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2026年11月現在における最強の麻雀 AI は?調べてみました!

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Last updated at Posted at 2026-11-06

調査日:2026年11月7日

本稿では,日本のリーチ麻雀(主に四人打ち)を対象に,これまでに公開・発表された主要な麻雀 AI を「公開年」「強さ」「手法」「公開性」「牌譜解析サービス展開」の観点から整理し,2026年11月現在で「最強」と言えるものがあるのかを検討する.
数値はできるだけ一次情報(論文,公式発表,リポジトリ,公開 API)から取り,個人ブログや note などの二次情報に依拠するものはその旨を明記した.

結論(先に)

  • 共通の物差しがないため,「最強」は一つに決められない.
    人間相手の天鳳での記録,AI 同士の対戦実験,オープンアリーナ(RiichiLab)のいずれも,参加者・条件・統計精度がばらばらで,相互に換算できない.
  • 人間相手の公認記録では,2023年の LuckyJ(Tencent AI Lab)が依然として最上位.
    天鳳特上卓で 1,321 戦目に十段到達,安定段位 10.68.Suphx(8.74)との差は統計的に有意と発表されている.
    ただしこの戦数では安定段位の標準誤差がおよそ ±1 段ある(後述の試算).
  • 2026年10月13日に NAGA の新タイプ「アナンタ」「ウロボロス」が登場した.
    従来の「強者の牌譜から学習」したモデルに対して「自己改善型」と説明され,公式の AI 同士の対局(42万半荘)では,天鳳で十段に到達した当時の NAGA より安定段位で +1.67〜+2.08 高い(特上卓の式).人間相手の成績は公表されていない.
  • 無許可で鳳凰卓を打っていたとみられる「未払い」(極雀=旧 BigCoach 系)は,鳳凰卓 430 戦で安定段位 11.12 とされる.
    ただし鳳凰卓の式は同じ順位分布でも特上卓の式より 3 段前後高く出るうえ,430 戦では 95% 区間が 8〜15 段程度に広がるため,LuckyJ との優劣は判定できない.
  • AI 同士のオープンアリーナ RiichiLab では,説明欄に FlyA の開発元 Nashout のサイト(nashout.com)を記した bot が首位.
    全期間 1 位は「zero-test2」(R2073),直近 2 か月に対局した bot の中では「NO.24」(R1982)が 1 位.ただし NAGA・LuckyJ・極雀などの参加は確認できない.
  • 手法の潮流は,人間の牌譜に頼らない自己対戦と,反実仮想後悔最小化(CFR)系である.
    LuckyJ(2023),FlyA Manout・Epsilon-Prism(2026)は人間の牌譜を使わない学習をうたい,NAGA の新タイプも従来の牌譜学習型と対比して「自己改善型」と説明されている.

前提と用語

天鳳と AI

  • 天鳳で AI が対局するには運営が発行する bot 用アカウントが必要で,対局できるのは特上卓まで(NAGA の技術記事).
    鳳凰卓への AI の入室は認められておらず,NAGA・Suphx・LuckyJ の十段はいずれも特上卓での記録である(NAGA の十段到達を伝えるブログ).
  • Mortal の作者は,個人開発であることを理由に天鳳での AI アカウント申請を断られたと述べている(mjai-reviewer FAQ).

安定段位

ある順位分布で打ち続けたときに段位ポイントの期待値がちょうど 0 になる段位である.
東南戦では次の式で求まる(NAGA タイプガイド,Suphx 論文).

  • 特上卓:(5×1位率 + 2×2位率) ÷ 4位率 − 2
  • 鳳凰卓:(6×1位率 + 3×2位率) ÷ 4位率 − 2

同じ順位分布でも,鳳凰卓の式は特上卓の式より (1位率+2位率) ÷ 4位率(典型的には 3 前後)だけ大きくなる.
また 4 位率が分母にあるため,戦数が少ないと大きくぶれる.

AI 同士の評価

  • 1v3 重複麻雀(duplicate):同じ牌山で席を入れ替えて打ち,配牌・ツモの運を打ち消す方式.1 体の挑戦者と 3 体の基準 AI を対戦させる(Mortal の評価など).
  • RiichiLab のレーティング:OpenSkill(Weng-Lin の Plackett-Luce モデル).μ=25,σ=8.333 から始まり,表示レーティングは 1500 + 20 ×(μ − 3σ)(ドキュメント).

