ANSYSメッシュ作成5つのポイント
① まずはモデルのクリーンアップ(いきなりメッシュを作らない)
初心者が最も見落としやすいポイントですが、
**メッシュ失敗の最大の原因は「モデルの不備」**です。
3DモデルをANSYSに読み込んだ直後にメッシュを作ろうとすると、
- 負体積(Negative Volume)
- Free Edge
- 重複面
といったエラーが大量に出ることがあります。
実はこれらの多くは、モデル側の小さな不整合が原因です。
対策ポイント
- SpaceClaim / DesignModelerでモデルを修正
- 不要な小さなフィーチャを除去
- 小穴・小さなフィレットなどは 削除ではなく「抑制(Suppress)」
Suppressを使うと、
モデル自体は残しつつメッシュ作成時には無視できます。
後で必要になったときに復元できるので安全です。
また次の点もチェックしておきましょう。
- Free Edgeの有無
- 非多様体エッジ(Non-manifold Edge)
- 重複面
- 隙間のあるボディ
モデルをきれいにしておくだけで、
メッシュ作成が驚くほどスムーズになります。
② メッシュ方法を適切に選ぶ(自動メッシュに頼りすぎない)
ANSYSにはさまざまなメッシュ生成方法があります。
- Automatic Mesh
- Tetrahedral Mesh
- Hexahedral Mesh
- Sweep Mesh
初心者はついAutomatic Meshだけで済ませがちですが、
実際にはモデルに応じて使い分けることが重要です。
対策ポイント
① シンプルな形状(直方体・円柱など)
→ Hex Mesh / Sweep Mesh
規則的なメッシュになり、精度も計算効率も良い。
② 複雑形状・曲面が多いモデル
→ Tetrahedral Mesh(Patch Conforming)
適応性が高く、無理にHexにするより安定。
③ 薄肉構造
→ Shell Mesh
ソリッドメッシュよりも要素数を大幅に削減できます。
また、
重要部位は手動制御、その他は粗メッシュ
という使い分けも大切です。
③ メッシュサイズを適切に設定する
メッシュサイズの設定は、
解析精度と計算時間のバランスを決める重要な要素です。
初心者は次の2つの極端に走りがちです。
① 粗すぎるメッシュ
- 計算は速い
- しかし結果が信用できない
② 細かすぎるメッシュ
- メッシュ数が数百万
- PCが動かない
対策ポイント
まずはグローバルサイズを設定します。
目安としては
最小フィーチャサイズの1/3程度
から試すとよいでしょう。
そのうえで、
局所的にメッシュを細かくする部分
- 応力集中部
- 接触面
- 荷重作用点
逆に
粗くしてよい部分
- 荷重から遠い場所
- 応力変化が小さい領域
さらに重要なのが
メッシュサイズの滑らかな遷移
です。
急激にサイズが変わると
**要素の歪み(Element Distortion)**が発生しやすくなります。
④ メッシュ品質を必ずチェックする
メッシュが作れたら、そこで終わりではありません。
品質チェックは必須です。
これを怠ると、
- 計算が途中で止まる
- 収束しない
- 結果が不安定
といった問題が発生します。
確認すべき代表的な指標
- Jacobian > 0.6
- Skewness < 0.85
- Aspect Ratio < 20
ANSYSでは簡単に確認できます。
Mesh → 右クリック
Statistics
Mesh Metric
SkewnessやJacobianを表示すると
品質の悪い要素が色で表示されます。
もし
- Negative Element
- 高歪み要素
などが見つかった場合は、
そのまま計算を続けず、メッシュを修正するのが基本です。
⑤ メッシュコントロールを活用する(分割・マッピング)
複雑なモデルでは、
一括メッシュ生成にこだわらないことが重要です。
領域を分割してメッシュ制御を行うことで、
- メッシュ品質
- 計算効率
の両方を改善できます。
対策ポイント
① アセンブリモデル
先に接触定義を設定してからメッシュ作成。
接触面のメッシュサイズは
できるだけ一致させると収束性が向上します。
Match Controlを使うと強制的に合わせられます。
② 規則形状
Mapped Meshを使用
→ メッシュ品質が安定
③ 局所精度が必要な場合
- Inflation Layer(境界層メッシュ)
- Size Function
などを活用。
④ メッシュ作成後
必要に応じて
**ノードの統合(Merge)**を行い、メッシュ連続性を確保します。
まとめ
CAE業界ではよくこう言われます。
「メッシュ7割、計算3割」
これは決して大げさではありません。
メッシュ品質が悪いと、
- 計算が収束しない
- 結果が信用できない
- 計算時間が増える
といった問題がすべて発生します。
ただし、
完璧なメッシュを目指す必要はありません。
- 品質基準を満たしている
- 必要な部分だけ細かい
- モデルに適した要素タイプ
この3点が満たされていれば、実用的なメッシュと言えます。