UbuntuでWeChat(公式Linux版)を安定運用する手順(24.04対応)
TL;DR
- 公式Linux版(.deb / AppImage) を使うのが最も簡単で安定。
- noble(24.04)では
libasound2がlibasound2t64へ置換されている点に注意。 -
apt install ./xxx.debが通らない環境ではdpkg -i→apt -f installの二段構えでOK。 - Web版や古いラッパー(Electronic-WeChat等)は非推奨(ログイン制限・非保守)。 (Snapcraft, Omnichat Blog)
動作確認環境
- OS: Ubuntu 24.04 LTS (noble)
- アーキテクチャ: amd64(
dpkg --print-architectureで確認可能) - WeChat: 公式Linux版(
.deb/ AppImage 提供。ダウンロード配布は .deb/.rpm/.AppImage の3形態) (Linux Mint Forums)
1. 前提パッケージのインストール(noble向け)
nobleでは
libasound2→libasound2t64に名称変更されています(ここがハマりどころ)。
sudo apt update
sudo apt install -y libasound2t64 libnss3 libxss1 libxtst6 libgbm1 fonts-noto-cjk
-
fonts-noto-cjk: 中日韓フォント(表示崩れ防止)
2. 公式 .deb の取得とインストール
公式配布の
.debを取得してインストールします。
cd ~
wget -O WeChatLinux_x86_64.deb \
https://dldir1v6.qq.com/weixin/Universal/Linux/WeChatLinux_x86_64.deb
# まず dpkg で導入(依存で失敗してもOK)
sudo dpkg -i ./WeChatLinux_x86_64.deb || true
# 依存関係を一括解決
sudo apt -f install -y
- 公式Linux版は
.deb/.rpm/.AppImageで配布されています(配布フォーマットの情報)。 (Linux Mint Forums) - AnduinOSドキュメントでも同一の 公式ダウンロードURL が参照されています(URL確認用の補助情報)。 (docs.anduinos.com)
3. 起動とログイン
# メニューから「WeChat」または
wechat
- スマホ版WeChatでQRコードをスキャンして承認します。
- Web版に比べ、デスクトップ版は安定でログイン継続性も高いです。 (Omnichat Blog)
4. 文字入力&表示の安定化(日本語/中国語)
sudo apt install -y fcitx5-mozc fcitx5-chinese-addons
# 再ログイン後、「入力メソッド」を fcitx5 に切替
5. (代替)AppImage 版を使いたい場合
インストール不要で試したい場合や、環境を汚したくない場合に。
cd ~
wget -O WeChatLinux_x86_64.AppImage \
https://dldir1v6.qq.com/weixin/Universal/Linux/WeChatLinux_x86_64.AppImage
chmod +x ./WeChatLinux_x86_64.AppImage
./WeChatLinux_x86_64.AppImage
- 公式は AppImage も配布しています(配布形態の補足)。 (Linux Mint Forums)
6. アップデート運用
- 公式
.debはaptリポジトリ(自動更新)の提供がないため、新ビルド公開時に再ダウンロード→上書きインストールが基本運用です(AppImageも同様に差し替え)。 (docs.anduinos.com)
7. アンインストール
sudo apt remove -y wechat
# or パッケージ名が異なる場合は dpkg -l | grep -i wechat で確認
トラブルシューティング(詰まりやすい順)
A. libasound2 が見つからない/インストール候補なし
-
原因: noble では
libasound2→libasound2t64 -
対処: 冒頭のコマンドで
libasound2t64を入れる。
B. apt install ./WeChatLinux_x86_64.deb が「サポートされていません」
-
対処:
dpkg -i→apt -f installの二段構えに切替(本記事の手順どおり)。
C. ダウンロードした .deb が壊れている/HTMLだったか確認したい
dpkg-deb -I ./WeChatLinux_x86_64.deb | head -n 20
- パッケージ情報が出ればOK。
- 「archive has no magic」等のエラー → ファイル破損/HTML なので再取得。
D. アーキテクチャ不一致(arm64等)
dpkg --print-architecture # 例: amd64 が期待
- マシンのアーキに合うビルドを入手し直す。
E. QRログインで弾かれる/Web版のログイン制限
- Web版はアカウントによって制限され、
「For the security of your account, you cannot log in to WeChat for Web」などが出ることがあります。デスクトップ版の利用推奨。 (Omnichat Blog) - 非公式ラッパー(Electronic-WeChat等)はWeb版依存で、新規ログイン不可の注意書きもあります(非推奨)。 (Snapcraft)
F. UIが英語未対応?(中国語UIのみ)
- 一部のビルドで英語ローカライズが未整備との報告があります(将来改善に期待)。操作は共通なので利用自体は可能です。 (Ask Ubuntu)
参考:代替手段(必要な人向け)
1) deepin-wine 版(歴史的に安定/二番手)
wget -O- https://deepin-wine.i-m.dev/setup.sh | sh
sudo apt install -y com.qq.weixin.deepin
- 古くからの実績あり。Wine依存のため更新で小崩れが起きる場合も。 (Ask Ubuntu, GitHub)
2) 非公式ラッパー/Webラッパーは避ける
- Electronic-WeChat(Snap等)はWeb版ログインの可否に依存し、新規ログイン不可の旨が明記。現在は推奨しません。 (Snapcraft)
まとめ
- **まずは公式Linux版(.deb か AppImage)**で導入 → dpkg -i → apt -f install の基本形でほぼ解決。
- noble特有の
libasound2t64置換に注意。 - Web版や非公式ラッパーは制限・非保守のため避ける。
- 入力メソッド/フォントを整えると、日中両言語で快適に使える。
出典・補助情報
- 公式配布の3形態(.deb/.rpm/AppImage)紹介・Linux Mintフォーラムのまとめ。 (Linux Mint Forums)
- 公式URL参照例(AnduinOS docs内のWeChatインストール手順)。 (docs.anduinos.com)
- Web版ログインの制限・デスクトップ推奨に関する解説(Omnichatブログ)。 (Omnichat Blog)
- Electronic-WeChat(Snap)側の新規ログイン不可注意記載。 (Snapcraft)
- AskUbuntuでの**公式Linux版登場(2024年11月ごろ)**言及・deepin-wine導入報告。 (Ask Ubuntu)