公開年

時期 名称 開発 出来事
2006-05 まったり麻雀 kmo2 氏 窓の杜で v0.8.8(2006-05-11 公開)が紹介される.作者ブログによれば 2016 年の v0.9.13 まで更新.初版の公開年は未確認
2007-11 北川・三輪・近山の NN 打牌研究 東京大学 GPW-07「麻雀の牌譜からの打ち手評価関数の学習」
2008-11 三木・三輪・近山の木カーネル SVM 東京大学 GPW-08「木カーネルを用いた SVM による麻雀打ち手の順位学習」
2012-04 mjai,manue Hiroshi Ichikawa(gimite)氏 AI 対戦サーバ mjai と,その参加 AI manue を公開
2015-08 爆打 水上直紀・鶴岡慶雅(東京大学) IEEE CIG 2015 論文.改良版が 2017 年に天鳳九段
2017-11 栗田・保木の前身研究 栗田萌・保木邦仁 GPW-17「麻雀1局の目的に応じた抽象化と価値推定からなるプレイヤの開発」
2018-10 NAGA Dwango Media Village 2018-10-22 に天鳳へ bot として参戦.2019-01 に技術記事(この時点で最高八段)
2019-03 Suphx Microsoft Research Asia 2019-03 に天鳳参戦,2019-06 に十段,2019-08 に発表,2020-03 に論文
2019-04 Akochan(論文,コード) 栗田・保木 2019-04 に arXiv,2019-09 にコード公開,2021-03 に IEEE Transactions on Games 掲載
2020-02 akochan-reviewer(現 mjai-reviewer) Equim 氏 Akochan を使う牌譜検討ツール
2021-07 NAGA Dwango Media Village 特上卓で十段到達(2018-10 から 26,598 戦)
2021-08 Kanachan Cryolite リポジトリ公開.2023-05 に大幅更新
2021-08 MajsoulAI moxcomic 氏 雀魂・天鳳向け AI.2023-06 から後継の Archer
2022-04 Mortal Equim 氏 2021-04-22 開発開始,2022-04 にコード公開,2022-06-26 に 1.0 をリリース
2022-04 ACH Tencent AI Lab ICLR 2022.1 対 1 麻雀で人間のチャンピオンに勝利
2022 未踏「麻雀プロのための AI 牌譜解析ツール」 大神卓也・奈良亮耶・天野克敏・今宿祐希(東京大学) IPA 未踏 IT 人材発掘・育成事業の 2022 年度採択
2023-04 LuckyJ Tencent AI Lab 2023-04 に天鳳で稼働開始,5 月末に十段,2023-07-11 に正式発表
2023-07 KIRIN シグナルトーク(Maru-Jan) Ver.0.1 公開(2023-07-18)
2025-02 MAKA 雀魂(日本運営:Yostar) β 版をゲーム内に実装(2025-02-26)
2025-06 「未払い」,極雀(旧 BigCoach) 非公表 2025-06 頃に天鳳鳳凰卓で観測.同系統のモデルで牌譜検討サービスを展開
2026-03 RiichiLab smly(Kohei Ozaki)氏 WebSocket 接続型のオープンアリーナとしてリニューアルオープン(2026-03-10)
2026-04 FlyA(Heyman,Manplus,Manout) Nashout FlyAgent のリポジトリ開設(2026-04-09).RiichiLab には 2026-03 から bot が参加
2026-05 MahJax の BC/PPO 実験(論文,コード) Nishimori ほか(東京大学・理研 AIP ほか) JAX による GPU 並列の麻雀環境
2026-09 Epsilon KoutaChan 氏 2026-09-17 公開.2026-11-05 に Epsilon-Prism の重みを公開
2026-10 NAGA:アナンタ/ウロボロス Dwango Media Village 2026-10-13 リリース(麻雀ウォッチ,キンマweb)
2026-10 miai nanomena 氏・RuBP17 氏 2026-10-31 に牌譜検討で公開,2026-11-03 に対局機能を追加

強さ

天鳳などでの実績(人間を含む対局)

