ドキュメント管理の現場では、特定のファイルがどこに保管されているのかが不明瞭になりがちです。
そんな時、Power Automateを活用することで、シンプルで効率的なドキュメント管理を実現できます。
本記事では、自動化の仕組みを取り入れて ファイルの検索性を高める方法をご紹介します。
この仕組みを導入することで、「ファイル検索にかかる時間の削減」や「業務間の情報共有の円滑化」 に役立てることができます。
Power Automateの強力な自動化機能を駆使して、複雑なドキュメント管理をシンプルに変えるステップを一緒に学んでいきましょう。
目次
1.全体構成2.事前準備
3.Power Automateの全体像
4.各種設定
5.動作確認
6.応用案
7.まとめ
1.全体構成
今回作成するシステムの構成図です。2.事前準備
Power Automateを構築する前にドキュメント格納用のライブラリとドキュメント検索用のリストを用意します。▼SharePointライブラリ
ドキュメント格納先の役割として用意します。
以下はSharePointライブラリのイメージです。
ライブラリに以下の列を追加します。
No | 項目 | 内部名 | 種類 |
---|---|---|---|
1 | 検索用リストID | SearchID | 数値 |
※ライブラリ作成時は、既定で「登録日時」列と「更新日時」列が表示されていますので必要に応じて[ライブラリの設定]→ビューの項目にある[すべてのドキュメント]から列の表示/非表示を切り替えてください。
▼SharePointリスト
ドキュメントを検索する役割として用意します。
以下はSharePointリストのイメージです。
リストに以下の列を追加します。
No | 項目 | 内部名 | 種類 |
---|---|---|---|
1 | 拡張子 | FileExtension | 1行テキスト |
2 | 検索用リストID | FileURL | ハイパーリンク |
※「ID」列は [ライブラリの設定]→ビューの項目にある[すべてのドキュメント]から列の表示/非表示を切り替えてください。
3.Power Automateの全体像
今回作成するPower Automateフロー(以下フロー)の全体像です。SharePointライブラリにファイルが格納されると自動で実行されます。
大まかな構成としては、下記の順にフローが進みます。
1.変数の初期化
2.ファイルの名前と拡張子を分割
3.ファイルの名前と拡張子をそれぞれ変数に格納
4.SharePointリストにアイテムを登録
5.SharePointライブラリに格納したファイルのプロパティにリストIDを登録
4.各種設定
フローの各種設定について解説します。▼トリガーの設定
トリガーは[ファイルが作成されたとき (プロパティのみ)]を選択します。
トリガーを選択するとライブラリを設定する項目があるので事前準備で作成したドキュメント格納用のライブラリを指定します。
▼変数の初期化
ファイル名(拡張子)、ファイル拡張子、ファイルURLを格納するための変数を初期化します。
具体的には、「変数を初期化する」アクションを3つ追加します。以下のとおり設定します。(順不同)
設定値
No | Name | Type | Value |
---|---|---|---|
① | ファイル名 | String | <ブランク> |
② | ファイル拡張子 | String | <ブランク> |
③ | ファイルURL | String | (サイトURL)/<完全パス> |
※(サイトURL)はSharePointのサイトURLを直接入力します。
※<完全パス>は動的なコンテンツの「ファイルが作成されたとき (プロパティのみ)」から<完全パス>を選択します。
▼ファイル名と拡張子を分割する
ファイル名と拡張子の値を別々で取得するために[作成]アクションを追加し、以下の設定を行います。
設定値
入力(式) |
---|
split(triggerBody()?['{FilenameWithExtension}'],'.') |
▼ファイル名変数の設定
ファイル名変数に値を登録するために[変数の設定]アクションを追加し、以下の設定を行います。
設定値
Name | Value(式) |
---|---|
ファイル名 | first(outputs('ファイル名と拡張子を分割する')) |
▼ファイル拡張子変数の設定
ファイル拡張子変数に値を登録するために[変数の設定]アクションを追加し、以下の設定を行います。
設定値
Name | Value(式) |
---|---|
ファイル拡張子 | last(outputs('ファイル名と拡張子を分割する')) |
▼項目の作成
ファイル検索用リストにアイテムを登録するために[項目の作成]アクションを追加し、以下の設定を行います。
設定値
No | 項目 | 設定値 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | サイトのアドレス | (事前準備で使用したサイトを指定) | |
2 | リスト名 | (事前準備で作成したSharePointリストを指定) | |
3 | タイトル | <ファイル名> | 動的なコンテンツの「変数」から選択 |
4 | 拡張子 | <ファイル拡張子> | 動的なコンテンツの「変数」から選択 |
5 | ファイルURL | <ファイルURL> | 動的なコンテンツの「変数」から選択 |
▼ファイルのプロパティの更新
ライブラリに格納したファイルに検索用リストに登録されたアイテムのIDを紐づけるために[ファイルのプロパティの更新] アクションを追加し、以下の設定を行います。
設定値
No | 項目 | 設定値 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | サイトのアドレス | (事前準備で使用したサイトを指定) | |
2 | ライブラリ名 | (事前準備で作成したSharePointライブラリを指定) | |
3 | ID | <ID> | 動的なコンテンツの「ファイルが作成されたとき (プロパティのみ)」から選択 |
4 | 検索用リストID | <ファイル拡張子> | 動的なコンテンツの「項目の作成」から選択 |
5.動作確認
一通り、システムを構築したので実際の動きを確認します。Power Automateの実行履歴からフローの処理が成功したことを確認します。
検索用リストにアイテムが登録されたことを確認します。
今回アイテムIDが2で登録されております。
ドキュメント格納用のライブラリに格納したファイルの「検索用リストID」列にリストIDと同じ「2」が登録されたことを確認します。
6.応用案
構築した検索用リストについて、以下のように応用することが可能です。6-1.Power Automateのフローを横展開することで、複数のライブラリにまたがるドキュメントを一括検索できるようになります。
6-2.検索用リストに"カテゴリ"や"部署"といった列を設けることでファイルの絞り込みを行うことが可能となります。
これにより、ファイル名以外での条件で検索ができるようになり、同名のファイルが存在する場合でも区別ができるようになります。
7.まとめ
SharePointを運用していると、どこにどのファイルが置いてあるか?が分かりづらくなってしまうことがあるかと思います。もしそうなってしまった場合は本記事を運用改善のヒントとしてぜひPower Automateを構築してみてください。
最後に
テンダでは、「こんなプロジェクトに挑戦したい」「こんなチームで働きたい」「理想のチームを創りたい」と願う仲間を求めています。
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