― ラベル整理は“後”が正解。GAS連携まで含めた実践ガイド ―
🎯 概要
Gmailを長く使っていると、
- フィルタが増えすぎて管理不能
- ラベルが乱立してメールが見つからない
- 優先度の高いメールが埋もれる
- GASで削除しているのに動かなくなる
といった問題が発生します。
実際に Gemini(Googleの生成AI) を使って整理してみた結果、
最も効率の良い手順は次のとおりでした。
① 既存フィルタのクエリ最適化 → ② 必要ラベル構造を再設計 → ③ ラベル統合/名称変更 → ④ GASを修正
以降では、再現性のある「実践手順」と「Geminiへのプロンプト」まで含めてまとめます。
📌 なぜ“ラベル整理を先にやる”と破綻するのか?
多くのGmailフィルタは以下のように ラベル名に依存 しています。
Apply label: ProjectA
Apply label: Receipts
Apply label: LV1Important
先にラベル名を変えると、
- フィルタが参照しているラベル名が壊れる
- どのフィルタが何を処理していたか分からなくなる
- メールが誤ったラベルに振り分けられる
- GASの検索クエリ(label:xxx)が壊れる
という地獄が待っています。
したがって、フィルタ → ラベルの順番が最適解です。
🧩 全体フロー(再現性の高い順序)
1. フィルタ(クエリ)をAIで最適化する
2. 最適化されたフィルタ構成を元に「必要なラベルだけ」を再設計
3. ラベル名の変更・統合を実施
4. GAS(Apps Script)の検索クエリを修正する
5. 数日動作確認し、誤削除・誤アーカイブがないか確認
AIの能力を最大限活かすには、この順番が最も事故が少なく安定します。
🔍 Step 1:既存フィルタをGeminiで棚卸しする
1-1. Gmailフィルタをエクスポート
設定 → フィルタとブロック → エクスポート
→ mailFilters.xml が取得できる。
1-2. Geminiに渡すプロンプト(実際に使ったもの)
以下はGmailのmailFilters.xmlです。
- 条件の重複
- 論理的矛盾
- 優先度の見直し
- 統合できるフィルタ
- 不要なフィルタ
- 命名規則の改善
を指摘し、最適化後のフィルタ構成案を生成してください。
1-3. Geminiがやってくれること
- 重複条件の統合
- 矛盾・過剰条件の削除
- 優先度(LV1, LV2, LV3)の自動分類
- from / subject / negation の最適化
- ラベル構造案の提示
- 使っていないラベルの抽出
人間が数時間かかる作業が数十秒で終わる。
📁 Step 2:フィルタ最適化をもとにラベル再設計
Geminiが整理したフィルタを元に、
必要なラベルだけを抽出し、命名規則を統一する。
推奨命名例(AIがよく生成する)
[LV1] Client-ProjectA
[LV1] Billing-Invoice
[LV2] Internal-Meeting
[LV2] System-Alert
[LV3] Promo-Newsletter
[LV3] SNS-Twitter
レベル prefix(LV1 / LV2 / LV3)を付けると管理しやすい。
🏷️ Step 3:ラベルの名称変更・統合
フィルタのロジックが安定したあとで、
- 使っていないラベルの削除
- 名前の統一
- 系統別にprefix付与
を行う。
Google公式UIでは複数ラベルの一括操作ができないため、
この段階もGeminiに「ラベル整理の手順」をまとめさせると楽。
⚠ Step 4:GASスクリプト側のクエリも必ず修正する
ここが最も見落としやすいポイント。
GASでメール削除や整理をしている場合、
GAS内に検索クエリがハードコーディングされている。
例:
var threads = GmailApp.search('label:OldLabelName');
var threads = GmailApp.search('from:amazon.co.jp');
var threads = GmailApp.search('subject:(請求書) -from:boss@example.com');
ラベル名や条件を変えると、
GASが正しく動かなくなる/誤削除する可能性がある。
4-1. Geminiにスクリプトを渡すプロンプト例
以下はGASのコードです。
Gmailフィルタを最適化してラベル名と検索クエリが変わりました。
このスクリプト内のクエリを、現在のフィルタ構成に合わせて修正してください。
Geminiは、差分を比較しながら正しいクエリを自動で生成してくれる。
🔧 Step 5:数日間モニタリングして誤動作チェック
- 誤って削除されていないか
- フィルタが意図どおりに作動しているか
- GASの動作が安定しているか
を確認する。
必要ならGeminiに
「昨日のログを基に、GASの動作ログから異常がないか分析して」
と丸投げしてもよい。
📘 付録:Geminiに渡す万能プロンプト(保存推奨)
以下の3つの資料を入力します。
1. GmailのmailFilters.xml
2. ラベル一覧(スクリーンショットでも可)
3. 使用中のGASソースコード
これらを基に、
- フィルタの重複・矛盾の解消
- 優先度別フィルタ構造案の生成
- 不要ラベルの抽出
- 新しい命名規則案
- GASの検索クエリ修正版
- 修正後のmailFilters.xml(生成可能な範囲で)
を出力してください。
🧠 まとめ:Gmail × 生成AI は“圧倒的に効果が高い”
- ラベルからいじるのは危険
- フィルタ → ラベル → GAS の順で整理する
- GeminiはGmail仕様・検索構文・GASを深く理解しているため相性が良い
- メール管理のストレスを大きく削減できる
生成AIの活用例としては地味ですが、
日々の業務効率に直結する非常に有効な使い方です。