Tips - GitHub Copilot のアカウント管理
GitHub Copilotは、開発者の生産性を向上させるAI駆動のコーディングアシスタントです。本記事では、Copilotのプラン体系から実際の導入方法、そして運用時の設定管理まで、技術者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
1. プラン体系の全体像
GitHub Copilotは、用途や予算に応じて選択できる柔軟なプラン体系を提供しています。
1.1 各プランの位置づけ
- Copilot Free: 基本的なコード補完機能を無料で提供。使用制限あり
- Copilot Pro: 個人開発者向けの標準プラン。高い使用制限と追加モデルへのアクセス
- Copilot Pro+: Proの機能に加えて、さらなる使用制限の緩和と高度な機能
- Copilot Business/Enterprise: 組織・企業向けで、管理機能とポリシー設定が充実
2. Copilot Freeの始め方
ほとんどの個人開発者は、セットアップ不要でCopilot Freeを利用開始できます。ただし、以下の場合は利用できません。
- 管理対象ユーザーアカウントを持っている
- 組織を通じてCopilotシートが割り当てられている
- 既存のCopilot Pro/Pro+プランまたはトライアルを利用中
- 学生・教師・OSSメンテナーとして無料でCopilot Proにアクセスしている
2.1 環境別の開始手順
2.1.1 Visual StudioおよびVS Code
- エディタ右上のアイコンをクリック
- サイドバーで「Copilot Freeに登録」を選択
- GitHubアカウントでサインイン(アカウントがない場合は作成)
2.1.2 GitHub.com
https://github.com/copilotにアクセスすることで、Webインターフェース上でCopilotとチャット形式で対話できます。
2.1.3 GitHub Mobile
- アプリ右下のアイコンをタップ(すべてのページで表示されるわけではないため、別のページに移動してアイコンを探す)
- 画面下部の「Ask Copilot」ボックスでチャットを開始
2.1.4 その他のIDE
- GitHubアカウント設定からCopilot設定にアクセス
- 「Start using Copilot Free」をクリックしてアクティベート
- ダウンロードボタン横のドロップダウンメニューから使用するエディタを選択
3. 無料でCopilot Proを利用する方法
以下の条件を満たす方は、Copilot Proを無料で利用できます。GitHubは毎月資格を再評価します。
3.1 対象者
-
GitHub Educationで認証された学生
- GitHub Educationの学生プログラムへの申請が必要
-
GitHub Educationで認証された教師
- GitHub Educationの教師プログラムへの申請が必要
-
人気のオープンソースリポジトリのメンテナー
- 一定の基準を満たすOSSプロジェクトのメンテナーが対象
注意: GitHubは毎月資格を再評価します。
3.2 アクセス手順
- プロフィール画像をクリック
-
Copilot settingsを選択 - 適格な場合、
GitHub Copilot Proページが表示される -
Get access to GitHub Copilotをクリック - 使用ポリシーを設定
-
Save and completeをクリックして完了
3.3 適格でない場合の選択肢
- 30日間の無料トライアル: Copilot Proを一度だけ30日間試用可能(トライアル後は有料プランへの移行が必要)
- Copilot Free: 制限付きだが無料で基本機能を利用可能
4. 有料プランへのアップグレード
4.1 使用制限到達時の動作
Copilot Freeの使用制限に到達すると、利用環境に応じて異なるアップグレード体験が提供されます。
| 環境 | 動作 |
|---|---|
| Visual Studio / VS Code / GitHub.com | リセット日とアップグレードリンクを含むメッセージが表示 |
| その他のIDE | エラーメッセージが表示され、GitHub Copilot設定からトライアルまたは有料プランを開始可能 |
| GitHub Mobile | アプリ内課金でアップグレードを促すプロンプトが表示 |
4.2 プラン購入手順
- プランページにアクセス
- 希望するプランの
Get startedをクリック - 月次または年次払いを選択し、
Subscribe to Copilot Pro/Pro+をクリック - プレミアムリクエストの追加使用を有効化するか選択(後から変更可能)
- 請求情報と支払い詳細を入力・確認し、
Submitをクリック - プラン詳細を確認し、
Activate Copilot Pro/Pro+をクリック
5. プラン管理の実務
5.1 現在のプラン確認
- 画面右上のプロフィール画像をクリック
-
Settingsを選択 - サイドバーの
Billing & licensing→Licensing(またはPlans and usage)を選択 -