AI 場 戦数 段位 安定段位 補足(出典)
北川・三輪・近山(2007) 東風荘 — — — レート 1318.牌譜との一致率はツモ局面で約 56%,鳴き局面で約 89%(CiNii)
爆打(2015 年論文版) 天鳳 — — — レート 1718(論文)
爆打(天鳳での通算) 天鳳特上卓 30,516 九段(2017 年) 6.59 戦数と安定段位は Suphx 論文の Table 4.2018 年 2 月時点では七段(ITmedia)
Akochan — — — — 作者は「天鳳で七段〜九段という感じ」と自己評価(2019-09 の X 投稿).天鳳での戦績は未公表
NAGA(2020 年頃まで) 天鳳特上卓 9,649 八段 6.64 Suphx 論文の Table 4
NAGA(十段到達) 天鳳特上卓(東南) 26,598(十段到達まで) 十段(2021 年 7 月までに) 未公表 個人ブログの集計
Suphx 天鳳特上卓 5,760 十段(2019-06) 8.74 論文の Table 4.同表の人間トップ層(十段到達者)は 8,031 戦で 7.46
LuckyJ 天鳳特上卓 1,321(十段到達まで) 十段(2023-05) 10.68 Tencent の発表(澎湃新闻,IT之家).安定段位のブートストラップ分布で Suphx に対し p=0.029,NAGA に対し p=3×10⁻⁵.天鳳の開発元 C-EGG の CEO は「1,000 戦以上の全プレイヤー(人間を含む)の中で安定段位 1 位」とコメント
未払い 天鳳鳳凰卓 430 — 11.12 平均順位 2.333.特上卓では安定段位 10.88・平均順位 2.199(戦数不明).いずれも note 記事掲載のスクリーンショットによる.48 時間休みなく打ち続けたことなどから無許可 AI とみられている(note)
MajsoulAI 天鳳 488 八段 「安定十段」 リポジトリ説明文の自己申告.同作者の Archer は「天鳳鳳凰卓十段」「雀魂魂天」を称する一方,雀魂の段位は「暫時公開できない」とも記載
FlyA 雀魂 玉の間(四麻) 100 — — Manout 1 で平均順位 2.10(1〜4 位が 39・24・25・12 回.標準誤差は約 0.1).ほかに「雀魂 魂天(四麻)」「天鳳十段(三麻)」の認定画像を掲示

※ 段位は最高到達段位.安定段位の集計範囲は出典ごとに異なる.北川らの値は東風荘のレートであり,天鳳の値とは比較できない.

AI 同士の対戦実験

実験 条件 局数 結果(平均順位) 出典
Akochan 論文(栗田・保木) 東風戦.提案手法 1 席,爆打(天鳳で最高 R2206 を記録した版)1 席,manue 2 席 3,557 提案手法 2.23,爆打 2.29,manue 2.74 arXiv の Table I
SUO(R 麻雀)対 Akochan 半荘.SUO 3 席,Akochan 1 席 3,992 SUO 2.501,Akochan 2.498 R Mahjong
Mortal 1.0 対 Akochan 1v3 重複.Mortal 3 席 23,432(Akochan 側) Mortal 2.479,Akochan 2.563 Mortal Documentation
Mortal 3.1 対 Akochan 同上 13,152(Akochan 側.Mortal 側は 39,456) Mortal 2.477,Akochan 2.568.平均順位点は +1.89 対 −5.67(順位点 [90, 45, 0, −135]) 同上
Mortal 4.0 対 3.1 1v3 重複.4.0 が 1 席 1,000,000(4.0 側) 4.0 が 2.482,3.1 が 2.506 同上
Mortal 4.1 系 対 4.0 同上 1,000,000(4.1 側) 4.1a 2.494,4.1b 2.494,4.1c 2.485 同上
NAGA タイプガイド 7 タイプと十段モデルの 8 体から 4 体を選ぶ全 70 通り×6,000 半荘.喰いタン・赤あり 420,000 アナンタ 2.439,ウロボロス 2.434,従来 5 タイプ 2.503〜2.526.十段モデルに対する安定段位差(特上卓の式/鳳凰卓の式)は,アナンタ +2.08/+2.67,ウロボロス +1.67/+2.06,従来 5 タイプ +0.65〜+0.95/+0.84〜+1.22 NAGA 公式
極雀のモデル間比較 1v3.天鳳ルール 約 1,000,000 天鳳換算の安定段位(7.0〜7.2 の範囲)で ヘイロー 1.1 > ゼニス 1.0 ≒ リゲル 1.4 > ノヴァ 1.0 note(伝聞を含む)
MahJax 一局戦・赤なし.PPO(BC で初期化し BC 方策への KL 正則化)1 体対 BC 方策 3 体 1,000 2.5 を下回る(数値は図のみ) arXiv

AI 同士の結果は基準とする AI や条件に強く依存し,人間相手の強さに換算できるとは限らない.
NAGA 公式も「AIどうしの対局の結果で、人間との対局での成績を約束するものではありません」と注記している.

