1. はじめに
本記事では、IBM Turbonomic を活用した3社の事例から、FinOpsを「どう現場に根付かせているのか」という実践上の工夫をまとめます。
2. FinOpsとは(おさらい)
- FinOpsは「コスト削減活動」ではない
- 正しくは
クラウド利用を継続的に最適化するための運用の考え方 - 重要なのは
- 一度きりで終わらないこと
- 人に依存しすぎないこと
- 部門間で説明・合意できること
3. TurbonomicはFinOpsで何をしているのか
改めまして、Turbonomicは
リソース(ここでいうリソースは、CPU・メモリ・ネットワークなどのインフラリソース)を管理するツール。
特徴的なのは、リソースの縮小だけでなく「増強」も提案するところです。
事例① トヨタ紡織株式会社
トヨタ紡織様では、AWS環境の拡大に伴い、
- 利用が終わったサーバーが稼働し続ける
- 常時稼働が不要なリソースが止められていない
といった課題を抱えていました。また、属人的なツール開発により、リソースとコストの状況がブラックボックス化していた点も問題でした。
Turbonomic導入後は、リソースとコストの情報を可視化し、「なぜこのサイズが適切なのか」という根拠を持った判断が可能に。
さらに、時間帯や利用状況に応じた自動起動・停止(パーキング機能)により、人手を介さずにコスト最適化を継続できるようになりました。
結果として、AWS環境のコストを約20%削減すると同時に、
各システム担当者が自らの利用状況を理解し、主体的に改善する文化づくりにつながっています。
事例② NTTデータグループ
NTTデータグループでは、複数のクラウド環境が並行稼働する中で、
- コストの高止まり
- リソース管理の複雑化
がありました。
特徴的なのは、Turbonomicの推奨アクションを
業務影響度に応じて4段階に整理し、影響の少ないものから段階的に実行していた点です。
また、Turbonomicはリソース削減だけでなく、必要な箇所には増強提案も出すため、
「コストを削るためのツール」ではなく、
部門間で合意形成しやすいバランスの取れた運用を実現するツールとして受け入れられました。
事例③JBCC株式会社
JBCCは、クラウドの設計から運用までを担うマネージドサービスを提供する中で、
顧客企業のクラウドコストが想定以上に増加しているという課題に直面していました。
従来はクラウドごとに異なる基準で推奨が出され、SEによる個別検証が必要でしたが、
Cloudability と Turbonomic を組み合わせることで、
- マルチクラウドのコストを統一基準で可視化
- 最大90日間のリソース使用状況を加味した上でのリソース最適化提案
- 構成変更時のリスクや影響の事前把握
が可能に。
これにより、属人的な判断に依らないFinOps運用を実現されました。
最後に
3社の事例から見えてくるのは、FinOps成功ためには
- 継続的に回る運用設計
- 判断根拠を共有できる可視化
- 人と組織を動かす仕組みづくり
にあるという点です。
Turbonomicは、FinOpsを「頑張り続けないと回らない活動」から、自然に回り続ける運用プロセスへ変えるための土台として活用されていました。