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目的への誠実さ ― 構造が問いを保ち続けるチームデザイン

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はじめに

現場でチームが少しずつ目的を見失っていく瞬間ってありませんか?
その原因を「意識の低下」や「やる気の問題」として片づけるのは簡単です。
ただ根底にある原因は実は、構造の歪みのほうがずっと大きいのだと思います。

ものづくりの現場では、
「目的を守ること」と「現実に対応すること」はしばしば衝突します。
それは見方を変えれば目的への誠実さの欠如とも言えるのではないかと考えました。

本稿では、チームが「目的への誠実さ」をどのように維持できるかを、
構造的な観点から整理してみたいと思います。

誠実さとは何か

誠実さという言葉は、しばしば「徳」や「態度」として語られます。
けれど、現場で問われる誠実さはもう少し即物的です。
それは「目的 → 判断 → 行動 → 結果」がどれだけ整合しているか、
つまり、「目的に対してどれだけ誠実な結果を出せているか」ということです。
ちょっと堅い言葉を使うと「構造的な一貫性」の問題です。

要は目的を守り抜く構造のことです。

誠実さが崩れる構造

目的が失われていくとき、それは突然ではなく、
小さなズレの積み重ねとして静かに崩壊していきます。

  1. 目的の希薄化:目的の共有が不足している
  2. 目的の置換:“期限”や“体裁”が目的にすり替わる
  3. 目的の独立化:個々人が独自の目的をつくってしまう

たとえば、プロジェクト全体の成果を出すことよりも、
「上司からの評価を下げないこと」が目的になっている状態。
この段階では、すでに目的への誠実さが崩れはじめています。

そして3の段階に至ると、
当事者はそのズレを自覚できません。
目的が見えなくなったまま、“自分なりの正しさ”を信じて動き続けてしまうのです。

誠実さを保つための構造

目的への誠実さを保つには、
目的を再認識し続ける仕組みが欠かせません。

  • 定期的に“目的”を再確認する場があるか
  • 個々人の認識ズレを検知できる仕組みがあるか
  • 目的の変更が「個人判断」ではなく「構造的判断」として扱われているか

また重要なのは「実務の速度に目的の再認識が負けないこと」です。

たとえば、議論が白熱したら一旦、「手段」や「成果」から離れ、
“そもそもこの目的は何だったか”に立ち戻る瞬間。
その瞬間こそ、チームが誠実さを取り戻しているサインです。
これはある種、構造が問いを保ち続ける状態になっているとも言えます。

おわりに

目的への誠実さとは、構造の中で目的を維持する力です。
それを実現するのは「正しさを競うこと」でもなく「独自の目的を持ち出すこと」でもなく「問いを失わない仕組み」を持ち続けること。

静かな再調整の積み重ねこそが、
チームを支え、ものづくりを持続させる力です。

“目的への誠実さ”が問われるのは、特別な瞬間ではなく日常の判断の積み重ねの中です。

あなたのチームでは、どのくらいの頻度で目的を再確認していますか?

明日の会議ではぜひ、「この目的は何だったか?」と一度だけ立ち止まってみてください。
その一瞬が、チームの構造を少しだけ変えます。

あとがき

思想が構造を照らし、構造が行動を導く。
その導きがある限り、私たちは前に進める。

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