はじめに
企業のデジタルトランスフォーメーションが加速する中で、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドの導入が主流となり、データセンターには高性能と柔軟性が求められています。HPC、AIトレーニング、大規模データ分析といった需要の拡大に伴い、帯域幅の大幅な強化が不可欠となりました。顧客のクラウドデータセンターには現在、高性能・高弾力性・低TCOという三つの要件を満たすインフラを必要としています。しかし25Gネットワークは、それらの新しいビジネスシナリオに対応しきれず、ボトルネックが顕在化しています。こうした状況で、ITソリューションプロバイダーは顧客と技術をつなぐ橋渡し役として、顧客のクラウドデータセンターを25Gから100Gへのアップグレードを支援することが不可欠であり、これが企業の競争力を高める鍵となります。
クラウドDCのアップグレードにEVPN-VXLANを採用する理由
- 大規模マルチテナント環境への対応:クラウドデータセンターでは、複数の顧客やアプリケーションを同一ネットワーク上で安全に分離する必要があります。EVPN-VXLANは論理的なネットワーク分離を提供し、マルチテナント環境でも柔軟な構築を可能にします。
- 拡張性と柔軟性の確保:従来のL2/L3ネットワークでは、ポート数やVLAN数の制約により大規模拡張が難しいです。VXLANはオーバーレイ技術として、仮想ネットワークを自由に追加でき、スケーラビリティを確保します。
- 25Gから100Gへのアップグレードに対応:高性能なネットワーク帯域が必要なHPCやAI、大規模データ分析において、従来の25Gでは帯域が不足です。EVPN-VXLANは100Gネットワーク環境でも効率的に運用でき、アップグレード時の柔軟性を提供します。
- 運用効率と自動化の向上:EVPN-VXLANはコントロールプレーンとデータプレーンを分離する構造を持ち、自動化・集中管理が容易になります。自動設定により、導入と運用工数を削減できます。
- 高信頼性とネットワーク可用性の強化:EVPNはマルチパスや冗長リンクをサポートし、フェイルオーバー時の通信断を最小化します。データセンターのサービス品質維持とSLA達成に貢献します。
未来を加速するクラウドDC向けFS自動化EVPN-VXLANアーキテクチャ
FSは、クラウドデータセンターのネットワークを25Gから100Gへアップグレードするために、高性能で拡張性のあるスパインリーフ型アーキテクチャを採用しています。自動化運用を可能にするAmpCon-DC管理プラットフォームと、柔軟で安全なEVPN-VXLAN技術を組み合わせることで、クラウドDCの運用効率とサービス品質を大幅に向上させる構成となっています。
スパイン層:N8550-64Cが配置され、クラスタ全体の高帯域バックボーンを担います。そのスパインスイッチはN8550-32Cにも接続します。N8550-32Cの間はMLAG(Multi-Chassis Link Aggregation)を採用して冗長化接続を導入し、リンク障害が発生してもトラフィックを中断させない安定した構成を確保します。
リーフ層:N8550-48B8C、N5850-48X6C、N5570-48S6Cが展開され、サーバー群やファイアウォールと直接接続することで、クラウド基盤に求められる大規模並列アクセスと安定した低遅延通信を提供します。それぞれのリーフはスパインと高帯域で接続され、MLAGを活用することで、仮想化基盤(VMware、OpenStack、Bare Metal環境)やセキュリティ機器に対しても冗長性と拡張性を両立させています。