Current planセクションで現在のプランを確認
5.2 プランのアップグレード
-
FreeからProへ:
Upgrade Copilotをクリックして有料プランを選択 -
ProからPro+へ:
Upgrade to Copilot Pro+をクリック
5.3 プランのダウングレード
Pro+からProへのダウングレードは次の請求サイクル開始時に適用されます。
- Copilot設定の
GitHub Copilotセクションにアクセス -
Manage subscriptionドロップダウンからDowngrade to Copilot Proを選択 - ダウングレードモーダルで以下を選択
- Keep Copilot Pro+: ダウングレードをキャンセル
- Downgrade to Copilot Pro: 次の請求サイクルからProに切り替え
-
Downgrade to Copilot Proを選択して確定
5.4 プランのキャンセル
キャンセル後も、現在の請求サイクル終了まで機能にアクセスできます。請求サイクル終了後、自動的にCopilot Freeにダウングレードされます。
5.4.1 キャンセルできない場合
- 学生・教師・OSSメンテナーとして無料アクセスを付与されている
- 組織を通じてCopilotにアクセスしている
注意: これらの場合は、環境でCopilotを無効化することで対応します。
5.4.2 キャンセル手順
5.4.3 トライアルのキャンセル
30日間のトライアル期間中にキャンセルすると、課金されません。キャンセルはトライアル期間終了時に有効になります。キャンセルしない場合、トライアル開始時に設定した請求設定に従って自動的に有料プランに登録されます。
- 画面右上のプロフィール画像をクリック
-
Settingsを選択 - サイドバーの
Billing & licensing→Licensing(またはPlans and usage)を選択 -
CopilotセクションでCancel trialをクリック
注意: トライアル期間中のキャンセルは課金されませんが、期間終了後は自動的に有料プランに移行します。
5.5 請求サイクルの変更
有料プランでは、月次と年次の請求サイクルをいつでも切り替えられます。変更は次の請求サイクル開始時に適用されます。
- Copilot設定にアクセス
-
GitHub CopilotセクションでEditドロップダウンを選択 - 請求サイクルの変更オプションを選択
- 月次から年次:
Change to yearly billingをクリック - 年次から月次:
Change to monthly billingをクリック
- 月次から年次:
- 変更内容を確認して実行
注意: 請求サイクルの変更は次の請求サイクル開始時から適用されます。
6. 個人設定とポリシー管理
Copilotの動作を制御するための重要な設定について解説します。これらの設定は、IDEだけでなくGitHub全体でのCopilotの動作に影響します。
6.1 パブリックコードとの一致提案
Copilotが提案するコードが公開されているコードと一致する場合の動作を制御します。
6.1.1 ブロック設定の動作
ブロックを選択した場合、Copilotは提案コードとその周囲約150文字を GitHub上の公開コードと照合します。一致または近似一致がある場合、提案は表示されません。
6.1.2 許可設定の動作
許可を選択した場合、一致するコードを提案する際に一致の詳細が表示され、GitHub上の関連リポジトリへのリンクが提供されます。
6.1.3 設定手順
- プロフィール画像をクリックし、
Copilot settingsを選択 -
Suggestions matching public codeの右側でドロップダウンメニューを選択 -
Allow(許可)またはBlock(ブロック)を選択
注意: GitHub Enterprise Cloud組織のメンバーで、組織を通じてCopilotシートが割り当てられている場合、個人アカウント設定でこの設定を変更できません。設定は組織またはエンタープライズから継承されます。
6.2 Copilot coding agentの制御
Copilot coding agentは、GitHubのissueにCopilotを割り当てたり、Copilot Chatのプロンプトからプルリクエストを作成したりできる機能です。
6.2.1 利用可能性
- Copilot Pro、Pro+、Business、Enterpriseプランで利用可能
- GitHub上に保存されているすべてのリポジトリで利用可能(管理対象ユーザーアカウントが所有するリポジトリと明示的に無効化されているリポジトリを除く)
- デフォルトですべてのリポジトリで有効
注意: この機能は管理対象ユーザーアカウントが所有するリポジトリでは利用できません。
6.2.2 設定手順
注意: BusinessおよびEnterpriseサブスクライバーの場合、Copilot coding agentの使用は組織レベルまたはエンタープライズレベルのポリシー設定で制御されます。
6.3 プロンプトと提案の収集設定
プロンプトとCopilotの提案をGitHubが収集・保持し、さらにMicrosoftと処理・共有するかどうかを選択できます。
6.3.1 設定手順
