はじめに
リーダーになりたい──そう思ったとき、求められるのは大きく分けて2つです。
- 人柄
- 仕事の能力
この記事では「人柄」については触れません。
ここで扱うのは、仕事の能力についてです。
仕事の能力には2種類ある
仕事の能力には、おおまかに次の2つのタイプがあります。
- すべての分野を平均点以上でこなせる人
- 特定の分野に強みがある人(弱い分野もある)
タイプ①:平均的にこなす人
すべてを一定レベル以上でこなせる人は、チームのバランスを保つ上で重要な存在です。
ただし、このタイプは「リーダーになったからには全部できなければ」と自分を追い込みやすく、心身の負担が大きくなりがちです。
タイプ②:特定分野に強みを持つ人
一方で、ある特定の分野に強い人は、その専門性が認められれば弱点があっても信頼を損なわないことが多いです。
「この分野ならあの人に聞こう」と思われる存在になることが、リーダーとしての強みになります。
エンジニアのリーダーには「特定分野の強さ」が向いている
エンジニアリングの世界には、特定の分野に強い人が必ずいます。
フロントエンド・インフラ・アーキテクチャ設計・パフォーマンスチューニングなど、得意分野はさまざまです。
ここで少し個人的な意見を言うと、
「フルスタックエンジニア」という言葉は、一見“すべてをこなせる人”のように聞こえますが、
実際にはひとつの分野を突き詰める過程で、全体的な知識や技術が自然と身についていくのではないかと思っています。
つまり、「特定分野に特化していること」と「全体を理解していること」は、矛盾しないというのが自分の考えです。
リーダーになるために「得意分野」を持とう
リーダーを目指すなら、自分の得意分野を明確にしておくことが大切です。
たとえば…
- 特定の言語やフレームワークに強い(スペシャリストタイプ)
- 長期的な視野で設計を描ける(アーキテクトタイプ)
- チームの開発プロセス改善に強い(テックリードタイプ)
- パフォーマンスやセキュリティに精通している(専門性タイプ)
どんな分野でも構いません。
チームが「この領域ならこの人」と頼れる存在になることが、リーダーとしての信頼につながります。
エンジニアとしてのリーダーには、技術的信頼が欠かせない
リーダーとして信頼を得るには、人柄だけでなく、技術的な信頼が不可欠です。
なぜなら、エンジニアという職種である以上、技術的判断や指導を行う場面が多いからです。
たとえマネジメント寄りの立場になっても、
技術的な判断軸がなければチームの方向性を誤ってしまいます。
実際、上流工程やマネジメントで活躍する人ほど、
現場の設計・開発を理解していることが重要です。
その点については、以下の記事でも詳しく書きました。
📖 参考
この記事でも述べたように、要件定義や設計の判断は、
コーディングやシステム設計の「現場感覚」に支えられていなければ精度を欠きます。
つまり、マネジメントに進むにも、技術力は不可欠なのです。
技術力がないリーダーが厳しい理由
技術的な信頼を得られないと、次のような問題が起こります。
- 技術的判断ができず、意思決定が遅れる
- メンバーから「話が通じない」と思われる
- 現場で起きている問題を正しく把握できない
- 技術的なリスクを説明・評価できない
これらはすべて、チームの信頼を損なう要因です。
だからこそ、「人柄がいいだけ」ではリーダーとしては不十分です。
結論:リーダーとは「技術を通して信頼を築く人」
エンジニアのリーダーに求められるのは、完璧さではなく、技術を通して信頼を築けることです。
そのためには、どんな形でもいいので「自分の得意分野」を持ち、チームから「この人なら大丈夫」と思われる存在になることが大切です。
まとめ
- リーダーには「人柄」と「仕事の能力」の2つが必要
- エンジニアの場合、「特定分野の強み」を持つタイプがリーダーに向いている
- 得意分野があれば、弱点があっても信頼は損なわれない
- マネジメントを目指す人も、技術力がなければ判断ができない
- リーダーとは、技術を通してチームから信頼される存在
おわりに
リーダーを目指すとき、すべてを完璧にこなそうとする必要はありません。
大切なのは、「どの分野でチームに貢献できるか」を明確にし、その分野で信頼を積み上げていくことです。
それが結果的に、チーム全体を支えるリーダーシップへとつながります。