そうだ、PM受けよう
本当にその程度のノリと勢いで生きています。だくおんです。
PM試験ことIPAのプロジェクトマネージャ試験を2024年10月13日受けてきました。
目次
なんで受けたの?
理由は色々あります。
- 午前1の免除がそろそろ切れそうだった。正直これが一番大きい。去年の春にSCを取って秋にDBを受けたのですが、
PJで死にかけ仕事が大変佳境で正直真面目に勉強せずに行きました。データサイエンティストなのにER図書きたくないと思って意地を張って問題解いたら落ちました。午後2まで採点されただけでもラッキーだと思ってます。 - 本当はSA受ける予定だったが、SAは春しか無いことに秋申し込みの時点で気づいた。本当はSAやって、アーキ組めますよからのPMわかりますよの流れが自然だとは思ったのですが、無いものはしょうがない。PMもSA同様午後2は小論文なので、DBを繰り返すよりは得るものがありそうだと思いました。
- お世話になった会社のPMに「PMBOKわかってると、メンバの立場でもPJの全体像把握しやすいよ (意訳)」と教えていただきました。ほなPMBOK頭に入れるかぁということで会社の別の先輩とPMBOK勉強会しました。ほぼサシで。ついでにPM試験受けちゃうかぁ、で今に至ります。
PMの経験は?
ないです。はい。ですので午後2の小論文は完全に「ぼくのかんがえたさいきょうのプロジェクトマネージャ」を書きました。おそらく私以外に書いた人間が居ない題材なので (守秘義務は守っているはず)、内容については万が一採点者がここを見てしまってバイアスがかかることを危惧して公開は差し控えます。結果発表後に守秘義務守れる範囲で公開します。
試験どうだった?
問題冊子はこちらから。
- 午前2:自己採点は21/25なのでマークミスさえしてなければ多分大丈夫です。多分。
- 午後1:問1、2を選択。うおおおおおお問題文コピー&ペーストおおおおおでした。試験前に飲み物なくなったことに気づいて買いに行きたくなったので、2、30分くらい前に退出しました。
- 午後2:問2を選択。PM経験のない人間がコストで嘘八百書くのは無理です。問題が選びやすくて良かったです。
もうちょい詳しく:午前2
なぜかPM試験なのにゴリゴリ計算が出るおかげで時間はシビアでした。見直しは最初の10問くらいしかできませんでしたが、その10問にめっちゃミスやら思い出しやらが生えたので結果として高得点になりました。
各問題の超個人的所感
問題番号 | 所感 |
---|---|
1 | プロジェクトマネジメントについて触れられてるのは一択 |
2 | responsibility, accountability, なんだっけ、informed、あ、consultだ |
3 | 正直わからんけど他が「組織の定義」でないのはわかる。消去法 |
4 | 初見わからんかった。TCPIのこと完全に忘れてた。見直しで「BAC通りに完了するには...」でひねり出した式が正しかった。 余談だがIPAの「小数点以下2桁を四捨五入」は罠で、四捨五入する必要がないことが多い |
5 | 最初はADHIがクリティカルパスだと思ったけど見直したら違った。あっぶない |
6 | 過去問のときも苦手だった。私の計算では18日で行けます。行かせてください |
7 | (やっべこれ勉強してないの多方面でやばい) 速度になってるのはこれしかないやろ |
8 | TCPIのこと忘れてたけどCPIのことは覚えてました |
9 | 最初なんか血迷って10/5.2してた。見直しで気づいた |
10 | 過去問通りですね |
11 | 過去問通りですね |
12 | 過去問通りですね |
13 | しらねーーーー!!!!となったが、IPAはその性質上、必要のない時に特定の言語利用者が有利になる問題は作成しない (DBのSQLとかは別) と考えられるので三択。後は神様にお祈りしたら当たった |
14 | 解答見て「そうなんだ」ってなってます。確かにリハーサルなのに切り戻ししないのはまずいですね |
15 | CMMIは過去問のときから抽象度高くてわかりませんでした。「定量的」がキーワードなのかねぇ |
16 | 「アジャイル開発において」だけから察した |
17 | 過去問通りですね |
18 | 最初の三択のどれかだが、システムに関する要求事項なら「マネジメント」という言葉は入らないので二択。あとはお祈り。当たった |
19 | これよくわかってない。ログ情報反映がわかってない気がする。DB受けたのにね |
20 | 「実費償還」の字面で察した |
