QA学園 授業ノート
同値分割と境界値分析 ― AIの観点から
第1学年 春学期・第2日目授業より
🧭 今日のゴール
同値分割・境界値分析を理解する
AIが“境界”をどう扱うかを学ぶ
人間とAIの責任の境界を考える
1. 復習:同値分割と境界値分析
まずは基礎から。
年齢:0〜120
条件:
整数のみ入力可
0〜120を受け付ける
✅ 同値分割
分類 範囲
有効同値クラス 0〜120
無効同値クラス 0未満、121以上
追加考慮 空欄、全角数字、文字コード不正
✅ 境界値分析(代表値)
種類 代表値
有効側 0, 1, 119, 120
無効側 -1, 121
QA学園では「2点法」「3点法」どちらも正解としています。
重要なのは“範囲を意識すること”です。
- AIの観点で考える「同値分割」
先生がサイネージを指して言った:
「AIは“見たことのある範囲”に強い。
でも境界の外では、極端に弱くなる。」
🤖 AIにおける同値分割とは
種類 内容
有効同値クラス 学習済みデータ範囲
無効同値クラス 未学習・未知の入力
曖昧領域 AIが“似ている”と誤認する部分
ミラル(QA-Lite)
『私の“経験”の中にない値は未知数です。
人間でいうと“想像力の境界”ですね。』
Iris(AIテスター)
『曖昧な入力はAIにとって“倫理的グレーゾーン”。
答えを出す前に、問う必要があるの。』
- 実践演習:AIと人間の境界
🎯 課題
以下の入力をAIに判断させ、人間がその妥当性を評価する。
年齢 = "01"
年齢 = "1.0"
年齢 = "0"(全角)
入力値 AIの判断例 人間の補足
"01" 整数だが仕様違反 ゼロ埋め仕様の確認必要
"1.0" 浮動小数と認識 小数入力不可の場合NG
"0"(全角) 無効 Unicode違いを仕様明記
AIは“傾向”を出すが、正誤を決めるのは人間。
だからこそ、テスターは“仕様の意図”を読み取る力が必要になる。
- ユウタのノート(抜粋)
同値分割は、AIにとっても「世界の切り分け」
境界値分析は、人間にとって「責任の境界」
AIの誤りは、学習不足ではなく人間の曖昧な仕様を正確に写しているだけ
「AIを責める前に、仕様を見直せ。」
5. 練習問題
問題1
次の仕様について、AIが誤認しやすい入力パターンを3つずつ挙げなさい。
クレジットカード番号:16桁の数字のみ
予約日:今日から90日以内
ドローン重量制限:〜25kgまで
問題2
AIに境界値分析をさせる場合、
どのような「境界の定義」を与えると誤動作を防げるか?
- 今日のまとめ(言坂先生)
「テストとは、“境界を決める”こと。
でもAIの時代には、“誰が決めるか”が問われる。
君たちは、AIの操作者ではなく監督者であれ。」
✍️ 補足
この授業はフィクション「QA学園」シリーズの一節です。
教育現場でのAI倫理・テスト設計教育の題材として再構成されています。
登場AI:ミラル/Iris/Tea(QA-Liteシリーズ)