Tips - いろいろなセットアップ方法
1. はじめに
GitHub Copilotは、開発ワークフローに実質的な変化をもたらすAI支援ツールです。このガイドでは、個人、組織、エンタープライズの各レベルでの導入手順を、技術的な観点から整理します。
2. 導入フローの全体像
3. 個人開発者向けセットアップ
3.1 アクセス取得の選択肢
技術者として、まず理解すべきは利用可能なプランの実質的な違いです。
Copilot Free
- インラインサジェスト: 月2,000リクエスト
- プレミアムリクエスト: 月50回
- クレジットカード不要で開始可能
Copilot Pro
- 30日間の無料トライアル
- プレミアムリクエスト: 月300回
- より高度なモデルへのアクセス
Copilot Pro+
- プレミアムリクエスト: 月1,500回
- 全モデルへのフルアクセス
- エンタープライズグレードの機能
学生・教育者・OSSメンテナ向け無料プラン
- 条件を満たす場合、Copilot Proを無料で利用可能
- GitHubの認証プロセスを経由
https://github.com/settings/copilotから組織経由でのアクセスをリクエストすることも可能です。
3.2 IDE拡張機能のインストール
Visual Studio Code
VS Codeでは、初回セットアップ時に必要な拡張機能が自動的にインストールされます。手動でのダウンロードや設定は不要です。
# 認証後、自動的にCopilot拡張機能が有効化されます
サポート対象IDE
- Visual Studio Code
- JetBrains IDEs(IntelliJ IDEA、PyCharm、WebStormなど)
- Visual Studio
- Eclipse
- Vim/Neovim
各IDEで、コード補完とCopilot Chatの両方が利用可能になります。
3.3 Copilot CLIの導入
コマンドラインでもCopilotを活用できます。パブリックプレビュー中で、データ保護が適用されます。
Windows(WinGet)
# 安定版
winget install GitHub.Copilot
# プレリリース版
winget install GitHub.Copilot.Prerelease
macOS/Linux(Homebrew)
# 安定版
brew install copilot-cli
# プレリリース版
brew install copilot-cli@prerelease
Node.js環境(npm、Node.js 22+が必要)
# 安定版
npm install -g @github/copilot
# プレリリース版
npm install -g @github/copilot@prerelease
インストールスクリプト(macOS/Linux)
# 基本インストール
curl -fsSL https://gh.io/copilot-install | bash
# または
wget -qO- https://gh.io/copilot-install | bash
# カスタムディレクトリへのインストール
curl -fsSL https://gh.io/copilot-install | VERSION="v0.0.369" PREFIX="$HOME/custom" bash
# root権限でのインストール(/usr/local/binへ)
curl -fsSL https://gh.io/copilot-install | sudo bash
環境変数PREFIXでインストール先を指定できます。デフォルトは、root実行時は/usr/local、非root実行時は$HOME/.localです。
GitHubから直接ダウンロード
copilot-cliリポジトリから実行ファイルを直接ダウンロードし、展開して実行することも可能です。
認証方法
初回起動時に/loginコマンドでGitHubアカウントと連携します。
または、Fine-grained Personal Access Tokenを使用:
# トークンを環境変数に設定
export GH_TOKEN="your_token_here"
# または
export GITHUB_TOKEN="your_token_here"
トークンには「Copilot Requests」権限が必要です。優先順位はGH_TOKEN > GITHUB_TOKENです。
3.4 ネットワーク設定(必要に応じて)
プロキシ環境やファイアウォール配下での利用には、特定のURLを許可リストに追加する必要があります。また、カスタムSSL証明書のインストールが必要な場合もあります。
3.5 設定のカスタマイズ(オプション)
