という考え方に変わったことです。
という点です。
もちろん、Intent Architectを導入すればすべてのコードを書く必要がなくなるわけではありません。
業務固有の複雑なロジックや特殊な処理については、開発者が設計し、実装する必要があります。
しかし、どのシステムにも存在するような定型的な部分については、自動化できる範囲が広がります。
まとめ
会社の業務管理システムをASP.NET Coreで開発する中でIntent Architectを利用したことで、私は主に次のようなメリットを感じました。
- 定型的なコードの実装量を減らせる
- アーキテクチャを統一しやすい
- 業務とシステムの構造を整理しやすい
- 仕様変更への対応を効率化できる
- チーム開発で実装パターンを統一しやすい
- 開発者が業務ロジックに集中できる
- ASP.NET Coreアプリケーションの開発を効率化できる
特に、機能数が多く、長期間にわたって開発・保守する業務管理システムでは、こうしたメリットを感じやすいと思います。
ASP.NET Coreは非常に強力な開発プラットフォームですが、アプリケーションが大きくなるほど「どのように一貫した設計を維持するか」「どのように繰り返し作業を減らすか」が重要になります。
私にとってIntent Architectは、単なるコード生成ツールというよりも、業務システムの設計と実装をつなぎ、開発をより効率的に進めるための開発アプローチとして役立ちました。
これからASP.NET Coreで業務システムを開発する場合、特に「同じようなコードを何度も書いている」「機能追加のたびに複数のレイヤーを修正している」「チーム内で実装方法がばらばらになっている」と感じている開発者にとって、Intent Architectは検討する価値のある選択肢の一つだと思います。