21 | データサイエンティストとしては身に覚えしかなかったので察した |
22 | 新規じゃん。わからん。お祈り。当たった 参考文献 |
23 | セキュリティ関連単語のAは authentication であることが多いんですよねとか言って雑に当てたSC試験合格者が居ます (正しくは Security Assertion Markup Language)。 まぁ後の三択は複数サービス間で規約が必要そうには見えなかったのはある |
24 | 逆にこれはSC的には一択 |
25 | どういう状況?ってなった。データサイエンス業界のPoCってSCと意味違うんだって改めて知った。それはそれとして公開情報を用いた攻撃からの予防になってるのは一択 |
もうちょい詳しく:午後1
解答用紙が配られた段階で「単語の穴埋めがない... だと...?」と心がざわざわしてました。過去問を解いてる感じ、穴埋めがある問題はPM未経験者には難しい傾向にあったのでそれを捨てようと思っていたのですが、あてが外れました。
しょうがないので試験開始後に問題文冒頭のサマリを見て判断しました。テーラリングについては個人的には興味があったのですがPM経験値が必要そうだったので試験と割り切って捨てました。
解答方針は基本的には問題文の近しい部分のコピペ。過去問を解いてる感じはコピペで効かない問題が4問に1問は出るのですが、それは努力だけして、当たったらラッキー。コピペ部分をミスらない、ことに注力しました。得点 (76/100) を見る限りこの戦略は当たっていたと言えます。
正直過去問解いてても「それってIPAさんの願望なのでは...?」と思う解答がたまにあり (多様性⇒新事業実現、より良い意思決定、チームのパフォーマンスの最大化など。理想はそうだけどマネジメント失敗すれば即カオスですよね...?)、ここは諦めやIPAの願望のメタ読みも重要と思っていました。
だくおんの解答
問1のだくおんの解答
設問1:
- (1) 「付加サービスのUXに関心がない利用者の期待やニーズを把握する狙い」。ほぼ問題文をコピペしました。
- (2) 「対価を払ってでも希望にあったレストランを簡単に探したい利用者」。これもほぼコピペですが「対価を払ってでも」で差をつける気持ちでした。
- (3) 「レストランの検索から予約までの合計の時間」。コピペですね。
設問2:
出た、問題文コピペで効かない問題と思いつつ、無難に手戻り防止「P社が把握し実現を試みているUXと利用者のニーズにずれがないことの確認」としました。
設問3
- (1) これもコピペで効かないですね。正直課長の気持ちなんて知らんわという気持ちが大きいのですが、モックアップじゃなくて本番稼働環境に近いことがIPA的なポイントなんかなとメタって、「本番稼働環境に近い環境とデータでのニーズを把握するため」としました。
- (2) 「簡単サービスのUXが価値に見合うものであること」。分析結果からのコピペです。
設問4
- (1) 「より多くの廉価ユーザーを獲得して事業を拡大する狙い」。事業上の部分からのコピペです。
- (2) これは正直コピペではだめな問題かもなと思いながらコピペしました。「様々な利用者が対価に見合う価値であると感じるUXを実現するため」。UX品質の向上を書いたほうが良かったかもしれません。
問2のだくおんの解答
設問1:
- (1) 「課ごとのPMMの差による他の課との共同作業の難しさ」。コピペです。
- (2) 「制度改正作業でPMMのの違いにより合意形成に時間を要したため」。コピペです。
設問2
- (1) 「本プロジェクトと改正作業の稼働割合が設定通りであること」。メンバの個人の部分で管理すべき内容はこれしかなかったと思います。
- (2) 「F氏の担当外の管理部門のステークホルダとの信頼関係」。今見ると「の」が多い。コピペです。
- (3) コピペで済まない問題ですね。なんか全員で頑張らないといけない理由を頑張って探しました;「全部門の新部門システムの同時稼働が必須であるから」
設問3
- (1) 「課を横断する課題対応を効率よく行い遅延リスクを低減する狙い」。前半部分は自己判断、後半はコピペです。
- (2) これも正直知らんわという話なのですが、多分IPA的にはPMMと同じ見直しをしたいんでしょうというメタ読み。「複数の課の開発に影響する部分のみ管理方法を統一する」。
もうちょい詳しく:午後2
データサイエンティストだとそもそもシステム開発の経験が薄くて論述ネタに詰む、ということがありがちですが、私は幸い2ヶ月の超ド短期システム開発の経験があったため、その経験を基に記述しました。
