えっ!!ゼロ円でジェネレーティブデザインを!?!
できらぁ。
Autodesk さんが、年末までジェネレーティブデザイン使い放題キャンペーンを実施されていますね!
通常なら生成一回につき25クレジット(4,200円相当)、生成結果のダウンロード一件当たり100クレジット(17,000円相当)が完全無料とは太っ腹にもほどがあります。
せっかくですのでこの機会にしかできないような、設定の比較及び結果を共有し、このキャンペーンに貢献したく思います。
デザイン対象
対象は、普段使っているバッファローのキーボードの裏側にあるキーボードに傾斜をつける部品が割れてしまったので、これの代替品を作ることにしました。と、文章では伝わりづらいかと思うので、完成品写真を以下に掲載します。
元の部品はキーボードを収納する姿勢にもできるように可動できるようになっていましたが、今回は割り切って可動部分無しのシンプルな構造を3Dプリントで生成して、両面テープ留めしています。
比較内容
元となるボディは以下の形状です。画面内で選択している青い面がキーボード本体に両面テープ留めされる個所、空中に浮いている円柱が、机等に接する面を想定しています。
(※ なお、ジェネレーティブデザイン計算の際は自身の重量も計算条件に含まれるため、計算時の姿勢と実際の運用時の姿勢は同じ姿勢であるべきです。つまり本例では『上下逆転した』姿勢で実施してしまっています。。)
こちらの素体に対して以下表の3条件でジェネレーティブデザインを実施してみました。
基本的な設定は同じで、荷重ケースのみ変えています。
スタディ | マテリアル | 製造方法 | 安全率 | 荷重 | 荷重ケース |
---|---|---|---|---|---|
スタディ1 | 熱可塑性樹脂 | 制約なし&アダプティブ | 2.0 | 10 [N](1.02 [kgf]) | 真上方向からのみ(合計1方向) |
スタディ2 | 熱可塑性樹脂 | 制約なし&アダプティブ | 2.0 | 各10 [N](1.02 [kgf]) | スタディ1に加え、前後±20度方向から(合計2方向) |
スタディ4 | 熱可塑性樹脂 | 制約なし&アダプティブ | 2.0 | 各10 [N](1.02 [kgf]) | スタディ2に加え、左右±20度方向から(合計5方向) |
(スタディ3は条件を変えてしまって単純比較できなくなってしまったので、省略しています) | |||||
ちなみに既に設定したスタディを改変して新たにスタディを作成するときは、スタディで右クリックし「スタディをクローン化」とすると楽です。 |
青い矢印が荷重ケースですが、‥潰れて見にくいですね。上表の通りスタディが増えるごとに、荷重ケースが増えていることに注目いただければと思います。なお、実際の画面上では上図のように荷重ケースを重ねて表示はできません。(画像処理をしています)
複数の荷重を想定する場飯の注意点として、同一の荷重ケース内で複数の荷重を設定するのではなく、荷重ケースを「新しい荷重ケース」なり「荷重ケースをクローン化」で増やして、その中で別の設定を作成することが必要です。もし荷重ケース内で複数の荷重を設定してしまった場合、それぞれが合成され単一の荷重として計算されるそうです。
なお、製造方法の項目についてはよく分かっていません‥。
結果
スタディ1
スタディ2
スタディ4
※ 荷重条件が増えると「完了」が増えている(「収束」していない)ことに注意してください。
所感
全てのケースで収束している右端の「アダプティブ(Z+)」などが比較しやすいでしょうか。
スタディ1実施の時点で、出来上がったデザインは(垂直真上からしか荷重を与えていないので当然なのですが)前後方向の揺さぶりに脆そうに見受けられました。良くも悪くもシミュレーション条件通りの結果といった塩梅です。
そこで前後方向からの揺さぶりに強くする目的で前後方向からの荷重を与えると、スタディ2のデザインが出来上がりました。確かに前後方向の荷重への耐性が上がってそうです。
さらにこれに左右方向からの荷重を与えるとスタディ4が出来上がりました。スタディ2の構造に加え、接合部で枝分かれし、左右からの耐性もあるよう見受けられます。
これらの比較により荷重条件により結果の形状が大きく変わることが見て取れます。ジェネレーティブデザイン実施時の荷重設定の重要さが感じられます。
余談
結局スタディ4の右端形状が3Dプリントした形状です。画像の方向にプリントアウトしましたが、左右に出っ張っている部分にサポート材がつかず、オーバーハングでの印刷となり、本来水平であるべき接地面が波打ったように印刷されてしまいました。
いくらシミュレーションをしっかりしたとしても、製造がその通りとはいかないものですね。
ドライヤーで温め、柔らかくした後平面に押し付けることにより、ことなきをえました。