RiichiLab

RiichiLab は,強化学習用の Rust 製シミュレータ RiichiEnv(Apache-2.0)の作者である smly(Kohei Ozaki)氏が運営する,麻雀 AI 同士のオープンアリーナである.
2026年3月10日に WebSocket 接続型としてリニューアルオープンした(提出ファイルを評価する形式だった mjai.app が前身).

  • 対局:四麻と三麻のランク戦.半荘戦.参加者は自分の bot を WebSocket で接続し,MJAI 形式のメッセージでやり取りする(ドキュメント).
  • 持ち時間:応答ごとに 3 秒,加えて局ごとに 15 秒の持ち時間(既定値).時間切れはツモ切り/パス扱い,不正な応答はチョンボ(満貫相当).
  • マッチング:待ち時間に応じて広がるレーティング帯(±100 から無制限まで)で 4 体を組む.
  • 規模:2026-11-07 時点で有効(active)な bot が 348 体,累計 350,778 局.

2026-11-07 01:33(JST)に公開 API から取得した四麻ランキングから,主な bot を抜き出すと次のとおり.
「直近 2 か月」は,直近 2 か月に対局した 158 体の中での順位である.

全期間 直近 2 か月 bot 説明欄(自己申告) R 局数 平均順位
1 — zero-test2 nashout.com - zero self RL 2073 261 2.069
3 — Mootal (なし) 2044 621 2.071
4 — ikun nashout.com 2023 404 2.176
6 1 NO.24 nashout.com 1982 4,418 2.182
9 2 Deckard (なし) 1977 1,655 2.355
10 — Nee's CFR (名称のみ) 1976 635 2.102
15 3 MahjongAI-S70 MahjongAI S70 supervised model 1955 5,866 2.280
25 9 Epsilon-Prism v2e ゼロから学習された麻雀 AI(PRISM) 1895 6,124 2.405
35 14 nodoka-latest PPO 1872 22,938 2.372
45 21 Mortal-v4b (なし) 1859 7,159 2.389
55 26 Epsilon-Nano Transformer(4.7M パラメータ) 1846 2,638 2.264
83 43 mira-a(運営者) Entity Transformer(1.57M),BC+PPO 1816 38,925 2.646
248 135 naive(運営者) CNN,BC,6M 1522 36,945 2.682
261 142 牌効率くん(kobalab 氏) 単純牌効率・聴牌即リー・鳴きなし・オリなし 1445 16,189 2.866
  • 上位は説明欄に nashout.com(FlyA の開発元 Nashout のサイト)と書かれた bot が占める.全期間 1 位の zero-test2 は「zero self RL」,つまり人間の牌譜を使わない自己対戦 RL とある.
  • Epsilon-Prism 系の bot(v2e)は直近 2 か月で 9 位.ただし重みが公開された v760 と同一かは分からない.匿名登録の「Mortal-v4b」は 21 位で,Mortal の公式な重みは非公開のため出自は不明である.
  • 三麻では「ReBeL」が直近 2 か月の 1 位(14,413 局,平均順位 1.781).

読むときの注意点は次のとおり.

  • レーティングは参加 bot の中での相対値であり,人間相手の強さではない.
  • 全期間のランキングには,対局をやめた bot が当時のレーティングのまま残る(30 日を超えて対局しないと σ が少しずつ増えるだけ).現役同士の比較には直近 2 か月の順位が向く.
  • レーティング帯でマッチングされるため,平均順位は対戦相手の強さに左右される.たとえば運営者の参照 bot である mira-a は R1816 だが平均順位は 2.646 である.
  • bot 名と説明は自己申告であり,匿名登録や同一系統の複数登録も多い.
  • NAGA,LuckyJ,Suphx,極雀,MAKA などの参加は確認できない(匿名の bot の正体は分からない).

