はじめに
先日行われた、PLATEAUアカデミー ~3D都市モデル作成コース~ 道路・建築物編(大阪会場) を受講しました。
2日間の開催で、3D都市モデル(CityGML形式)の交通(道路)モデル(LOD1)と建築物モデル(LOD0+1)の作成を目標として様々な作業を行いました。
私は新卒2年目で、GISや3Dデータ(主に点群データ)については多少触っているものの、体系的な知識はあまりないので、この講習会で勉強になることが多くありました。
作業の流れ
○1日目
- 各種ソフトウェアの概要およびインストール
- QGIS、公共測量成果検査支援ツール(PSEA)、ExifTool、COLMAP、サクラエディタ、CloudCompare、Ralpha Image resizer
- 交通モデル(LOD1)の作成
- 資料収集、DMデータから道路縁ポリゴンデータの作成、交差点処理、幾何検査
○2日目
- 交通モデル(LOD1)の作成(続き)
- 属性情報の付与、符号化、品質検査
- 建築物モデル(LOD0+1)の作成
- 資料収集、DMデータから建物データの作成、属性付与、符号化、品質検査
(2日目の作業として、無償ソフトウェアを利用して航空写真データから建物データに高さを付与するためのDSMの作成を行う予定でしたが、時間の都合上その作業は省略になった)
全体的な作業の難易度として、QGISの操作は概ね理解できた一方、FME Flowなど普段使ったことのないソフトウェアの操作は慣れるのに少し時間がかかりました。また、全体的に駆け足気味であったため、一度エラーが発生すると追いつくことが大変でした。
作業についての感想
交差点処理
・交差点処理は思っているよりもはるかに時間がかかる作業であった。
・特に、三叉路を区切る垂線を引く作業はかなりの時間を要するとともに、隅切りが曲線的な道路の交差点では直観的に垂線を引く判断が難しいと思った。
・また、交差点処理の方法に則って作業をすると、三叉路または四差路以上の判断が難しい変則的な交差点や鍵型の交差点も存在した。特に、歴史的な都市ではこのような判断の難しいケースがたくさんあるのではと思った。
品質検査
・FME Flowを使うことで、とても便利に符号化(shp→CityGML)及び品質検査を行うことができた。
・品質検査でエラーが発生した際に、データの総数(道路データであれば切断した道路数)のエラーであれば属性テーブルの列の要素やデータの変換型式に誤りが、1~2個程度のエラーであれば交差点処理のミスなどが考えられる。ただし、エラーの詳細はFME FlowでExcelシートに出力して確認することができるが、QGISと連動しているわけでは無いので、(作業量が増えれば増えるほど)エラーの発生源を探すことが大変であると感じた。
省略した作業(DSMの作成)についてやってみた
前提:この作業は有償ソフトウェアにおいて自動で行われる工程を、無償ソフトウェアで可能な限り再現するといった流れである。作成した点群データは密度等が粗いため、これ以降の工程で使用しない。
この作業のおおまかな流れは以下の通り
①…収集した航空写真データをtif形式からjpg形式に変換
②…航空写真の同時調整結果を基に航空写真へExif情報を付加
③…航空写真から特徴点を抽出し、三次元点群データを作成
作業した結果は以下の画像の通りである。(左:無償ソフトウェアで作業した点群データ(点数:約14,000点)、右:有償ソフトウェアであらかじめ変換された点群データ(点数:約1,700,000点))

後の作業では、点群データを用いて建物データに高さを付与するため、画像左の点群データでは高さの正確な付与が困難である。また、画像左の点群データはそもそもデータの範囲(XYZの領域)が小さいようにも感じる。
あとがき
・今回の作業では品質検査に有償ソフトウェアであるFME Flowを用いたが、3D都市モデル標準製品仕様書第5版からは(PLATEAU VIEW 4.0に含まれる)PLATEAU Flowを用いて検査ができるようになっている。オープンソースとしてシステムやマニュアルが公開されており、様々な可能性が広がると感じた。
・この講習を受講した後に、PLATEAUのホームページや他のサイトで3D都市モデルを用いた開発事例が多く公開されていることを知り、まずそれらを触って体験してみたいと思った。