自分のCopilotプランを持つ場合(組織やエンタープライズのプランを使用していない場合):
- Model Context Protocol (MCP)サーバーの統合: Copilot Chatの機能を拡張
- 個人ポリシー管理: 動作をカスタマイズ
3.6 Windows Terminalでの利用
Windows Terminal Canaryで、Terminal ChatとCopilotを接続して利用できます。
4. 組織向けセットアップ
4.1 サブスクリプション設定
組織がエンタープライズの一部である場合、エンタープライズオーナーがCopilotを有効化できます。この場合、https://github.com/settings/copilotからアクセスをリクエストします。
独立した組織の場合、Copilot Businessプランへのサブスクリプションを設定します。
4.2 ポリシー管理
組織レベルで、以下を制御します:
- 利用可能なCopilot機能の範囲
- データ利用ポリシー
- アクセス権限の粒度
4.3 ネットワーク要件
HTTPプロキシやファイアウォール環境では、必要なURLを許可リストに追加し、カスタムSSL証明書のインストール(必要に応じて)を行います。
4.4 ライセンス配布戦略
効率的な導入のために:
- Copilotの恩恵を最も受けやすいチームやメンバーから開始
- 技術的な障害を早期に特定
- 組織内での採用を促進
4.5 GHE.comでの追加設定
組織がGHE.com上のエンタープライズの一部である場合、ユーザーは開発環境からアカウントに認証するための追加設定を行う必要があります。
4.6 次のステップ
- セルフサービスライセンス管理: 開発者が承認なしでライセンスを取得できるモデル
- 採用促進プロセス: 効果的な有効化プロセスの計画と実装
- 最新機能の活用: Copilot Spaces、プルリクエストでのコードレビュー、GitHub Modelsでのプロンプト実験など
- Copilot coding agentのパイロット導入: 非同期でIssueに取り組むチームメンバーとしての追加
5. エンタープライズ向けセットアップ
5.1 エンタープライズの有効化
セールスチームを通じてCopilot Businessを購入する場合、エンタープライズアカウントは自動的に作成されます。
自分で設定する場合:
- GitHubプロフィールメニューから「Enterprise」を選択
- 設定画面で「Getting Started」タブへ移動
- 「Next steps」配下の「Verify your payment method」をクリック
- Copilotが有効化されたことを「Policies」タブで確認
5.2 エンタープライズポリシーの設定
組織レベルより広範囲な制御が可能です。複数組織にまたがる統一ポリシー、機能の有効化/無効化、データ保護とコンプライアンス要件を管理できます。
5.3 ネットワーク設定
HTTPプロキシやファイアウォール環境では、必要なURLを許可リストに追加し、カスタムSSL証明書のインストール(必要に応じて)を行います。
5.4 ライセンス割り当ての2つのアプローチ
直接割り当て方式
- エンタープライズレベルでユーザーやチームに直接ライセンスを付与
- 大規模なライセンス管理を簡素化
- GitHub Enterpriseライセンスを消費しないユーザーにもCopilotを付与可能
- 現在、Copilot Businessライセンスのみ対応
組織有効化方式
- 個別組織でCopilot BusinessまたはEnterpriseを選択
- 組織オーナーが必要なユーザーにライセンスを付与
- より細かい制御が可能
5.5 GHE.comでの追加設定
エンタープライズがGHE.com上にある場合、ユーザーは開発環境からアカウントに認証するための追加設定を行う必要があります。
5.6 次のステップ
- セルフサービスライセンス管理: 開発者が承認なしでライセンスを取得できるモデル
- 採用促進: 効果的な有効化プロセスの計画と実装
- 開発体験の向上: Copilot Spaces、プルリクエストでのコードレビュー、GitHub Modelsでのプロンプト実験など
- Copilot coding agentのパイロット導入: 非同期でIssueに取り組むチームメンバーとしての追加
6. 専用エンタープライズアカウントの構築(Copilot Businessのみ)
Copilot Businessのみを利用する場合、GitHub Enterpriseを採用せずに専用エンタープライズアカウントを作成できます。IdPとの統合による認証とプロビジョニングが可能で、GitHub Enterpriseライセンス費用を抑えられます。
6.1 セットアップ手順
ステップ1: エンタープライズアカウント作成
