以前執筆した「初心者向け入門書2冊を比較してみた」という記事で、紹介した本それぞれについて記事を書くと言っていたのにずっと放置していたので、1冊ずつ紹介していきます。
今回は『改訂3版 これからはじめるプログラミング 基礎の基礎』を紹介します。
#どんな本?
タイトル通り「プログラミングの基礎の基礎」から学ぶ入門書です。
「コンピューターの仕組みって?」「そもそもプログラミング言語って何?」など、土台の部分を丁寧に説明してくれています。
「プログラミングを始めたものの、基本的なことがよく分からない」という初心者の方には最適な良書です。
また「新人さんに基礎を教えたいけど、どう教えたらいいか分からない」という中級以上の方にもおすすめかと思います。
ただし、特定の言語について解説しているわけではないので、あくまで全体像をつかみたい方向けです。
また、丁寧に説明している分ページ数も多いので、活字が苦手な方は読むのがつらいかもしれません。
#おすすめしたい理由
この本をおすすめしたい理由は以下の3点です。
1. 文章が分かりやすい
2. 実例が分かりやすい
3. プログラミングに必要な考え方や概念を丁寧に説明
以下でひとつずつ説明していきます。
##文章が分かりやすい
専門用語を多用しない、読みやすい文章なので、「入門書なのに分かりづらい…」と感じることは少ないでしょう。
例えば、プログラムに関しては以下のように書かれています。
プログラムは、コンピューターを動かすために欠かすことのできない大切なものです。その正体は、
コンピューターが何をすればよいのかを細かく書いた指示書
です。
p.24 第1章「コンピューターと仲良くなろう」より
他の項目についても、上記のように分かりやすく説明してくれています。
##実例が分かりやすい
この本でプログラムを作ることはできませんが、どんな考えや手順が必要なのかは知ることができます。
著書内で実例がたくさん出てきますが、個人的に印象に残っているのは、お掃除ロボットのプログラムを作る章です。
テレビのリモコンや宅配ピザのチラシが床に落ちている、畳んでない洗濯物が室内に放置、ついでに昨日着ていたスーツもソファに放置。
という状態の 汚部屋 雑然とした部屋を片付けて、掃除まで終わらせるために、どんな指示を出したらいいかを考えます。
答えを先に言ってしまうと、整理整頓→掃除 が主な手順となります。
この実例から、プログラミングの前に仕事内容や手順を決めるのが大事だと分かります。
プログラミングに限った話ではありませんが。
ちなみに、例題のお掃除ロボット、著書内では指示内容が90項目ありました。
実際にコード書いたら、どのくらいになるんでしょうね……
##プログラミングに必要な考え方を丁寧に説明
この本は、全12章、299ページなのですが、うち4分の1はプログラミングに必要な考え方の説明に割かれています。
他の入門書は概念の説明だけで全体の4分の1も使わないでしょうから、かなり丁寧です。
最初の第1章〜第3章までがその部分に当たるのですが、コンピューターが動く仕組みから、プログラムを作る前にやるべきことまで細かく書かれています。
ここでコンピューターの特性と、プログラミング言語が必要な理由が説明されているので、いきなりコードを打つより理解が深まるのではないでしょうか。
#まとめ
プログラミングに関する様々な概念の背景を知ることができるので、個人的には良書だと思います。
ただ、背景なんてどうでもいいから、とにかく手を動かしたいという人には不向きかもしれません。
著者は「そういう人にこそ読んでほしい」と言っていますが。
ちなみに、変数、関数、論理演算子など、全言語共通の概念についても、もちろん説明されていますよ。