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RAG構築はもう怖くない!AI Applicationsで実装〜GoogleCloudNextTokyo25で得たTipsを実践しました〜

Last updated at Posted at 2025-08-25

こんにちは!GIFTechエンジニアの佐藤です。

現在、私たちは「伝統工芸 × AI」をテーマとしたプロジェクトを進めています。

第一弾の記事はこちら👇

▼プロジェクト詳細

本記事はその続編として、職人さんの創造性を拡張するためのAIエージェントアプリの裏側をご紹介します。

特に今回は、プロダクトを支える RAG (Retrieval-Augmented Generation)
AI Applications の実装・活用について解説します。

...裏話👀
2025年8月5日・6日と開催されたGoogleCloudNextTokyo2025に行って、データブースいらっしゃったエンジニアの方に相談させていただき、この機能を試す価値があると学び、取り入れることにしました!

なぜRAGが必要なのか?

大規模言語モデル(LLM)は膨大な知識を持っています。
ただし、こんな課題があります。

  • 東京銀器の歴史や背景
  • 日伸貴金属独自の技術
  • 世界をターゲットとした市場の需要

こうした ニッチな専門知識 はLLMだけでは補えません。
その結果、このプロダクトのゴールとなる精度に根差した具体的なアウトプットを得るのが難しいのです。

そこで登場するのが RAGを活用したデータ基盤。
専門データを組み合わせることで、LLMに不足している知識を補い、よりユーザーライクな現実的で説得力のあるアイデアを生成できます。

RAGの仕組みをざっくり解説

RAGは大きく3ステップに分けられます。

1. データのインジェストとベクタライズ

  • オープンデータ、公式サイト、職人さんの過去作品データを収集
  • テキストをベクトル化

2. リトリーバル(検索)

  • ユーザーのクエリ(例:「ドイツ市場向けのモダンな酒器」)をベクトル化
  • ベクトル検索とキーワード検索を組み合わせた ハイブリッド検索 で高精度に情報取得

3. オーグメンテーションとジェネレーション

  • 取得した情報をGemini などのLLMに組み込み生成

RAGを入れることで、LLMは「東京銀器の歴史を踏まえた海外市場向けデザイン提案」といった、リアルで価値ある答えを返せるようになります。

RAGを支えるAI Applications

「RAGって自分で作ると大変そう…」と思った方もいるかもしれません。
実際、データ収集・埋め込み・インデックス作成・検索API…と構築には多くの手間がかかります。

今回私たちのチームにはデータサイエンティストの方にも協力いただいているのですが、
ところがどっこい諸事情で構築作業が不可能に・・・。代わりに一度私が作業を行うことに🙇‍♀️

そこで活用したのが Google Cloud AI Applications です。(旧Vertex AI Search)

▼AI Applicationsとは?

AI アプリケーションを使用すると、機械学習のスキルが限られている開発者でも、Google の基盤モデル、検索の専門知識、会話型 AI テクノロジーを活用して、エンタープライズ グレードの生成 AI アプリケーションを作成できます。

このサービスを使うことで、

  • データの登録 → 自動で埋め込み処理
  • 構造化データであれば自動でスキーマ作成
  • インデックスの作成 → Vertex AI Matching Engineが自動対応
  • Search APIでの高速検索

と、RAGの仕組みを ほぼノーコードで実現 できます。

構造化データ(json)や非構造化データ(pdf)などをインポートできます。
Deep Researchしたドキュメントなどを読み込ませることもできました。
今回はより検索の精度上げの改修が入った時に柔軟性があるjsonl形式のデータにして読み込ませました。

具体的な実装方法

  1. Google Cloud上で「AI Applications」を検索し、サービスにアクセスします

  2. 「アプリの作成」を選択し、新規アプリを作成します
    ユースケースに最も適したアプリの種類を選びます。今回はRAGを実装するため、「カスタム検索」を選択し、アプリ名などの初期設定を行います。
    image.png
    image.png

  3. 事前に準備したデータを指定します
    今回のプロジェクトでは、Cloud Storage上に保存した構造化データ(JSONL形式)を利用します。
    スクリーンショット 2025-08-08 17.08.28.png
    スクリーンショット 2025-08-08 17.08.35.png

  4. データのインポートが完了すると、AI Applicationsが自動でスキーマを設定します
    この処理が迅速に行われるため、開発効率が大幅に向上します。
    また、スキーマは後から手動で修正できるため、より柔軟なデータ管理が可能です。
    スクリーンショット 2025-08-08 17.35.57.png

これでAI Applications側の構築は完了です。
「プレビュー」機能でGUIやCloudShellで検索の確認を簡単に行うことができます!
アプリ側でAPIとして呼び出すことができるので、その実装をして、繋ぎこみ完了となります!!

今後は、中身のデータをブラッシュアップしてインポートさせたりスキーマを調整するなどを行います。

成果とこれから

今回の取り組みで実現できたこと:

  • 伝統工芸 × AIの新しい価値創出
  • 職人さんの創造性を支援する仕組みの確立
  • 世界市場を意識した提案の効率化

今後は、
このプロダクトを通したユーザー(伝統工芸品を購入する世界のユーザー)に向けたインサイトデータを集め、学習させるといった挑戦を進めていきます。

SNSやオープンソースでは得られない情報を集めるのに街頭インタビューも行っているのです・・・
最新情報はXにも投稿してますのでぜひコメントなどお待ちしております🎵

まとめ

  • LLMだけでは専門的な知識はカバーできない
  • RAGを使うことで外部知識を組み込み可能
  • AI Applicationsを活用すれば構築・運用が圧倒的に楽になる

テクノロジーは伝統を壊すものではなく、その価値を拡張するツール だと私たちは考えています。
これからも、AIを活用して日本の伝統工芸が世界で新しい輝きを放つ未来を創っていきます。


▼来月、弊社にてQiita Bashを開催します!ぜひきてくださいー!

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