はじめに
建設業界向けのInstagram「建設AIラボ(@kensetsu_ai_lab)」の運用などなどを担当しておりますEitaroです!縦型のリールなど様々なクリエイティブを作っています。
撮影はしていませんし、編集ソフトも開いていません。 写真も映像もナレーションも生成AIで作り、組み立てまでAIエージェントに任せています。
私がやるのは、題材にOKを出すことと、できあがった動画にダメ出しすること、あとは投稿くらいです。
- 人の作業:1本あたり1時間~2時間
- 生成AIの費用:1本千円弱
- 本数:8月に始めて2か月半で30本弱
最初は数秒で飛ばされていたのが、30秒の動画をほぼ最後まで見てもらえる回が出てきて、多い回は2万人以上に届きました。
作るだけなら今はそこまで難しくない。難しかったのは「次の1本をどう良くするか」を回し続けることでした。 そのために考えたこと、AIの使い方、動画で気をつけていることを書きます。
この記事で書くこと
- 作り方の考え方(マインドセット)
- AIの使い方
- 動画を作るときに気をつけていること
1. 作り方の考え方
一発で当てようとしない
最初はAIに「いい感じの動画」を作らせようとしていました。結果、1本目は31秒の動画が平均3秒で飛ばされています。
そこで、毎回の結果を記録して、次の1本で何を変えるかをAIに決めさせる形に切り替えました。
回ごとの狙い・仮説・結果・学びを1つのファイル(PDCAログ)に書き足していき、新しい動画を作る前に必ずAIに読ませます。1回分はこんな感じです。
## 22本目|法隆寺、釘めっちゃ使ってます
- 変えたこと:冒頭の作り方だけ(尺・構成・締めは前回のまま)
- 仮説:前回は2秒目から画面が止まり、そこで離脱された
- 結果:前回の4倍くらい届いた
- 学び:最初のカットは3秒以上とる。動かないカットを冒頭に置かない
これだけで、同じ失敗を繰り返すことがかなり減りました。
感覚を数字にする
「冒頭が弱い」とAIに伝えても、毎回違う直し方をしてきます。何をどれだけ直せばいいかが決まらないからです。
そこで、冒頭3秒の映像がどれくらい動いているかを数値にしました。 コマ同士の明るさの差を平均するだけの単純なものですが、公開前に測れるのが大きいです。出す前に「この冒頭は弱いから作り直そう」と判断できます。冒頭以外の構成をそろえて作り直した回は、前の回の4倍くらい届きました。
ただ、数字を信じすぎると外します。 冒頭の値は最高クラスなのに、まったく伸びない回がありました。原因は、1文目が誰でも知っている雑学だったこと。それでも測っていたおかげで、「動きの問題じゃない」とすぐに切り分けられました。
伸びた理由をAIに言語化させて、ルールにする
伸びた回と沈んだ回が出たら、その差をAIに説明させ、作り方のルールや採点基準に書き足していきます。 完成した動画は、公開前にこの基準でAIが採点します。
コツは、ルールごとに「どれくらい確かか」を分けておくことです。
| 確かさ | 例 | 扱い |
|---|---|---|
| 自分の回の数字で確かめた | 冒頭3秒を動かすと届く | 重く扱う |
| 他のアカウントを見て「たぶん効く」 | 冒頭でオチを言わない | 軽く扱い、反例が出たら下げる |
実際、参考動画から拾った「冒頭でオチを言わない」は、うちで一番見られた回が1文目でオチを言い切っていたので、すぐに格下げしました。
否定された説も、理由と一緒にメモしておきます。 AIは会話が変わると、前に否定した案をまた提案してくるからです。
1回に変えるのは1つ
一番伸びた回は、4つ同時に変えていたので、どれが効いたのか今も分かりません。
確かめたいときは変えるのを1つにして、他は前の回のまま固定します。 地味ですが、これをやらないとログが「なんか伸びた」の記録になってしまいます。
2. AIの使い方
手順書を渡して「次の動画作って」で回す
AIエージェント(主にClaude Code)には、手順書とスクリプト一式を渡しています。題材の選び方、構成のルール、検品のしかた、最後にログへ書き足すことまで書いてあり、「次の動画作って」の一言で1本できあがります。
中でも効いているのが、数字のどこが悪いかで次の一手を決める表です。
| 症状 | 次の一手 |
|---|---|
| 平均視聴時間が尺の1/4もない | 冒頭で離脱されている。1枚目と最初の一言を作り直す |