この案件は
- 2ヶ月で要件定義からUATまでやった超ド短期なので、論述の際に納期・コストなどで燃えたと書いても採点者に大きな違和感を抱かせることがない。
- 「それPMがちゃんとコントロールすべき範囲なのでは?」というツッコミは生じるものの、そもそもが無茶ある納期のため多少の燃えは発生するものと思ってもらえる。
- 技術的にも簡単ではない (ただし論述での説明が難しいほど過度に難しい訳ではない)。
- 私自身がロジックサイドのモジュールから単体・結合テストまでを一通り書いており、システムの全体像を把握している。
- 最終的にAWSへのデプロイを行ったため、インフラ周りの話も書こうと思えば書ける (私はデプロイ作業には関わっていないがアーキと技術スタックは覚えている)。
- その他ウォーターフォール型システム開発の難しさが全部詰まってる。
- 登場人物がそれほど多くないが、論述の際に過不足ない程度には存在する。
という、PM試験の論述のためにあったようなプロジェクトでした。当初からこのプロジェクトを基礎に、問題文に合わせて燃やすべき部分が燃えたことにして論述を書くつもりで質問書含め準備していました。守秘義務の観点からも起こったことと完全に同一のことを書くのは好ましくなさそうだったので、全体にかなりフェイクを入れるつもりでした。
今回は問1はコスト、問2はリーダーシップでしたが、いくらこのPJがド短期でコストで燃えたことにするとしてもコストをちゃんと監視した経験のない人間が嘘八百を書くのは難しいと判断して問2を選びました。
具体的には以下の通りのストーリーをでっちあげて書きました。
- そもそもの納期の短さ & ウォーターフォールにもかかわらず度重なる仕様変更等の外部要因 (原因はなんだった?に対する解答)
- この開発はこういう感じで技術的にちょっと難しくて社内で唯一経験があるシニアエンジニアの負担増 (このPJ特有の問題はなにか?どのようなテーラリングを行ったか?に対する解答)
- シニアエンジニアが突発的に休みがちになり、このままでは納期ヤバい。どう介入する?(何がどのようにPJ運営に影響を与えたのか?に対する解答)
- 私はPMとしてこういう支援的リーダシップで介入しました。(問題文に対する解答)
- 結果的に納期は守れたけど休みがちになる前にもうちょっと早く介入したほうが良かったかも。現状維持バイアスかかってたわ。(ツッコミどころに対する補足)
そもそも私がPMやってないのにやったことにしてある時点で当然ですが、起きた出来事や登場人物は基本的に全部フェイクです。納期や仕様変更でエンジニアが苦しくなるというのはあるある話なので、問題文で求められていることに合わせて舞台台本を書くつもりで書きました。
ということで、PM経験やシステム開発の経験がない方に朗報ですが、質問票の内容と論述の内容が一致しており、問題文で求められていることに対して適切な論述がなされていれば、内容が現実に起きていないことでも合格はできる、という良い例かと思います (下手にPM経験があると実際に起きたこと・自分がやったことにこだわってしまい、問題文で求められていることから外れた論述を書いて落ちることも珍しくないようです)。
たとえばデータサイエンティストの分析であれば「データ加工パイプランを0から作ったことにする」とか、「モデルを改良しようとしてデプロイ失敗したことにする」とか、何かしら自分が書ける範囲でシステムっぽい話を考えておくのが良さそうです。ただしMLOps系の場合、場合によっては質問票への回答が若干難しくなるので最悪テキトーに社内の人間が何人か使うことにしておきましょう。以下は質問票の参考文献です。
プロジェクトマネージャ試験 「論述の対象となるプロジェクトの概要」をどう書くか?
嘘がバレたら不合格になるのではという心配は理解します (というかそう思うのが真っ当) が、そもそも起きたことを全部完璧に書くほうが下手したら守秘義務に反しますし、国家資格である以上、採点官がそういった守秘義務の事情を本人に聞かずに勝手に「これは現実に起きてない」と判断してそれだけで不合格にすることはできないと想像されます。したがって、あくまで質問票と論述の整合性が取れており、問題文で求められていることに解答できているかどうかで合否が判断されていると推察されます。とにかく最低限の整合性は取りに行きましょう (もしかしたら逆にそこまで想像で書けるなら実際のPJ運営は理想的にはできるよねという話なのかも知れません)。
どうやって勉強したの?
