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3. AI時代にQAエンジニアが保証するものは何か?

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Last updated at Posted at 2026-05-31

この連載について

品質保証プロセスの改善やQAの役割について考える中で、
いくつかの疑問を持つようになりました。

本連載では、それらの疑問について整理しながら考えていきます。

記事一覧

第1章 品質保証を問い直す

1. QAは品質を保証しているのか?
2. レビューは品質を保証しているのか?
3. AI時代にQAが保証するものは何か? ← 今回の記事

第2章 品質はどこから生まれるのか

4. レビューの価値は学習ではないか?
5. プロセスは思考を設計しているのか?(予定)

前書き

私のこれまでの経験と思っていることについて記載しております。
前回の記事では、
「レビューは品質を保証しているのだろうか」
というテーマについて考えてみました。

レビューの価値は不具合検出だけではなく、

  • 理解の共有
  • 認識合わせ
  • 暗黙知の共有

といった学習活動にもあるのではないか、という話をしました。

今回は、その延長線上でQAエンジニアの将来について考えてみたいと思います。
今回も答えには到達していません。

むしろ考えていく中で、QAが本当に保証しているものは何なのかという新たな問いにたどり着きました。

はじめに

近年、生成AIの進歩は非常に速くなっています。
既にAIは、

  • コード生成
  • コードレビュー
  • テストケース生成
  • 不具合分析

などを支援できるようになっています。

今後はさらに、

  • 要求レビュー
  • 設計レビュー
  • トレーサビリティ確認
  • ASPICE監査支援

なども実施できるようになるかもしれません。
そうなったとき、QAエンジニアは何をするのでしょうか。

私自身、この問いについて考えるようになりました。

レビューや監査はAIに代替されるのか

私は、多くの品質保証活動はAIによって支援、あるいは代替されていくと思っています。
例えば、

  • チェックリスト確認
  • 規約違反検出
  • トレーサビリティ確認
  • レビュー観点提示

などはAIが得意な領域です。

監査についても同様です。
成果物やエビデンスを収集し、プロセスとの整合性を確認することは、AIが得意とする作業の一つです。

もしAIがレビューや監査を実施できるのであれば、QAエンジニアは不要になるのでしょうか。
私はそうは思っていません。

品質が良いことと説明できることは違う

ここで一つ重要なことがあります。

それは、
「品質が良いこと」

「品質が良いと説明できること」
は違うということです。

例えばAIが、
「問題ありません」
と判断したとします。

そして実際に市場不具合も発生しなかった。
結果としては成功です。

しかし開発中に、
「なぜ問題ないと言えるのですか」
と聞かれたとき、「AIがそう判断したから」
だけでは説明になりません。

これは人間のレビューでも同じです。
ベテランレビュアが、
「大丈夫です」
と言ったとしても、その根拠が説明できなければ組織として再利用できません。

私はここにQAエンジニアの価値が残るのではないかと思っています。

QAエンジニアが保証しているのは品質なのか

ここで改めて考えます。

QAエンジニアは何を保証しているのでしょうか。
品質そのものなのでしょうか。

私は最近、QAが保証しているのは品質そのものではなく、

「品質判断の根拠」

なのではないかと考えるようになりました。

例えば車載ソフトウェア開発では、

  • ISO 26262
  • ASPICE
  • ISO/SAE 21434

などがあります。

これらが求めているのは、単純に品質が高いことだけではありません。
なぜその品質であると判断したのか。その判断に至る根拠を説明できることです。

品質保証活動も同じなのかもしれません。

QAエンジニアは品質判断の根拠を設計する

もしこの考え方が正しいのであれば、QAエンジニアの役割は少し変わります。

従来は、

  • レビューする
  • 監査する
  • 指摘する

ことが中心でした。

しかし今後は、

  • どの情報を残すべきか
  • どの根拠を記録するべきか
  • どのリスクを評価するべきか
  • どの判断を説明可能にするべきか

を設計することが中心になるかもしれません。

レビューや監査そのものはAIが実施できる。
しかし、何をもって品質を保証したと言えるのか。

その考え方を設計する役割は残り続けるように思います。

QAエンジニアは品質保証システムの設計者になるのか

前々回の記事では、QAの仕事は品質保証活動そのものを減らすことではないか、という話を書きました。

今回の話ともつながります。
レビューや監査を実施することではなく、品質保証が自然に機能する仕組みを設計する。

そのために、

  • プロセス
  • ツール
  • エビデンス
  • 判断基準

を整備する。

QAエンジニアは品質の専門家というより、品質保証システムの設計者になっていくのかもしれません。

おわりに

今回の記事では、AI時代にQAが保証するものは何かについて考えてみました。
当初は、
「AIがレビューや監査を代替したらQAエンジニアは何をするのか」
という疑問から始まりました。

しかし考えていくうちに、QAが本当に保証しているのは品質そのものではなく、
品質判断の根拠なのではないかと思うようになりました。

レビューも監査も目的ではなく、品質判断の根拠を作り、説明可能にするための手段なのかもしれません。
私自身もまだ答えは持っていません。

ただ、AIが発達するほど、

「なぜその品質だと判断したのか」

を説明する重要性は高まるように感じています。

皆さんの現場では、QAは何を保証しているでしょうか。
品質でしょうか。それとも品質判断の根拠でしょうか。

ぜひ皆さんの考えも聞いてみたいと思います。


次回は、

レビューの本当の価値について考えてみたいと思います。

レビューの価値は不具合検出なのか、
それとも学習なのか。

そんなテーマを掘り下げてみます。
4. レビューの価値は学習ではないか?

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