以上から,RiichiLab は個人・小規模開発の AI にとっては事実上の共通の物差しになりつつある(Epsilon は学習記録から RiichiLab の戦績にリンクし,lisjong は RiichiEnv・RiichiLab 向けと明記している).
一方で,大手・商用 AI を含めた共通ベンチマークにはまだなっていない.

安定段位の誤差(試算)

公表される安定段位は数百〜数千戦の標本から計算した推定値なので,誤差を持つ.
公表値に合う順位分布を仮定し,標準誤差(デルタ法)と 95% 区間(20,000 回のシミュレーション)を試算すると次のようになる.

想定 仮定した順位分布(1〜4 位率) 戦数 安定段位 標準誤差 95% 区間
LuckyJ 相当(特上卓の式) 31.8/27.0/24.4/16.8% 1,321 10.68 0.98 8.95〜12.83
Suphx 相当(特上卓の式) 29.0/27.9/24.4/18.7% 5,760 8.74 0.39 8.02〜9.54
未払い 相当(鳳凰卓の式) 29.7/27.0/23.5/19.8% 430 11.12 1.68 8.32〜15.01
  • LuckyJ の分布は,平均順位 2.262(note 記事に掲載の値)と 2 位率 27% を仮定した.Suphx は 4 位率 18.7%,未払いは 2 位率 27% を仮定した.標準誤差の大きさは主に 4 位率と戦数で決まり,これらの仮定には大きく依存しない.
  • この仮定のもとで LuckyJ と Suphx の推定値の大小が逆転する確率は約 2% であり,発表された p=0.029 と整合する.LuckyJ が Suphx より強いことは統計的に支持されるが,「10.68」自体は ±2 段程度の幅で読むべき値である.
  • 未払いの「鳳凰卓 430 戦,平均順位 2.333,安定段位 11.12」からは,4 位率が約 19.8% と逆算できる.この順位分布を特上卓の式に入れると約 8〜8.5 になる.対戦相手の強さが違うので単純には比べられないが,少なくとも「11.12 は 10.68 より大きいから LuckyJ より強い」とは言えない.

結局,どれが最強か

土俵 現時点の最上位 検証可能性
人間相手・公認(天鳳特上卓) LuckyJ(2023,安定段位 10.68) 高い(天鳳の公開記録.ただし ±1 段程度の誤差)
人間相手・非公認 未払い(鳳凰卓 11.12,特上卓 10.88) 低い(無許可とみられ,第三者のスクリーンショットのみ)
自社内の AI 同士 NAGA アナンタ/ウロボロス(十段到達時の NAGA より +1.67〜+2.08) 中程度(条件は公開されているが,比較対象は自社モデルのみ)
オープンアリーナ(RiichiLab) 説明欄に nashout.com(FlyA の開発元)とある bot 中程度(公開 API で確認できるが,大手の参加は確認できず,説明は自己申告)
重みが公開され再現できるもの Epsilon-Prism(RiichiLab 直近 9 位の系統) 高い(コード GPL-3.0,重み MIT)

公開情報から言えるのは次の 2 点である.

  1. 人間相手に検証できる最上位の記録は,2023 年の LuckyJ から更新されていない.
  2. 2025〜2026 年に現れた自己対戦系の AI(極雀,NAGA 新タイプ,FlyA,Epsilon-Prism)はいずれも既存 AI からの大きな改善を主張しているが,互いを比べられる共通の場がない.

LuckyJ,NAGA 新タイプ,極雀,FlyA が同じ条件で対戦する機会(たとえば RiichiLab への参加)がない限り,「2026年11月現在の最強」は「この 4 つのいずれか」という以上には絞り込めない.