このアーキテクチャの核となるのがEVPN VXLANプロトコルです。VXLANは従来のVLANのスケーラビリティ制限を克服し、数万規模のセグメントを仮想的に構築可能にします。また、EVPNを組み合わせることで、マルチテナント環境において動的かつ効率的なMAC/IPルート学習を可能とし、サーバーやアプリケーションがどのリーフに接続されていてもシームレスに通信できる環境を実現しています。
さらに、FSの自動化EVPN VXLANアーキテクチャは、AmpCon-DC管理プラットフォームとPicOS®の統合により、自動構成・集中管理を実現し、クラウドデータセンターに求められる高性能・高信頼性・柔軟性・低コストを同時に満たすソリューションとなっています。
製品一覧
| 製品タイプ | モデル | 説明 |
|---|---|---|
AmpCon-DC管理プラットフォーム
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LIS-AMPCON-DC-FPSW-Foundation | AmpCon-DC 管理プラットフォーム 1/3/5 年サブスクリプション(データセンター向けサポートサービス付き) |
PicOS®データセンタースイッチ
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N8550-32C | N8550-32C 32ポート L3データセンタースイッチ(32x 100Gb QSFP28、2x 10Gb SFP+、PicOS®、Broadcom Trident 3チップ) |
| N8550-64C | N8550-64C、64ポート イーサネットL3データセンタースイッチ(64x 100Gb QSFP28、PicOS®、Broadcom Tomahawk 2チップ) | |
| N8550-48B8C | N8550-48B8C、48ポート イーサネットデータセンタースイッチ(48x 25Gb SFP28、8x 100Gb QSFP28アップリンク、2x 10Gb SFP+付き、PicOS®、Broadcom Trident 3チップ) | |
| N5850-48X6C | N5850-48X6C、48ポート イーサネットデータセンタースイッチ(48x 10G RJ45、6x 100G QSFP28アップリンク付き、PicOS®、Broadcom Trident 3チップ) | |
| N5570-48S6C | N5570-48S6C 48ポート イーサネットデータセンタースイッチ(48x 10G SFP+、6x 100G QSFP28アップリンク付き、PicOS®、Broadcom Trident 3チップ) | |
ラックサーバー
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RS5230 | RS5230、2Uラックサーバー(2x Intel® Xeon®スケーラブルプロセッサ搭載、最大2GBのメモリ、12x 3.5''/2.5''ホットスワップSAS/SATA/SSDドライブベイ、2x RJ45 1GbEポート、550W冗長電源) |
ファイアウォール
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NSG-5220 | NSG-5220 次世代ファイアウォール(16x 1Gb RJ45、8× 1Gb SFP、2× 10Gb SFP+、デフォルトで1年間ライセンス、ライセンス更新とサブスクリプションサービスのオプションが利用可能) |
ネットワークアダプタ
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IntelXXV710 | IntelxXV710ベースのイーサネットネットワークアダプタ、25GデュアルポートSFP28、PCIe 3.0x 8、標準型およびロープロファイルブラケットを同梱) |
| X550AT2-2TP | Intelx550-AT2ベースのイーサネットネットワークアダプタ(10GBase-Tデュアルポート、PCIe 3.0x 4、標準型およびロープロファイルブラケットを同梱) | |
光トランシーバーモジュール
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QSFP-SR4-100G | Cisco QSFP-100G-SR4-S互換 100GBASE-SR4 QSFP28光モジュール(850nm 100m DOM MTP/MPO-12 MMF) |
| SFP-25GSR-85 | FSスイッチ用 25GBASE-SR SFP28モジュール(850nm 100m LCデュプレックス MMF DOM) | |
光パッチケーブル
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12FMTPOM4 | 2m(7ft) MTP®-12 UPC(メス) - MTP®-12 UPC(メス) MTP®ジャンパーケーブル(12芯、OM4マルチモード、プレナム/OFNP、最大0.35dB、タイプB、マゼンタ) |
| OM4LCDX | 1m(3ft) LC/UPCデュプレックス-LC/UPCデュプレックス マルチモード 光パッチケーブル(2芯、OM4、ライザー/OFNR、2.0mm、タイトバッファ、水色) |
競争力を高めるFS自動化EVPN-VXLANソリューションの価値
迅速なEVPN-VXLAN導入と運用効率の向上
FSはAmpCon-DC管理プラットフォームを活用することで、EVPN-VXLANアーキテクチャの導入と運用を大幅に簡素化します。自動化された構成管理、トポロジーの可視化、リアルタイム監視によって、手動設定にかかる時間を削減し、拡張性・セキュリティ・効率を高めます。さらに、ZTPやテンプレートを利用した自動VXLANデプロイにより、スパインリーフルーティングやVXLANトンネルの構築を迅速に行えます。BGP EVPNの自動展開やFlood抑制、分散ゲートウェイの自動設定によって、効率性と低遅延通信を同時に実現します。

高信頼性を確保する設計とハードウェア
FS EVPN-VXLANソリューションは、ソフトウェア、プロトコル、ハードウェアを統合的に最適化し、安定したネットワーク運用を可能にします。PicOS®ソフトウェアはモジュラー設計とデュアルパーティションのロールバック機能を備え、マルチレイヤーセキュリティにより高い信頼性を確保します。さらに、PicOS®はAmpCon-DCによる自動構成と集中管理を組み合わせることで、データセンターネットワークにおいて、より低TCOでプログラマブルかつ回復力が高く効率的な運用を実現します。加えて、N+1冗長電源やスマートファンがシステムの安定稼働を支え、MLAGやEBGP/ECMPによる冗長設計がネットワーク全体の可用性を高めます。標準化されたPODベースのアーキテクチャにより、大規模なクラウドDCでも柔軟かつ効率的に拡張できます。

