MCP
MCP とは
MCP とは Model Context Protocol の略称で、AI アシスタントが、ローカルファイルや社内データベースなど、様々なリソースにアクセスするための標準規格です。
セキュリティを担保しながら、非公開データを含む様々なリソースを AI に処理させることが出来るため、急速に活用が進む技術です。
MCP の開発を主導したのは、OpenAI 社出身の Dario Amodei 氏 (CEO) と Daniela Amodei 氏 (President) が設立した Anthropic 社です。ちなみに、2 人は兄と妹の仲だそうです。
活用例
MCP の活用例としては、以下のようなものがあります。なお、活用例のアイデア出しに、Claude を利用しました。
活用例 |
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ローカルファイルやクラウドドライブに散在するドキュメントを読み取って内容を要約。また、これらファイルに対して、バージョン管理やマージ管理など、ドキュメントのライフサイクル管理を自動化 |
複数カレンダーを一元管理するとともに、交通情報や天気予報 API と連携することで、移動時間や天気を考慮したスケジュール調整 |
製造設備の各種センサーデータ、MES、品質管理システムなどと連携。ログデータを解析し、リアルタイムに近いタイミングで異常を検出 |
CRM システム、チケット管理システム、製品データベースと連携し、顧客状況、過去の対応履歴、製品仕様などを踏まえたカスタマーサポートを行うチャットボット |
会計システム、銀行 API、請求書管理システムと連携。経費精算、売掛金管理、財務レポート作成を自動化 |
構成要素
MCP を構成する主要素は、ホスト、サーバー、リソースです。
MCP ホストが各リソースに対して、MCP サーバー経由でアクセスし、結果を伴って AI に処理を要求する流れです。
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MCP ホスト
としては、Claude for Desktop などの AI アシスタント、Cursor などの IDE、各種 AI エージェントなどが位置づきます -
MCP サーバー
は各種リソースにアクセスするための機能です。MCP サーバーを開発することで、様々なリソースに対するアクセスを可能にします。既に準備済みの MCP サーバーも GitHub - Reference Server に数多くそろっており、ファイルシステム、Git、Goole Drive/Map、Slack などへのアクセスには、これらを活用することが可能です
環境準備
実際に MCP 環境を構築して、動かしてみたいと思います。
今回は Windows 11 のローカルファイルにアクセスする環境を構築します。
Claude for Desktop
- まずは、こちらから、環境に合った Claude for Desktop のインストーラーをダウンロードしてインストールします
以降の手順は無料プランのまま進めることができます。
npm
ローカルファイルにアクセスするための filesystem を構築するにあたり、npm (Node Package Manager) が必要です。そのためのインストール作業から開始します。
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こちらから環境に合った node.js のインストーラーをダウンロードしてインストールします
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インストール完了後、コマンドプロンプトあるいは PowerShell を管理者権限で起動し、インストールが正常に完了したことを確認します
C:\>node --version
v22.17.0
- npm を最新化したい場合、こちらでバージョンを確認してから、バージョンを指定してインストールを行います
npm install --global npm@11.4.2
- 念のため、インストールが正常に完了したことを確認します
C:\>npm --version
11.4.2
filesystem
- npm 環境が整ったところで、次に filesystem をインストールします
npm install --global @modelcontextprotocol/server-filesystem
設定
続いて、Claude for Desktop から filesystem の設定を行います。
設定ファイルを開く
- Claude for Desktop を起動し、画面左上 [ハンバーガーアイコン] > [ファイル] > [設定] を選択します
- [設定] 画面から、[開発者] > [構成を編集] を選択すると、エクスプローラーが立ち上がり、
C:\Users\user01\AppData\Roaming\Claude
ディレクトリ配下が見えてきます。同ディレクトリに含まれるclaude_desktop_config.json
を編集して、filesystem 機能を有効にします
設定ファイルの修正 ( 1 つ目の選択肢)
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claude_desktop_config.json
を開くと、初期状態では{}
となっています。これを以下に置き換えます
{
"mcpServers": {
"filesystem": {
"command": "npx",
"args": [
"--yes",
"@modelcontextprotocol/server-filesystem",
"C:\\documents"
]
}
}
}
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command
には実行するコマンドを指定します -
args
の中で引数を指定します。上記の指定によって、C:\\documents
ディレクトリに置かれたファイルへアクセスできるようになります。対象ディレクトリを複数指定したい場合は、カンマで区切って複数ディレクトリを記述します
設定ファイルの修正 ( 2 つ目の選択肢)
- 参考までに、以下記述でも、同じように filesystem として機能します
{
"mcpServers": {
"filesystem": {
"command": "node",
"args": [
"C:\\Users\\JunyaFujiyoshi\\AppData\\Roaming\\npm\\node_modules\\@modelcontextprotocol\\server-filesystem\\dist\\index.js",
"C:\\documents"
]
}
}
}
2 つ目の記述を行うの場合、第 1 引数に index.js
の指定が必要です
設定の有効化
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claude_desktop_config.json
の設定は、アプリが起動する時に読み込みます。そのため、一旦アプリを終了し、再起動します。この時、必ずタスクバーの通知領域からもプロセスを終了させるように気を付けてください
ドキュメント準備
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処理に適したドキュメントを準備するため、ChatGPT に依頼して、「Yellowfin の特徴を説明するレポート (5000 文字程度)」と「Yellowfin の競合優位性を説明するレポート (5000 文字程度)」の 2 点の文章を生成させました
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それぞれに「Yellowfin製品紹介.txt」「Yellowfin競合優位性.txt」というファイル名を付与し、引数に指定した
C:\documents\
フォルダへ保管しました
動作確認
- これらを読み取って、Claude AI に内容を簡単にまとめ直すよう依頼します。そのために、以下のような文面をプロンプトに入力します
ファイル名に「Yelowfin」を含むファイルをすべて読み込んで、1点当たりの文字列が20文字を超えないように、8点の箇条書きにしてまとめて
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処理を続けた結果、Yellowfin の特徴が 8 点の箇条書きにまとまりました
・ AIによる自動インサイト
・ ストーリー機能でデータ文脈化
・ チーム内コラボレーション
・ 非技術者向け簡単UI
・ モバイル対応でどこでも
・ 多様なデータソース連携
・ クラウド・オンプレ両対応
・ OEM提供で拡張性高い
使い分け
これまでも、MAS (Multi Agent System)、RAG (Retrieval Augmented Generation)、ファインチューニングなど、生成 AI を活用、カスタマイズする方法を色々と取り扱ってきました。
中でも、MCP と MAS は、企業の業務向け用途だけでなく、個人用途にも幅広く使えそうです。
あとは、それぞれの適材適所をもう少し詳しく知る必要があると思っています。
※ 参考までに、MAS、RAG、ファインチューニングに関する詳細は、下記をご確認ください。
最後に
Yellowfin も、生成 AI と連携した AI NLQ という機能を搭載しています。日常業務でも、生成 AI を活用しまくっています。
身近になった生成 AI に関して、今後も勉強を継続していこうと思います。
では皆様、良いデータ分析を!!
参考情報