セールスチームを通じて購入する場合、エンタープライズアカウントは自動的に作成されます。
自分で作成する場合、GitHub Enterprise Cloudのトライアルを開始します。重要な点として、セットアップ中に組織を作成しないでください。組織にユーザーを追加するとGitHub Enterpriseライセンスが割り当てられますが、エンタープライズに直接追加することでCopilot Businessのみの構成を維持できます。
ステップ2: ユーザー追加
エンタープライズアカウントのタイプに応じて、ユーザー追加方法が異なります。
個人アカウント型エンタープライズ
エンタープライズに直接ユーザーを招待します。
管理ユーザー型エンタープライズ(Enterprise Managed Users)
IdPからSCIMでユーザーアカウントをプロビジョニングします。プロビジョニングされたユーザーは、エンタープライズの「People」リストに自動的に表示されます。後ほど、これらのユーザーまたはIdPと同期されたエンタープライズチームにCopilot Businessライセンスを直接割り当てます。
ステップ3: エンタープライズチーム作成(オプション)
グループ単位でライセンス割り当てを管理する場合、エンタープライズチームを作成できます。
ステップ4: Copilot有効化
エンタープライズオーナーが、エンタープライズでCopilotを有効化する必要があります。
- プロフィール画像をクリック
- 環境に応じて「Enterprise」または「Enterprises」をクリック
- ページ上部の「Billing and licensing」をクリック
- 左サイドバーの「Licensing」をクリック
- 「Copilot」の横の「Enable」をクリック
ステップ5: ライセンス割り当て
エンタープライズレベルから直接、ユーザーまたはエンタープライズチームにCopilot Businessライセンスを割り当てます。
ステップ6: トライアル変換
トライアル終了後もCopilot Businessを継続利用するには、トライアルを有料エンタープライズアカウントに変換します。
6.2 今後の展開
将来的にGitHubの全機能にアクセスしたい場合は、組織を作成してユーザーを追加できます。
7. IDE拡張機能の詳細
7.1 Visual Studio Code
自動インストールにより、手作業での設定は最小限です。サインイン後、すぐにコード補完とChatが利用可能になります。
注意: GHE.comの管理ユーザーアカウントを使用する場合、サインイン前に設定の更新が必要です。
7.2 その他のIDE
各IDEで、Copilot拡張機能のインストール手順が提供されています。基本的な機能は共通ですが、IDE固有の統合も用意されています。
Tool switcherで他の開発環境の手順を確認できます。
8. 運用開始後の最適化
8.1 セルフサービスライセンス管理
成功する導入の多くは、開発者が承認なしでライセンスを取得できるセルフサービスモデルを採用しています。
8.2 採用促進のための戦略
効果的な有効化プロセスの計画と実装、最新機能のトレーニング、Copilot Spaces、コードレビュー、GitHub Modelsの活用を進めます。
8.3 エンタープライズのソフトウェア開発ライフサイクルへの統合
これらの機能がどのように連携するかの例も参考にできます。
9. 技術的考慮事項
9.1 ネットワーク要件
- プロキシサーバー環境での許可リスト設定
- ファイアウォールルールの調整
- カスタムSSL証明書の配布
9.2 認証とセキュリティ
- GitHub認証フロー
- Personal Access Tokenの管理(優先順位:
GH_TOKEN>GITHUB_TOKEN) - IdP統合(エンタープライズ)
9.3 データ保護
パブリックプレビュー中のCopilot CLIではデータ保護が適用されます。組織のコンプライアンス要件に応じて、適切なプランを選択してください。
9.4 組織/エンタープライズによる機能の無効化
組織や企業経由でCopilotにアクセスする場合、組織オーナーまたは企業管理者が設定でCopilot CLIを無効化していると利用できません。
10. まとめ
GitHub Copilotの導入は、個人から大規模エンタープライズまで、明確な手順で進められます。技術者として重要なのは:
- 段階的な導入: 小規模から始め、フィードバックを収集
- 技術的準備: ネットワーク設定や認証フローの事前確認
- 柔軟な管理: セルフサービスモデルによる開発者の自律性
- 継続的な最適化: 新機能の活用と効果測定
これらを踏まえて導入を進めることで、Copilotは開発ワークフローの実質的な改善をもたらします。