| 見られているのに届く人数が増えない | 内容に新しさがない。「知らなかった」がある話に替える |
| 保存やシェアがない | 持ち帰る価値がない。手順や条件、出典を画面に残す |
ルールには必ず理由を書いています。 理由がないと、前提が変わってもAIが黙って守り続けてしまうからです。
数字はAPIから取って、ファイルに置く
再生数などはInstagramのAPIから取り、ファイルに保存しています。アプリの画面を見て手で打った数字は、取ったタイミングでズレるのでやめました。
チャットの中だけで数字をやりとりしない。 会話の中で数字を回していたら、回の番号が二重になったことがあります。
画面に出す数字は、自分で原典を見る
調べものはサブエージェントに任せています。ただ一度、国の資料のどこにもない「約1,000時間削減」という数字が返ってきました。
それ以来、動画に出す数字だけは必ず原典を当たっています。 建設業の制度はネットの情報が間違っていることも多いので、法令の条文や官公庁の資料を優先しています。
当たった要素は、ツール側に上げる
一番伸びた回の「画面中央の大きな字幕」が、その回の設定ファイルにしか書かれていなかったことがありました。次の回を新しく作ると、黙って元の見た目に戻ってしまいます。
効いたものは、その回のうちにツールの標準設定に上げるようにしています。
Kimi Workで回した時期
8月末の一時期、利用量を抑えるために制作環境をKimi Workに切り替えました。実は、この時期に作った黒部ダムの回が、今のところ一番伸びています。
よかったこと
- スクリプトの本体を1か所に置き、どちらのエージェントからも同じものを呼ぶ形にしていたので、手順書もツールもほぼそのまま動いた
- 題材選びから合成までの長い工程も、途中で止まらずに走り切ってくれた
気をつけたいこと
- Claudeと比べると応答に時間がかかる。横で見ながら細かくやりとりするより、指示を投げてしばらく放っておき、戻ってきて確認する使い方が合っていた
3. 動画を作るときに気をつけていること
冒頭
- 0秒目で「何かおかしい」を見せる。 建物の名前だけ、統計のグラフから始めると飛ばされます
- 冒頭3秒は最後まで動かす。 最初のカットは3秒以上にして、動かないカットは冒頭に置かない。映像をスローにして尺を合わせるのも避けます
- 1文目に知られている話を置かない。 「天守閣の中はコンクリート」のような定番の雑学は、それだけで飛ばされました
構成と見た目
- 尺は30秒前後まで。 超えると中盤で落ちました
- 字幕は大きく、太い縁取りで。 見ている人の中心は30代後半〜50代で、スマホで読めないと意味がありません
生成AIの絵
- 生成AIは「それっぽい嘘」を描く。 「伝統的な継手」と頼んだら、実在しない継手や、六角ボルトの頭をした和釘が出てきました。固有名詞と形の説明と「〜しない」をセットで頼みます。見ているのは本職の人たちなので、形の嘘はすぐにバレます
- 描けない絵は言葉で言う。 工事途中の状態など、生成AIが苦手な場面は無理に描かせません。誇張した図には「誇張しています」と書きます
数字の読み方
- 投稿から1日の回を「失敗」と決めつけない。 比べるなら同じ経過時間で
- シェアやフォローの数字は後から届く。 3日くらい待ってから読む
- 投稿を止めない。 1週間止めたら、アカウント全体がほとんど届かなくなりました
まだ解けていないこと
見てもらえるようにはなりましたが、シェアはまだまだ少ない状況です。
それに、届いているのは建設の雑学が好きな人が中心で、業界の人とは限りません。題材によって来る人の層がかなり違うので、「誰に届けたいか」から題材を選び直しているところです。
まとめ
真似するなら、この3つだと思います。
- 毎回の結果をファイルに残して、作る前にAIに読ませる
- 「なんか弱い」を1つだけでいいので数字にする
- 伸びた理由をAIに言語化させ、確かさに応じて重みをつけたルールにする
AIで動画を作ること自体は、もう難しくありません。差がつくのは、作ったあとに何を学んで次の1本に渡すかのほうだと思っています。
株式会社ドットログで、建設業のための見積りエージェント「KaiL(カイル)」を作っています。建設のスゴい技術を紹介する建設AIラボ(@kensetsu_ai_lab)も、よかったら見てみてください。