手法

AI モデル 学習 探索・推論時の計算 報酬・目的
まったり麻雀(2006) 手設計 なし 役の点数と完成確率から期待値を計算.ベタオリあり 期待値
北川ら(2007) 3 層 NN(入力は持ち牌 2・3 枚の組合せ,面子・搭子の数,安全度の高い牌などの手設計特徴) 牌譜からの教師あり学習 — 牌譜との一致
三木ら(2008) 木カーネル SVM 牌譜からの順位学習 — 牌譜との一致
manue(2012) 放銃率の決定木と統計量 天鳳の牌譜から放銃率の決定木を学習 打牌ごとに 1,000 回のモンテカルロで和了率と打点を推定 期待得点 = (1 − 放銃率) × 和了率 × 平均打点 − 放銃率 × 平均放銃点
爆打(2015) 相手モデル(聴牌・待ち・打点の予測) 熟練者の牌譜から相手モデルを教師あり学習 相手モデルを組み込んだモンテカルロ・シミュレーション シミュレーションで評価
Akochan/栗田・保木(2017〜2021) 局の目的ごとに抽象化した複数の MDP.相手 3 人を熟練者の行動確率に従う「chance player」で置き換える 相手の行動確率などを牌譜から推定 MDP 上の探索と後退解析による価値推定(1 手数秒) 期待最終順位
NAGA(2018〜) CNN×4(打牌・副露・立直・槓) 鳳凰卓の牌譜からの教師あり学習(確信度推定つき) なし(オーラスの和了判断などにヒューリスティクス) 牌譜の模倣
Suphx(2019) CNN×5(打牌・立直・チー・ポン・カン) 教師あり学習 → 自己対戦の方策勾配 RL(エントロピー正則化).完全情報を見る oracle で誘導(oracle guiding) pMCPA(対局中にロールアウトで方策を適応させる) GRP(GRU で最終順位点を予測し,局ごとの報酬に分配)
Kanachan(2021〜) Transformer エンコーダ.目的ごとにデコーダを差し替える段階的ファインチューニング BC,オフライン RL(CQL・IQL・ILQL を実装) — —
Mortal(2022〜) 1 次元畳み込みの ResNet +チャネル注意,DQN ヘッド,順位予測の補助タスク 価値ベース RL.オフライン(CQL 正則化)とオンライン(自己対戦)の 2 モード なし(作者の FAQ に「探索はできない」とある) GRP(GRU)が予測する順位確率から順位点の期待値を求め,局間の差分を報酬にする.局内はモンテカルロ収益
LuckyJ(2023) 非公開 人間のデータを使わない自己対戦(強化学習と後悔最小化).同 Lab には ACH(ICLR 2022)がある 楽観的価値推定に基づく不完全情報探索.探索結果を方策ネットワークの特徴量として入力 非公開
未払い/極雀(2025〜) 非公開(ゼニスは MoE と紹介されている) 天鳳の牌譜の模倣で初期化し,数億半荘規模の自己対戦(伝聞) 非公開 平均順位の最適化.ノヴァ(Zeus)は素点も評価
NAGA アナンタ/ウロボロス(2026) 非公開 「自己改善型」 非公開 段位戦向けのラス回避(アナンタ)/トップ重視の配分(ウロボロス)
MahJax(2026) — ルールベース AI の行動 50 万サンプルで BC → PPO(BC 方策への KL 正則化) なし —
FlyA(2026) 非公開(クラウドで推論) Heyman:人間のトップ層のデータから蒸留.Manplus:Heyman に強化学習.Manout:人間の牌譜を使わず CFR で自己対戦 非公開 非公開
Epsilon(2026) Transformer(Pico 1.5M,Nano 4.7M,Epsilon 10.7M,Prism 1.9M パラメータ) Pico・Nano・Epsilon は牌譜から GRP(最終順位予測)と Decision(方策・価値)を学習し,Nano の学習記録では PPO ベースの方策学習を採用.Prism は人の牌譜を使わず白紙から自己対戦(約 4,860 万半荘) Prism は学習時,同じ牌山で候補行動ごとに局の終わりまで打ち切り,GRP の効用差でラベル付け(PRISM) GRP.天鳳段位戦に基づく順位点(2/3,1/3,0,−1)
RiichiLab 運営者の参照 bot(2026) Entity Transformer(1.6M〜5M),CNN(6M) BC + PPO(naive は BC のみ) — —

出典:窓の杜,CiNii,mjai-manue,爆打論文,Akochan 論文,NAGA 技術記事,Suphx 論文,Kanachan,Mortal のソースコード,LuckyJ の報道(新浪),極雀の開発者への質問記事,MahJax,FlyAgent,Epsilon,RiichiLab API.