可視化とスマートO&Mによる高度な運用管理
FS自動化EVPN-VXLANソリューションは、ネットワークの設計から運用に至るまで、完全な可視化と自動化を実現します。トポロジー自動検出や構成テンプレートを活用することで、設計・導入にかかる時間を数週間から数時間単位まで短縮できます。さらに、リアルタイムテレメトリや履歴追跡に基づくトラフィック分析、予兆アラートにより、障害を迅速に特定して解決できます。これにより、安定したネットワーク運用を低コストで維持できます。
シンプルで信頼性の高い運用の実現
直感的なインターフェースを通じて日常の運用作業を自動化することで、複雑な手作業や人為的ミスを排除します。クリック操作だけで設定や運用が完結し、専門知識や学習コストへの依存度を大幅に減らせます。これにより、ITソリューションプロバイダーやエンタープライズの運用チームは、より戦略的な業務にリソースを集中でき、効率的かつ安定的なネットワーク管理を実現できます。
PicOS-V仮想OSによる柔軟な検証と導入準備
FSのPicOS-Vは、PicOS®スイッチを仮想環境で再現し、L2/L3機能、信頼性、管理・監視機能を無料で検証できるオペレーティングシステム(OS)です。ユーザーは自分のPC上でVMware、GNS3、VirtualBoxなどのハイパーバイザーを利用し、短時間で環境を構築できます。これにより、実機導入前に構成や運用をシミュレーションし、最適なネットワーク設計を検証できます。

さらに、AmpCon-DCと連携することで、仮想環境で事前に設定した内容をそのまま本番環境に移行でき、導入コストを抑えつつ効率的なネットワーク構築を実現します。PicOS-Vを活用することで、導入リスクを最小化し、クラウドデータセンターやキャンパスネットワークにおける運用の信頼性を高めることができます。

ITソリューションプロバイダーにもたらすメリット
FS自動化EVPN-VXLANソリューションは、エンドユーザー企業だけでなく、ITソリューションプロバイダーにとっても大きな利点をもたらします。
まず、顧客の競争力を強化します。自動化によって迅速にネットワークを構築し、サービスを展開できるため、顧客企業は短期間で新しいサービスを市場に投入できます。その結果、ソリューションプロバイダー自身も顧客満足度を高め、長期的な信頼関係を築くことができます。
次に、柔軟なサービス提供を可能にします。EVPN-VXLANのマルチテナント機能や高い拡張性を活用することで、企業ネットワーク、クラウド環境、HPCやAI関連の高トラフィック用途まで、多様なユースケースに対応できます。これにより、異なる業界や顧客規模に応じたカスタマイズ提案を実現できます。
さらに、運用コストを削減します。集中管理や可視化監視、バッチ処理による自動化運用によって、従来の手作業に伴う工数や人為的なミスを大幅に削減できます。これにより、プロバイダーは効率的にリソースを活用でき、TCO(総所有コスト)の低減に貢献できます。
最後に、ビジネス機会を拡大します。高性能・高信頼性・高セキュリティを兼ね備えたFSのソリューションを採用することで、競合との差別化を図れるだけでなく、顧客基盤の拡大や新規プロジェクトの獲得につなげることができます。特にクラウドDCや通信事業者向けの案件において強みを発揮します。
まとめ
FS自動化EVPN-VXLANソリューションは、クラウドデータセンターの25Gから100Gへの効率的なアップグレードを支援し、高性能・高信頼性・高弾力性・低TCO・高いセキュリティを兼ね備えたネットワーク運用を実現します。ITソリューションプロバイダーは、このソリューションを活用することで、顧客に迅速かつ柔軟なサービス提供が可能となり、競争力強化と新たなビジネス機会の拡大に貢献できます。クラウドデータセンターの高速化・自動化を検討するなら、FSに問い合わせて、専門チームが最適なネットワークアップグレードソリューションを提案します。
本記事は FS.com からの転載です。原文リンク
:https://www.fs.com/jp/blog/fs-automated-evpnvxlan-solution-for-it-solution-providers-38175.html







