DNSとは?
DNS(Domain Name System)とは、ドメイン名をIPアドレスに変換し、特定のサーバーにリクエストを送ることができるようにするための仕組みです。
必要な理由
インターネット上で通信を行う際、コンピュータは実際にはIPアドレス(例:192.0.2.1)を使用して通信を行います。しかし、人間にとってexample.comのようなドメイン名の方が覚えやすく、理解しやすいため、ドメイン名とIPアドレスを対応付ける仕組みが必要になりました。
DNSは以下の理由で必要不可欠です:
-
人間にとって分かりやすい:
google.comの方が142.250.191.14よりも覚えやすい - 負荷分散:1つのドメイン名に複数のIPアドレスを紐付けることで、トラフィックを分散できる
- サービス管理:同じサーバーで複数のサービスを提供する際に、異なるドメイン名で区別できる
名前解決に必要な主要な構成要素
DNSの名前解決には、以下の主要な構成要素が関与します:
1. DNSクライアント(リゾルバ)
- ブラウザやアプリケーションからDNS問い合わせを開始するプログラム
- 通常はOSに組み込まれている
2. 再帰リゾルバ(Recursive Resolver)
- クライアントからの問い合わせを受け取り、最終的な答えを見つけるまで問い合わせを続けるサーバー
- ISPが提供するDNSサーバーや、Google Public DNS(8.8.8.8)、Cloudflare DNS(1.1.1.1)など
- キャッシュ機能を持ち、一度解決したドメイン名を一時的に保存する
3. ルートネームサーバー(Root Name Server)
- DNS階層の最上位に位置するサーバー
- 全世界に13台存在し、各トップレベルドメイン(.com、.org、.jpなど)の権威ネームサーバーの情報を保持
- 例:
.comドメインの権威ネームサーバーはどこにあるかを教えてくれる
4. 権威ネームサーバー(Authoritative Name Server)
- 特定のドメインに関する情報を正式に管理するサーバー
- ドメインの所有者が設定・管理する
- 最終的なIPアドレス情報を提供する
クライアントがIPアドレスを知るまで
クライアントがIPアドレスを知るまでの流れは、以下のような段階を経ます:
-
クライアント側の問い合わせ:ブラウザが
example.comにアクセスしようとする -
再帰リゾルバへの問い合わせ:クライアントは再帰リゾルバに「
example.comのIPアドレスは?」と問い合わせる - 階層的な問い合わせ:再帰リゾルバがルートサーバー、TLDサーバー、権威ネームサーバーへ順に問い合わせる
- 結果の返却:最終的に得られたIPアドレスがクライアントに返される
- キャッシュ:再帰リゾルバは結果をキャッシュし、次回の問い合わせを高速化する
名前解決のステップ
再帰的な問い合わせの流れ
以下は、www.example.comのIPアドレスを取得する際の典型的な再帰的な問い合わせの流れです:
┌─────────┐
│ クライアント │
│ (ブラウザ) │
└────┬────┘
│ 1. www.example.comのIPアドレスは?
▼
┌─────────────────┐
│ 再帰リゾルバ │
│ (ISPのDNSサーバー)│
└────┬────────────┘
│ 2. www.example.comのIPアドレスは?
▼
┌─────────────────┐
│ ルートネームサーバー │
│ (.) │
└────┬────────────┘
│ 3. .comの権威ネームサーバーは?
▼
┌─────────────────┐
│ TLDネームサーバー │
│ (.com) │
└────┬────────────┘
│ 4. example.comの権威ネームサーバーは?
▼
┌─────────────────┐
│ 権威ネームサーバー │
│ (example.com) │
└────┬────────────┘
│ 5. www.example.comのIPアドレスは 192.0.2.1
▼
┌─────────────────┐
│ 再帰リゾルバ │
│ (結果をキャッシュ) │
└────┬────────────┘
│ 6. IPアドレス: 192.0.2.1
▼
┌─────────┐
│ クライアント │
│ (ブラウザ) │
└─────────┘
詳細なステップ説明
-
クライアントから再帰リゾルバへ
- ブラウザが
www.example.comにアクセスしようとする - OSのDNSリゾルバが、設定されている再帰リゾルバ(例:8.8.8.8)に問い合わせる
- ブラウザが
-
再帰リゾルバからルートサーバーへ
- 再帰リゾルバは、まずルートネームサーバーに問い合わせる
- ルートサーバーは「
.comドメインの情報は、.comのTLDネームサーバーに聞いてください」と返答
-
TLDネームサーバーへ
- 再帰リゾルバは
.comのTLDネームサーバーに問い合わせる - TLDサーバーは「
example.comの情報は、example.comの権威ネームサーバーに聞いてください」と返答
- 再帰リゾルバは
-
権威ネームサーバーへ
- 再帰リゾルバは
example.comの権威ネームサーバーに問い合わせる - 権威ネームサーバーは「
www.example.comのIPアドレスは192.0.2.1です」と返答
- 再帰リゾルバは
-
結果の返却とキャッシュ
- 再帰リゾルバは結果をクライアントに返す
- 同時に、結果をキャッシュに保存する(TTL:Time To Liveに従って一定時間保持)
キャッシュの重要性
一度名前解決が完了すると、再帰リゾルバは結果をキャッシュに保存します。次回同じドメイン名への問い合わせがあった場合、キャッシュから即座に結果を返すことができるため、DNS問い合わせの速度が大幅に向上します。
まとめ
DNSは、人間が理解しやすいドメイン名を、コンピュータが通信に使用するIPアドレスに変換するための重要な仕組みです。
- DNSの役割:ドメイン名とIPアドレスの対応付け
- 主要な構成要素:DNSクライアント、再帰リゾルバ、ルートネームサーバー、TLDネームサーバー、権威ネームサーバー
- 再帰的な問い合わせ:階層的な構造を利用して、ルートサーバーから順に問い合わせを進め、最終的に権威ネームサーバーからIPアドレスを取得する
- キャッシュ機能:一度解決した結果を保存することで、次回の問い合わせを高速化する
この仕組みにより、私たちはgoogle.comやgithub.comのようなドメイン名で、世界中のサーバーにアクセスできるようになっています。