はじめに
Microsoft Discovery の Bicep クイックスタートは公開されていますが、実際に手を動かすと「事前に何を確認すべきか」「GitHub Copilot CLI と Azure MCP をどう絡めると楽か」で詰まりやすいです。そこで本記事では、GitHub Copilot CLI + Azure MCP + Microsoft Discovery の公式 Bicep テンプレートを使って、前提確認からデプロイ確認までを一気に進める手順をまとめます。[1] [2] [3]
2026年4月22日に Microsoft は Microsoft Discovery の Public Preview 拡大を発表しました。ここで強調したいのは、Public Preview は GA(General Availability: 一般提供)ではないという点です。つまり、誰でも評価しやすい公開段階には入っていますが、本番前提で長期固定された完成版という扱いではありません。機能、要件、サポート範囲、利用条件が今後変わる可能性があるため、まずは検証環境で試す前提で読むのが安全です。[9]
この記事で分かること
- GitHub Copilot CLI に Azure MCP を追加する方法
- Microsoft Discovery の Bicep テンプレートを使った Azure デプロイ手順
- デプロイ前に確認すべき権限・リソースプロバイダー・クォータ
- デプロイ後の確認とハマりどころ
想定読者: Azure 初学者〜中級者で、Microsoft Discovery をまず 1 回再現デプロイしたい人
⚠️ GAではないことに注意: Microsoft Discovery は現時点で Public Preview です。検証用途やキャッチアップには向いていますが、運用設計や本番導入を前提に読む場合は、将来の変更を見込んで最新ドキュメントを都度確認してください。[9]
前提条件
まずは Microsoft Discovery 側の前提を満たしているか確認します。
- Azure サブスクリプションが Microsoft Discovery プレビューで有効化されていること
Microsoft.Discoveryと依存リソースプロバイダーが登録済みであること- Platform / IT administrator 相当のロールがあること
- 対象リージョンで十分なクォータがあること[1] [5] [6]
Microsoft Learn のクイックスタートは、サブスクリプションの allow-list 登録、必要ロール、クォータ予約を前提にしています。さらに、リソースプロバイダー登録の解説ページでは Microsoft.Discovery に加え、Microsoft.Network、Microsoft.Compute、Microsoft.Storage、Microsoft.ManagedIdentity などの依存プロバイダーも事前登録対象として案内されています。[1] [5]
使用する環境
今回使うのは次の 3 つです。
- GitHub Copilot CLI: ターミナルから Copilot を使う
- Azure MCP: Copilot CLI から Azure を自然言語で参照する
- Azure CLI: 実際のリソース作成を行う
事前に以下を入れておきます。
copilot --version
az version
node --version
また、Azure CLI でログインしておきます。
az login
まず「どこで操作するか」を整理する
この記事では、通常のコンソール と GitHub Copilot CLI の対話画面 の 2 つが出てきます。混乱しやすいので、最初に役割を分けておきます。
| 操作場所 | 何をするか | 例 |
|---|---|---|
| 通常のコンソール |
az、curl などのコマンドを実行して実際にデプロイする |
az login, az deployment group create
|
| GitHub Copilot CLI の対話画面 |
/mcp add や自然言語プロンプトで Azure 状態を確認する |
/mcp add, List my Azure resource groups.
|
💡 見分け方: bash コードブロックは 通常のコンソール で実行、text コードブロックは Copilot CLI の対話画面 で入力するものとして読んでください。
GitHub Copilot CLI に Azure MCP を追加する
Azure MCP の公式クイックスタートに沿って、Copilot CLI に azure-mcp を追加します。[2]
ここは GitHub Copilot CLI の対話画面で行う操作です。
copilot
まず通常のコンソールで copilot を起動し、Copilot CLI の対話モードに入ったあと で次を実行します。
/mcp add
入力値は次のとおりです。
| フィールド | 入力値 |
|---|---|
| Server name | azure-mcp |
| Server type |
1 (local) |
| Command | npx -y @azure/mcp@latest server start |
| Environment variables | 空欄 |
| Tools | * |
保存後、次で認識を確認できます。
/mcp show
表示例:
● MCP Server Configuration:
• azure-mcp (local): Command: npx
GitHub Docs 側にも /mcp add と ~/.copilot/mcp-config.json の両方の設定方法があり、Copilot CLI から関連する MCP サーバーを自動利用できると説明されています。[3]
デプロイ前に Azure 側で確認すること
この章の bash コマンドは、通常のコンソールで実行します。
1. リソースプロバイダー登録
最低限、Microsoft.Discovery の登録状態を確認します。
az provider show --namespace Microsoft.Discovery --query "registrationState"
未登録なら登録します。
az provider register --namespace Microsoft.Discovery
依存リソースプロバイダーも必要です。記事執筆時点で公式ページに挙がっている代表例は以下です。[5]
Microsoft.NetworkMicrosoft.ComputeMicrosoft.StorageMicrosoft.ManagedIdentityMicrosoft.AuthorizationMicrosoft.CognitiveServicesMicrosoft.ContainerRegistryMicrosoft.ContainerServiceMicrosoft.KeyVaultMicrosoft.InsightsMicrosoft.Resources
2. 必要ロールの確認
ロール割り当ての公式ページでは、Platform administrator / IT administrator / DevOps engineer 向けに Microsoft Discovery Platform Administrator (preview) が定義されています。Microsoft Discovery のリソース作成と管理を広く行う前提なので、少なくとも自分の検証スコープで必要権限があるか確認します。[6]
3. クォータの確認
公式のクォータ解説では、VM SKU、Cosmos DB、Azure OpenAI / Azure AI Foundry モデルの TPM を事前確認するよう案内されています。クイックスタート既定のノードプール SKU は Standard_D4s_v6 です。[1] [7]
az vm list-usage --location "swedencentral" --query "[?contains(name.value, 'cores')]"
az cognitiveservices model list --location "swedencentral" --kind "OpenAI"
Copilot CLI + Azure MCP で事前確認する
Azure MCP をつないだら、Copilot CLI で Azure 状態を自然言語確認できます。たとえば次のような聞き方が便利です。[2]
ここは GitHub Copilot CLI の対話画面で入力します。通常のコンソールにそのまま貼り付ける箇所ではありません。
List my Azure resource groups.
