非正史・一話完結|QA学園「表示文言がS1になる日」
運営型イベントでいちばん早く燃えるのは、バグより告知・表示文言。
だから「表示文言は法務S1(最優先)」として、受入基準を先に固定しようって話!
0. 事件
放課後。QA学園の5人が、ゲーム業界コラボの想定演習をしていた。
題材は「期間限定イベント」。
で、告知バナーにこう書いてある。
「10連でSSR確定」
美桜がピタッと止まる。
「……え、これ “確定” って書いちゃってるけど、仕様どっち?」
ユウタが資料をぱらぱら。
「仕様は “10連でSR以上1枚確定、SSRは確率アップ” だね」
アヤが小さくうなずく。
「それ、ユーザーの気持ち折れるやつ。空気、もうヒヤッとしてる」
テラがすぐまとめる。
「つまり、実装が合ってても、表示がウソっぽく見える。炎上は最短ルートだよ」
キョウスケが短く言う。
「ロールバック」
美桜が思わずツッコむ。
「いや今まだ押してない!押してないから!」
1. “重大度” が逆転する
ユウタが首をかしげる。
「でもさ、これコードのバグじゃないよね?表示だけだよ?」
テラが即答。
「運営の現場だと逆なんだよね。見た目は軽く見えても、法務と信頼だとS1」
美桜が勢いよく乗る。
「返金、拡散、記事、まとめ。フルコンボで来るやつ!」
アヤがぽつり。
「ユーザーは “確定” を信じて回す。回したあとに気づく。そこで心が折れる」
キョウスケが机をトントン。
「優先度は最上位。修正、告知、補填。順番を間違えるな」
2. テラの「撤退ルートは確保」
テラはホワイトボードにサクサク書く。
- A案(安全):文言を即修正 + 告知で誤解をハッキリ否定 + 補填ポリシー提示
- B案(強硬):「仕様通りです」で押し切る(炎上が長引く確率高め)
テラの合言葉が出る。
「撤退ルートは確保。A案は “止血” の導線がある」
キョウスケがうなずく。
「ロールバックは最後の手段。まず被害拡大を止める」
ユウタが小声で。
「“止血”って言い方、運営っぽい……」
3. 受入基準を先に固定する
ユウタが質問する。
「じゃあ、何を “正” にすればいいの?」
美桜が即答。
「告知の受入基準!これがないと、直してもまたやらかす!」
アヤは“ユーザーの読み”を要件に落とす。
「“確定”って書いたら、確定だと思うよ。例外があるなら、同じ強さで書いてほしい」
テラがうなずく。
「だから、告知も“仕様”として扱う。テスト対象に入れる」
キョウスケが締める。
「受入基準、先にください」
美桜が笑う。
「それ言うと急に“仕事できる人感”出るのズルい」
QA学園(Academy of Quality Assurance) は、ソフトウェアQA/テストの考え方を「学園もの」の会話劇に落とし込んで、実務あるあるを分かりやすく整理するための創作シリーズです。
登場する用語(受入基準、同値分割、状態遷移、S1〜など)は、現場でよく使う概念をベースにしています。