CAE解析の基本フローについて
〜 前処理・解析・後処理の3ステップを整理する 〜
CAE(Computer Aided Engineering)では、一般的に以下の3つの工程で解析を進めます。
- 前処理(Pre-processing)
- 解析/求解(Solving)
- 後処理(Post-processing)
製品によって細かな違いはありますが、多くのCAEソフトウェアはこの流れをベースに構成されています。
CAE解析全体の流れ
[前処理]
↓
ジオメトリ作成
↓
メッシュ生成
↓
材料・境界条件設定
↓
入力データ出力
↓
[解析(Solver)]
↓
数値計算
↓
変位・応力・温度などを算出
↓
[後処理]
↓
可視化
↓
結果評価
↓
レポート出力
また、実際の開発現場では、以下のように4段階へ分けて説明されることもあります。
- CADモデル簡略化
- 前処理
- 解析(Solver)
- 後処理
特に大規模解析では、CADモデルをそのまま使用できないケースが多く、CAE向けに形状を簡略化する工程が重要になります。
1. 前処理(Pre-processing)
前処理は、解析を実行するためのモデル準備工程です。
CAE全体の品質を大きく左右する重要なフェーズになります。
主な作業内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ジオメトリ作成 | CADデータのインポート、または解析用モデル作成 |
| メッシュ生成(Meshing) | 形状を有限個の要素へ分割 |
| 材料特性設定 | ヤング率、密度、熱伝導率などを定義 |
| 境界条件設定 | 固定拘束、荷重、温度条件などを設定 |
| 接触条件設定 | 部品間の接触、滑り、結合条件を定義 |
| 物理領域定義 | 材料や条件を適用する領域を分類 |
| 解析制御設定 | 時間刻み、収束条件、非線形設定など |
| Solver入力データ出力 |
.inp、.msh、.xml などを生成 |
メッシュ生成(Meshing)
CAEでは、連続的な形状をそのまま計算することはできません。
そのため、形状を小さな要素へ分割する「メッシュ生成」が必要になります。
代表的な要素:
- 四面体要素(Tetra)
- 六面体要素(Hexa)
- シェル要素(Shell)
- ビーム要素(Beam)
メッシュ品質は解析精度や計算時間へ大きく影響します。
2. 解析(Solving)
解析フェーズでは、前処理で作成した離散モデルを数値的に解きます。
ここがCAEの中核となる部分です。
主な作業内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 数学モデル構築 | 偏微分方程式(PDE)や物理モデルを定義 |
| 数値解法選択 | FEM、FVM、BEMなど |
| Solver設定 | 収束条件、反復回数、時間ステップ設定 |
| 数値計算実行 | 応力、変位、温度、流速などを算出 |
代表的な数値解析手法
| 手法 | 特徴 |
|---|---|
| FEM(有限要素法) | 構造解析で最も一般的 |
| FVM(有限体積法) | CFD(流体解析)で広く使用 |
| BEM(境界要素法) | 境界問題に強い |
3. 後処理(Post-processing)
後処理では、Solverが出力した結果を可視化・分析します。
エンジニアが設計判断を行うための重要な工程です。
主な作業内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 結果可視化 | 応力分布、流線、温度分布表示 |
| 数値抽出 | 最大応力、変位量などを取得 |
| アニメーション生成 | 変形や流体挙動を時系列表示 |
| レポート作成 | 解析結果を文書化 |
| データ出力 | CSV、Excel、VTKなどへ出力 |
CAEで重要なのは「前処理品質」
実際のCAE業務では、
- Solver性能
- GPU性能
- 並列計算
なども重要ですが、最も解析結果へ影響するのは前処理品質であるケースが多いです。
例えば:
- 不適切なメッシュ
- 過剰拘束
- 接触設定ミス
- 材料設定ミス
などがあると、どれだけ高性能なSolverを使用しても正しい結果は得られません。
そのため、多くのCAEエンジニアは、
「良い解析は、良い前処理から始まる」
という考え方を重視しています。
まとめ
CAE解析は、大きく以下の3工程で構成されます。
- 前処理
- 解析(Solver)
- 後処理
特に前処理では、
- メッシュ品質
- 境界条件
- 接触条件
などが解析精度へ大きく影響します。
CAEツールを開発する場合でも、単純なSolver実装だけでなく、
- CAD連携
- メッシュ生成
- 結果可視化
- レポート出力
など、周辺機能を含めた設計が非常に重要になります。
