はじめに
環境構築を行う際に、パッケージ管理システムを使うと環境を綺麗に保つことができます。本記事では、MacOSにおいておそらく最も使われているパッケージ管理システムであるHomebrewのインストール方法について丁寧に説明します。
また、所々で特殊なコマンドがありますが、そのようなコマンドは**man
コマンドによって確認できる**ので、参考にしてください。
[0] 環境の確認
ターミナル上でsw_vers
コマンドを実行すると、OSのバージョンを確認できます1。また、本記事ではIntel Macでの動作確認のみをしているので、M1 Macの方はご注意ください。
% sw_vers
ProductName: macOS
ProductVersion: 11.2.3
BuildVersion: 20D91
[1] CommandLineTools for Xcodeのインストール
(1) CommandLineTools for Xcodeとは
コマンドラインとは、ターミナルにおいて操作を行うときの入力行のことです。このコマンドラインから呼び出すプログラム等をコマンドラインツールと呼び、CommandLineTools for Xcodeにはコマンドラインツールなどの開発者用のツールが含まれます2。
CommandLineTools for Xcodeを利用する場合、「CommandLineTools for Xcodeを単体でインストールして使う」or「Xcodeに付属しているCommandLineTools for Xcodeを使う」の2通りがあります。後者の場合、コマンドラインツール以外の開発者用ツール等が多く含まれる3ので、前者でのインストールを推奨します。また、本記事では前者でのインストール方法のみ紹介します。
(2) インストール先の確認と変更
CommandLineTools for Xcodeは、現在使っているディベロッパーディレクトリ4にインストールされます。従って、適切な場所にインストールするために現在のディベロッパーディレクトリを確認する必要があります。
xcode-select
コマンド
xcode-select
コマンドは先程のディベロッパーディレクトリを管理するためのコマンドです。-p
をオプションにつけた際は、現在選択しているディベロッパーディレクトリのパスを出力します。また、-s
オプションの後にパスを指定することで、ディベロッパーディレクトリを切り替えることができます。
確認と変更
ディベロッパーディレクトリとして今回は/Library/Developer/CommandLineTools
を使用します。従って、-p
オプションでディベロッパーディレクトリへのパスを確認した後、必要な場合は-s
オプションでディベロッパーディレクトリを切り替えてください。
% xcode-select -p
/Library/Developer/CommandLineTools
% xcode-select -p
/Applications/Xcode.app/Contents/Developer
% xcode-select -s /Library/Developer/CommandLineTools
% xcode-select -p
/Library/Developer/CommandLineTools
(3) インストール方法①
インストール用コマンド
CommandLineTools for Xcodeは下記のコマンドでインストールすることができます。この際、いくつかのポップアップが出てきますが、基本的に指示に従えば良いです。
% xcode-select --install
確認用コマンド
CommandLineTools for Xcodeのバージョンはpkg
ファイルによるインストールを管理するpkgutil
コマンドにより確認でき、同時に正しくインストールできていることも確認できます5。
pkgutil --pkg-info=com.apple.pkg.CLTools_Executables | grep version
(4) インストール方法②
先程のコマンドによるインストールを行うことで、安定版の中で最新のCommandLineTools for Xcodeをインストールすることができます。しかし、上記の方法が上手くいかない場合は別の方法を試す必要があります。
まず、先程の方法で途中までインストールがされている場合を避けるために、下記のコマンドでCommandLineTools for Xcodeを一旦削除します。
% sudo rm -r /Library/Developer/CommandLineTools
そして、インストールの際にはApple公式のMore Downloads for Apple Developersを利用します。ここにある様々なバージョンのうちから適切なものを選んで直接インストールを行なってください。
また、OSやSDKのバージョンによって適切なCommandLineTools for Xcodeのバージョンも異なる場合があるので、詳しくはXcodeの英語版wikipediaの表を見てください。
[2] Homebrewのインストール
HomebrewはMacにおけるパッケージ管理システムです。Homebrewについて詳しくはHomebrewのドキュメントを参照してください。また、それぞれのコマンドの説明はHomebrewのドキュメントのmanページを見ると良いです。
(1) インストール用コマンド
HomebrewのホームページにあるHomebrewのインストールコマンドによりインストールを行なってください。インストール用のコマンドが時折変わるので、本記事には貼り付けません。
(2) 確認用コマンド
確認用のコマンドにより、下記の出力が得られた場合はHomebrewを問題なくインストールすることができています。
% brew doctor
Your system is ready to brew.
(3) エラーへの対処
先程の確認用コマンドを実行した際に、主に2つのエラーが出る場合があります。この場合の対処法について紹介します。
Unbrewed ~
となる場合
Homebrew経由でインストールしていないパッケージが/usr/local/
にあります。この場合は、それぞれのパッケージを適切にアンインストールすることで対処可能です。また、該当するファイルやディレクトリを削除するのみでもエラーは消えますが、環境を綺麗に保つために適切にアンインストールすることをお勧めします。
You have unlinked kegs ~
となる場合
Homebrewでインストールしたパッケージへのリンクが切れています。そのパッケージが必要な場合は% brew link (パッケージ名)
で再度リンクし、必要ない場合は% brew uninstall (パッケージ名)
でアンインストールしてください。
後書き
MacでGCCを"正しく"環境構築しよう!のHomebrewのインストールまでをこちらの記事に移植しました。Homebrewのインストールで困る方がより減れば嬉しいです。