Show whether Microsoft.Discovery is registered in my current subscription.
Check VM quota usage for swedencentral.
この段階では 状態確認は Copilot CLI + Azure MCP、実デプロイは Azure CLI と役割分担しておくと迷いにくいです。
Bicep テンプレートを取得する
ここから再び通常のコンソールに戻ります。
Microsoft Learn のクイックスタートは Azure Quickstart Templates の discovery-infra-deployment を参照しています。main.bicep は raw URL からそのまま取得できます。[1] [8]
curl -L -o main.bicep \
https://raw.githubusercontent.com/Azure/azure-quickstart-templates/master/quickstarts/microsoft.discovery/discovery-infra-deployment/main.bicep
テンプレートの既定値を見ると、以下のような構成が入っています。[1]
-
location:swedencentral -
nodePoolVmSize:Standard_D4s_v6 -
nodePoolMinNodeCount:0 -
nodePoolMaxNodeCount:3 -
chatModelName:gpt-5.2 - 5 サブネットを持つ VNet
Microsoft Discovery を Bicep でデプロイする
この章のコマンドも通常のコンソールで実行します。
まずリソースグループを作成します。
az group create --name rg-discovery --location swedencentral
続いて Bicep をデプロイします。
az deployment group create \
--resource-group rg-discovery \
--template-file main.bicep
Microsoft Learn の最小手順もほぼ同じで、az group create → az deployment group create の 2 コマンドです。Azure Quickstart Templates の README では、Supercomputer と Workspace のプロビジョニングに 15〜30 分 かかることがあると補足されています。[1] [8]
💡 まずは既定値で試す: 最初の 1 回はパラメーターをいじりすぎず、既定値ベースで成功体験を作るのがおすすめです。成功後に SKU や名前、リージョンを調整すると切り分けが楽です。
デプロイ後に確認する
公式クイックスタートでは、次のコマンドでリソース一覧を確認します。[1]
まずは 通常のコンソール で Azure CLI の確認を行います。
az resource list --resource-group rg-discovery --output table
確認ポイントは次のとおりです。
- VNet と 5 つのサブネットができている
- User Assigned Managed Identity ができている
- Storage Account と Blob Container ができている
- Microsoft Discovery Workspace / Supercomputer / Node Pool / Project が見えている
さらに、GitHub Copilot CLI の対話画面 に戻って Azure MCP で次のように聞くと確認が楽です。
List all resources in rg-discovery and summarize what was deployed.
Check whether the Microsoft Discovery workspace and supercomputer finished provisioning.
よくあるハマりどころ
1. サブスクリプションが有効化されていない
最初に詰まりやすいのはここです。テンプレートや CLI に問題がなくても、Microsoft Discovery preview の利用権がなければ進みません。[1]
2. リソースプロバイダー未登録
Microsoft.Discovery だけでなく依存プロバイダーも抜けがちです。特に検証用サブスクリプションでは未登録のままなことがあります。[5]
3. クォータ不足
VM、OpenAI モデル、その他周辺サービスのクォータが足りないと、テンプレートの途中で失敗しやすいです。デプロイ前にリージョンと SKU を決めてから確認するのが安全です。[7]
4. すべて同一リージョン前提
Quickstart Templates の README には「すべてのリソースは同じリージョンに置く」とあります。複数リージョンに分けたい場合は、まず既定構成の成功を優先したほうがよいです。[8]
片付け
検証が終わったらリソースグループごと削除できます。[1]
az group delete --name rg-discovery
まとめ
今回の流れを 3 行でまとめるとこうです。
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1 | Copilot CLI に Azure MCP を追加して Azure 状態確認をしやすくする |
| 2 | Microsoft Discovery の前提条件(権限、RP、クォータ)を先に潰す |
| 3 |
main.bicep を取得し、az deployment group create でデプロイする |
Azure MCP は確認の体験をよくする補助線、実際のデプロイは Azure CLI が本体として捉えると整理しやすいです。最初の 1 回を既定値で通したあとに、SKU や構成を自分向けにチューニングするとスムーズです。
参考資料
[1] Quickstart: Deploy Microsoft Discovery infrastructure using Bicep - Microsoft Learn, 2026-04-27 access
[2] クイック スタート: Azure MCP Server と GitHub Copilot CLI の統合 - Microsoft Learn, 2026-04-27 access
[3] GitHub Copilot CLI 用の MCP サーバーを追加する - GitHub Docs, 2026-04-27 access
[4] GitHub Copilot CLI Documentation - GitHub Docs, 2026-04-27 access
[5] Microsoft Discovery リソース プロバイダーを登録する - Microsoft Learn, 2026-04-27 access
[6] Microsoft Discovery でのロールの割り当て - Microsoft Learn, 2026-04-27 access
[7] Microsoft Discovery のクォータ予約 - Microsoft Learn, 2026-04-27 access
[8] Deploy Microsoft Discovery infrastructure - Azure Quickstart Templates, 2026-04-27 access
[9] Microsoft Discovery: Advancing agentic R&D at scale - Microsoft Azure Blog, 2026-04-27 access