- プロフィール画像をクリックし、
Copilot settingsを選択 -
Allow GitHub to use my code snippets from the code editor for product improvementsのチェックボックスを選択または解除
データ利用に関する詳細: 設定に応じてCopilotが収集する可能性のあるデータの詳細は、GitHubの追加製品・機能に関する規約とCopilotプライバシーFAQを参照してください。
6.4 代替AIモデルの有効化
Copilotのデフォルトモデルに代わる以下のAIモデルを使用できます。
- Claude: Anthropic社のAIモデル
- Gemini: Google社のAIモデル
6.4.1 設定手順
- プロフィール画像をクリックし、
Copilot settingsを選択 - モデル名の右側でドロップダウンメニューを選択
-
Enabled(有効)またはDisabled(無効)を選択
6.5 Copilot ChatのWeb検索機能
Copilot ChatでBingを使用してインターネット上の情報を検索できる機能です。この設定はデフォルトで無効になっています。
6.5.1 有効化のメリット
新しい技術や高度に専門的な主題について議論する際に特に有用です。
6.5.2 設定手順
- プロフィール画像をクリックし、
Copilot settingsを選択 -
Copilot access to Bingの右側でドロップダウンメニューを選択 -
Enabled(有効)またはDisabled(無効)を選択
6.6 モデルトレーニングと改善
デフォルトでは、GitHub、その関連会社、第三者は、プロンプト、提案、コードスニペットを含むデータをAIモデルのトレーニングに使用しません。この設定は個人設定に反映されており、有効化することはできません。
注意: この設定は変更できず、常にデータのトレーニング利用が無効になっています。
7. Copilot Freeの無効化
有料プランに加入せずにCopilot Freeを完全に無効化したい場合の手順を解説します。
7.1 自動無効化される場合
- Copilot ProまたはPro+プランを利用している
- 組織またはエンタープライズを通じてライセンスが付与されている
7.2 GitHubでの無効化
GitHub上のすべてのCopilot機能を無効化します。
- プロフィール画像をクリック
-
Copilot settingsを選択 -
VisibilityセクションでShow Copilotの右側のドロップダウンからDisabledを選択
7.3 IDEでの無効化
各IDE(JetBrains IDEs、VS Code、Visual Studio、XCode)で個別に無効化できます。各IDEの設定画面から「Enabling or disabling Copilot」のセクションを参照し、表示される手順に従ってCopilot Freeを無効化してください。
8. 実運用での考慮事項
8.1 プラン選択の判断基準
技術者として実際にプランを選択する際は、以下の要素を考慮すると良いでしょう。
| 要素 | Copilot Free | Copilot Pro | Copilot Pro+ |
|---|---|---|---|
| 使用頻度 | 低〜中 | 中〜高 | 高 |
| 使用制限 | 厳しい | 緩い | 非常に緩い |
| 追加モデル | なし | あり | あり |
| プレミアムリクエスト | なし | 制限あり | 拡張制限 |
| 適用シーン | 試用・学習 | 日常開発 | ヘビーユース |
8.2 組織での導入時の注意点
組織を通じてCopilotを利用する場合、個人設定の一部が組織またはエンタープライズのポリシーによって制御されます。
- パブリックコードとの一致提案の設定は組織から継承
- Copilot coding agentの有効化も組織レベルで制御される可能性
- 個人プランと組織プランは併用できない(組織プラン優先)
8.3 データプライバシーへの配慮
Copilotを業務で使用する場合、以下の点を確認しておくことを推奨します。
- プロンプトと提案の収集設定を確認
- モデルトレーニングへのデータ使用はデフォルトで無効
- パブリックコードとの一致提案をブロックすることで、意図しないライセンス違反のリスクを低減
- 組織のセキュリティポリシーに準拠した設定を維持
注意: 業務利用時は必ず組織のセキュリティポリシーを確認し、適切な設定を行ってください。
9. まとめ
GitHub Copilotは、無料プランから段階的に機能を拡張できる柔軟な料金体系を提供しています。学生・教師・OSSメンテナーには無料でProプランが提供されるなど、開発者コミュニティへの貢献も評価されています。
実際の運用では、使用頻度や必要な機能に応じてプランを選択し、プライバシーとセキュリティの設定を適切に管理することが重要です。組織での利用においては、個人設定と組織ポリシーの関係性を理解しておく必要があります。
Copilotは継続的に進化しており、代替AIモデルの選択肢やWeb検索機能など、新しい機能が追加されています。これらの機能を適切に設定し、開発フローに組み込むことで、より効率的なコーディング体験が得られるでしょう。