※本項目にはAmazonアフィリエイトが含まれます。
全体にあまり時間は割きませんでした。先述した通り会社の先輩とPMBOKの勉強会したのが20時間?10時間?くらいで、あとは午前2の勉強が10時間?くらい。午後1は5時間くらい、午後2も5時間くらいでした。トータル40時間くらいでしょうか。
ただしこれは私がすでに基本・応用情報やSCに受かっていてある程度のCS知識があり、IPA試験の思想に慣れていること、曲がりなりにも大学・大学院で論文・レポートや論述試験の経験があること、肩書はデータサイエンティストでありつつ業務がほぼSEに近かったことが前提なので、データサイエンティスト一般に敷衍できる勉強時間ではないと思います。
午前1
基本情報のときからお世話になっています。電車とかのスキマ時間にポチポチするだけで対策になるので便利です。
マジで毎試験お世話になっているのでメンバーシップも投げ銭感覚で入りました。それだけの価値があります。開発者の皆様しゅきしゅきだいしゅき。
2023-2024 プロジェクトマネージャ 「専門知識+午後問題」の重点対策
系統的に学ぶ際はこちらの本を使いました。実際この本に採用されている過去問が今回も4問くらい出たので分析がすごくすごいです。
午後1
2023-2024 プロジェクトマネージャ 「専門知識+午後問題」の重点対策
午後1はこの本の過去問を2年分くらい解きました。解いてく中で「問題文のコピペで3/4は効く。あとの1/4はガチャ」と判断できたのでコピペするだけで通ろうとする方針を決定しました。SCや応用情報も基本的にコピペで効いたので、その成功体験は自信になってたと思います。
午後2
プロジェクトマネージャ 合格論文の書き方・事例集 第6版 合格論文シリーズ Kindle版
論述はこの本だけにお世話になりました。正直50%くらいしか読めてない (第1部しか読めていない) のですが、何かしらの論文を書いた経験のある人ならば第1部をちゃんと読むだけで多分アジャストできると思います。
時間が厳しいのは間違いなく、1回だけ時間を区切って過去問をフルで書いて手を動かす訓練をしました。普段PCでコーディングしかしていないそこの皆様、意外と漢字忘れちゃってますよ ()
あとはガジェットですね。シャープペンシルは0.4から0.9に太さを上げて試験時間中に極力芯が折れないようにしました。このシャープペンシルの0.4は大学受験のときからお世話になっていますが、本当に何本あっても困りません。
ぺんてる シャープペン グラフ1000 フォープロ PG1009 0.9mm
あとシャー芯はネオックスグラファイト2Bが個人的に大学受験の頃からめっちゃ好きです。硬さ (折れなさ) と滑らかさが両立しています。全試験通じて硬さはHBかBという指定がありますが、人間が採点するであろう午後試験については正直採点官が「ペロ... これは2B!不合格!」などやって判断している暇などないと思いますので、結果として論述が読みやすい濃さの文字で書かれていれば2Bだろうが構わないと思っています (自己責任でお願いします)。
ただし午前1, 2のマークシートは光学読み取りを行う都合上、指定のHBかBを守るのが安全です。機械の動作環境には合わせに行きましょう。私も午前はHBの鉛筆を使っていました。1ダース買った大学受験以降ずっと使えているので一箱買っておいて損はないと思います。
パイロット シャープペン芯 ネオックスグラファイト 0.9 2B 10個 HRF9G2002B
反省点ある?
午後1の公式解答見たときは問題選択ミスった〜〜〜と思いました。多分問2が一番コピペで効かない問題でしたね。とはいえこれで落ちてたら問題選択で2/3を当てられずに落ちたことになり、流石にPjMとして2/3を外す人間は採用できないだろうということで諦めるつもりでした。午後1で落ちなかったのは完全に運だったと思います。そもそも午後1は早々に「1/4は捨てよう」という荒っぽい受け方をすることに決めたのでそこが問題といえば問題ですが... IPAの午後1試験の正しい受け方は未だにわかっていません。
とにかく午後2がちゃんと採点されて良かったなぁと思いました。SA受ける際の指針になりました。字がお世辞にもきれいではない (時間がないからというよりデフォルトできれいではない) のですが、それでも採点していただけたことには本当に感謝しかありません。ただこれも試験直前まで第1部が読み終わっていなかったので、次はもっと早めに読み始めようと思います。
受けてよかった?
よかったと思います。メンバがPMBOKやプロジェクト管理をざっくりでも把握してると監視の目がそれだけ増えるのでPJが大幅に炎上することも防ぎやすいと思いますし、PjMとの目線も合わせに行きやすい気がしてます。
実際、つい最近のPJでも3日/2ヶ月くらいの遅延を出した時点でプロジェクトリーダーに「これ以上は自分の能力では残業しても遅延を回収できない。スコープやWBSをちゃんと切り直さないと納期に遅れる」という会話を行いました。その後紆余曲折の結果として自分の健康を守りつつ納期も守ることができたので、結果オーライかなと思っています。
ということで、データサイエンティストのメンバーという立場でPM試験を受けてみた結果と勉強過程、感想でした。