はじめに
農園体験をきっかけに子供が自宅でも野菜を育てたいというので、キュウリとトマトを育てることになったのですが、毎朝水やりするだけでは面白くないので一味加えたいと思い、水やりのタイミングを見計らうための水分量測定をしてみることにしました。特に夏場はあっという間に土の表面が乾くのですが、土の中は思ったよりも水分を維持してることが多いので、水をやりすぎると根っこが窒息して逆に根腐れを起こす原因にもなってしまいます。
継続的に水分量を測ってタイミングを見計らうため水分量センサーを埋めてIoT化することにしたのですが、IT以外の要素も色々とあったので、メモがてらつづっていきたいと思います。
屋外へ機器を設置する際には "耐候性" への考慮が必要
屋外にセンサーを設置する場合、常時風雨や直射日光にセンサーやケーブル、機材が晒されることになるので所謂耐候性が必要になります。また、機器を常時稼働させるための電源と夜間稼働のためのバッテリーも必要になります。特に我が家は屋外に電源が無いため、太陽光発電を行うことにしました。
用意するもの
耐候性を考慮して用意したものがこちらです。
- 計測機器関連
- 電源関連
- ソーラーパネル (100W)
- チャージコントローラー (30A対応)
- バッテリー(12V)
- ソーラーパネル用架台
- 機器格納用ケース
- 2芯ビニルキャブタイヤケーブル(M5Stackへの電源供給)
- その他
電源関連
太陽光発電を行う場合、直感的には太陽光パネルだけで何とかなりそうですが、太陽光パネルは日照状況によって発電の際の電圧に多少差が生じたり、接続する機器に対して発電の電力量が大きいと機器の破損にもつながります。その為、この流量をコントロールするためにチャージコントローラーという機器を挟むことで接続先の機器の負担を減らすことが出来ます。また、夜間に稼働させる際に必要なバッテリーを接続することで、夜間や天気の悪い日でも安定的に機器に電力供給が出来るようになります。
今回利用した太陽光パネルとチャージコントローラーの組み合わせは100Wでチャージし、機器への電力供給は12V/30Aが出来るように構成しました。バッテリーについてはバイクなどに利用する12Vのバッテリーを利用しています。
これらを屋外に設置することになるので、雨風を避けることと紫外線による劣化を防ぐために屋外設置可能なコンテナを加工し、コンテナの中にチャージコントローラーやバッテリーを収めました。ケースに穴をあけて機器を固定するとそこから雨水が侵入してしまうため、ケースの底の大きさに合わせてカットした木の板をにねじ止めして置くだけにしています。この際、バッテリーは液漏れや破損を防ぐために絶対に立てた状態で設置するようにします。転倒しないようにL字の金具などを使って固定してあげるとよいでしょう。
また、ソーラーパネルとの配線やセンサーとの配線を行うためにケースに穴をあけますが、そのままでは水が浸入してしまうため、ケーブルグランドという部品を使って隙間からの侵入を防ぎます。写真の赤と黒のケーブルはソーラーパネル、グレーのケーブルはM5Stackやラズパイにつながっています。
機器に供給する電力はチャージコントローラーから取得しますが、出力が1系統しかないので、配線分岐用のコネクタを使って分岐させます。余談ですが、今回使った WAGO Japanのワンタッチコネクタは、穴に差し込んでレバーで固定するだけなので取り扱いがかなり楽なので、簡単な分岐にはお勧めです。
以上で、これでソーラーパネルを使った屋外設置可能な12Vの電源装置が出来上がりました。
M5Stack Toughへの電源供給
センサーをIoT化するにあたり、M5Stack を利用しました。センサーとM5Stack のつなぎ込については次回以降でご紹介するためここでは割愛しますが、屋外で利用するにあたってはM5Stackの中でも耐候性を持つ M5Stack Tough を利用しました。
通常、M5Stackは5Vでの電源供給を行いますが、M5Stack Toughはこれとは別に付属している拡張ボードを利用することでDC12Vでの電源供給が可能になっています。
※M5Stack様の製品サイトより拝借。写真の緑色の端子がRS485と12Vの電源入力が混在したポート。
GROVEコネクタ(HY2.0-4P)というコネクタを利用して接続することになりますが、オス側のコネクタのみでは国内では販売されていないようで、スイッチサイエンスさんなどで販売されているGROVEケーブルを加工して作ることになります。今回はRS485のポートは利用しないため、電源部分に必要なケーブルのみ残してこのように加工しました。
M5Stack Toughには外部にケーブルを出せるように2カ所ケーブルグランド用の穴が開いています。USBポートがつながったケーブルが予め取り付けられていますが今回はそれは利用しないため取り外し、新しいケーブルグランドを電源用とセンサー用にそれぞれ取り付けました。
先に作成した電源装置から電源を供給するために直径7mmほどの2芯のビニルキャブタイヤケーブルを3mほど用意し、ケーブルグランドを通してM5Stack Toughのケーブル内で加工したGROVEケーブルと結線します。下の写真は別で紹介するセンサー部分の結線ですが、電源もこんな感じでつなぎこみます。
以上でM5Stackへの電源は完了です。電源装置をお持ちの方は12Vで電源供給するとM5Stack Toughが起動するのをご確認いただけるかと思います。
次回
次回はM5Stack Tough への土壌水分センサーの取り付けについてご紹介していこうと思います。