Tips - AIモデルの切り替え方法
GitHub Copilotが複数のAIモデルに対応し、用途に応じて切り替えられるようになりました。この記事では、その仕組みと実装方法を詳しく解説します。
1. なぜモデル切り替えが必要なのか
AIモデルにはそれぞれ特性があります。あるモデルはコード生成に優れ、別のモデルはアーキテクチャ設計の議論に強い、といった違いです。従来は一つのモデルに縛られていましたが、タスクごとに最適なモデルを選べるようになったことで、開発効率が大きく向上します。
また、モデルごとに「プレミアムリクエストの消費倍率」が異なります。軽量なタスクには効率的なモデルを、複雑なタスクには高性能なモデルを使い分けることで、月間利用枠を賢く使えるようになりました。
2. 2つの独立したモデル設定
GitHub Copilotには、独立した2つのモデル設定があります。
それぞれ独立して設定できるため、例えば「チャットは高性能モデル、補完は高速モデル」という使い分けが可能です。
3. チャット機能でのモデル切り替え
3.1. 基本的な切り替え方法
VS Codeでの手順は以下の通りです。
- チャットビューの下部にある「CURRENT-MODEL」ドロップダウンをクリック
- 使用したいモデルを選択
3.2. Auto モード(自動選択)
「Auto」を選択すると、Copilotが可用性とレート制限を考慮して最適なモデルを自動選択します。モデルの特性を深く理解していない場合や、安定した動作を優先したい場合に有効です。
3.3. 外部モデルの追加
Anthropic、Gemini、OpenAIなどのモデルプロバイダーから、追加のモデルを利用できます。
追加手順:
- チャットビューの「CURRENT-MODEL」メニューを開く
- 「Manage Models」を選択
- プロバイダー一覧から追加したいものを選択
- 必要に応じてAPIキーまたはGitHub個人アクセストークン(PAT)を入力
- 利用可能なモデル一覧から追加したいものを選択
3.4. AI Toolkit for VS Codeとの連携
AI Toolkit拡張機能をインストールすると、さらに多くのモデルを追加できます。初回使用時にモデルのダウンロードや認証が求められる場合があります。
注意点:
- AI Toolkitは現在パブリックプレビュー段階です
- Copilot Extensionsを使用している場合、選択したモデルが上書きされる可能性があります
- 実験的なプレリリースモデルは、パブリックコード照合フィルターなど一部機能と正しく連携しない場合があります
4. インライン補完でのモデル切り替え
リアルタイムのコード補完に使用されるモデルは、チャットとは別に設定します。
4.1. 前提条件
- 代替モデルが利用可能であること
- VS Codeとその上のCopilot拡張機能が最新版であること
4.2. 変更手順
コマンドパレットから:
-
Ctrl+Shift+P(Windows/Linux)またはCommand+Shift+P(Mac)でコマンドパレットを開く -
change completions modelと入力 - 「GitHub Copilot: Change Completions Model」を選択
- ドロップダウンメニューから使用したいモデルを選択
現在のモデルを確認:
-
Ctrl+,(Windows/Linux)またはCommand+,(Mac)で設定エディターを開く -
copilot completionと検索 - 「GitHub > Copilot: Selected Completion Model」セクションを確認
フィールドが空の場合は、デフォルトモデルが使用されています。
4.3. 利用可能なモデルについて
利用可能なモデルリストは時間とともに変化します。インライン補完で利用できるモデルが1つだけの場合、モデルピッカーにはそのモデルのみが表示されます。プレビューモデルや追加のインライン補完モデルは、利用可能になり次第ピッカーに追加されます。
5. アクセス制御の仕組み
モデルへのアクセスは、プラン、クライアント、組織ポリシーによって制御されます。
5.1. 個人利用者の場合
Copilot Free、Pro、Pro+プランでは、初回使用時にモデルへのアクセス許可を求められます。
許可方法:
- エディターまたはGitHub上でモデルを初めて使用する際、プロンプトが表示される
- 「Allow」をクリックしてモデルを有効化
- GitHub個人設定でポリシーが自動更新される
または、GitHub Webサイトの個人設定から直接有効化することも可能です。
プランによっては利用できないモデルがあります。
5.2. 組織・エンタープライズの場合
管理者は、Copilot BusinessまたはEnterpriseシートを持つメンバーのモデルアクセスを制御できます。
カスタムモデルの統合:
組織オーナーは、サポートされているLLMプロバイダーのAPIキーを持参することで、独自のカスタムモデルを統合できます。組織メンバーに利用可能にすることができます。エンタープライズオーナーは、カスタムモデルを追加し、どの組織がそれらを使用できるかを選択できます。
Auto モードでの動作:
Copilot自動モデル選択で利用可能なモデルは、組織またはエンタープライズに設定されたポリシーに従います。
6. 実際の運用での考慮点
6.1. プレミアムリクエストの管理
モデルごとに消費倍率が異なるため、月間利用枠を意識した運用が重要です。
6.2. モデル切り替えのタイミング
Auto モードを使用している場合、新しいチャットセッションを開始する必要があります。右上の「new chat」ボタンをクリックして新規セッションを開始してください。
6.3. クライアントによる違い
この記事ではVS Codeを中心に説明しましたが、JetBrains IDE、Visual Studio、Web ブラウザー、Eclipse、Xcodeでも同様の機能が提供されています。各クライアントで操作方法が異なるため、対応するドキュメントを参照してください。
7. まとめ
GitHub Copilotのモデル切り替え機能により、開発タスクに応じた最適なAIモデルを選択できるようになりました。チャットとインライン補完で独立した設定が可能であり、組織レベルでのアクセス制御も柔軟です。
この機能を活用することで、開発効率の向上と利用枠の最適化を同時に実現できます。まずはAuto モードから始めて、徐々に各モデルの特性を理解していくのが良いでしょう。