  1. 評価関数:手設計から統計的機械学習へ.
    ルールベースの手設計の評価(まったり麻雀)から,人間が設計した評価関数,さらには統計的機械学習による評価関数(北川ら,三木ら,manue,爆打,Akochan)へと進化し,2018 年以降は深層学習(NAGA,Suphx)が主流になった.
    これは人工知能研究の大きな流れと一致する.

  2. モデル:CNN から ResNet,Transformer へ.ただし小型.
    初期は非 NN と NN が並走していた(2007 年に 3 層 NN,2008 年に木カーネル SVM).
    深層学習期には CNN(NAGA,Suphx)→ ResNet +チャネル注意(Mortal)→ Transformer(Kanachan,Epsilon,RiichiLab 運営者の Entity Transformer)と進んでおり,これも人工知能研究の大きな流れと一致する.
    一方,2026 年の上位モデルは 1.5M〜10M パラメータ程度と小さい(Epsilon-Prism は 1.94M).RiichiLab の持ち時間のような推論コストの制約が効いているのかもしれない.

  3. 相手モデルと探索:相手モデルは end-to-end 化したが,探索は消えていない.
    明示的な相手モデル(manue の放銃率推定,爆打の聴牌・待ち・打点の予測,Akochan の chance player)は,end-to-end のネットワーク(NAGA,Suphx,Mortal)に吸収された.
    一方で探索は残っている.Suphx は pMCPA で対局中に方策を適応させ,人間相手の公表値で最上位の LuckyJ は不完全情報探索を使う.Epsilon-Prism はロールアウトを学習時の教師信号の生成に使う.
    推論時の探索は主流ではないが最上位では残っており,探索を学習側(ロールアウトによるラベル生成や CFR)に移す動きもある,と言うのが正確だろう.
    隠れ情報の推定も別モデルや機能として残っている(Epsilon の Belief モデル,未踏 2022 の手牌推測機能).

  4. 学習:模倣学習から強化学習,そして反実仮想後悔最小化(CFR)へ.
    模倣学習(NAGA 初期型)→ 教師あり学習で初期化した強化学習(Suphx)→ 後悔最小化を組み込んだ自己対戦(LuckyJ,2023)と進み,2026 年には FlyA Manout が CFR による自己対戦をうたう.
    RiichiLab にも「Nee's CFR」(全期間 10 位)や,説明に「CFR with zero self-play」と掲げる bot(同 51 位)がいる.
    Epsilon でも Epsilon-LCFR が試みられた(PR #3.より有望な別案を優先して 2026-10-26 にクローズ).

  5. 強化学習:BC からの接続を前提としない方向へ.
    BC を前提とするもの(Suphx の教師あり学習 → RL,MahJax の BC → PPO,RiichiLab 運営者の BC + PPO,極雀の模倣 → 自己対戦)から,前提としないもの(LuckyJ,FlyA Manout,Epsilon-Prism の白紙から約 4,860 万半荘,Nashout の「zero self RL」)へと進化している.
    NAGA の新タイプも,従来の「強者の牌譜から学習」に対して「自己改善型」とされる.

  6. value-based と policy-based.
    value-based(DQN など)には Mortal(DQN 系 + CQL)と Kanachan(CQL・IQL・ILQL)がある.
    policy-based(PPO など)には Suphx(方策勾配),MahJax・Epsilon-Nano・RiichiLab の nodoka や運営者の bot(PPO),LuckyJ(強化学習と後悔最小化)がある.
    比べると policy-based がやや活発な印象で,2026 年の新規参入は policy-based か CFR 系が多い.
    理由としては次の仮説が考えられる.

    • BC からの接続が自明だから.方策をそのまま初期値にでき,BC 方策への KL 正則化で離れすぎを防げる(MahJax が実例).
    • 不完全情報ゲームでは確率的な(混合)戦略が本質的で,後悔最小化(CFR,Hedge,ACH)とつなぎやすいのは方策の側だから.
    • 大規模な分散自己対戦の定番手法(PPO,V-trace)がそのまま使えるから.

    ただし OSS の基準である Mortal は value-based であり,RiichiLab でも「Nee's RainbowDQN」(R1890)のように value-based と思われる bot が上位にいる.

  7. オフライン強化学習と offline-to-online 強化学習(O2O RL).
    盛んとは言えないが,OSS の 2 系統では使われている.
    Mortal は CQL 正則化つきのオフライン学習と,自己対戦によるオンライン学習の両モードを持つ(ドキュメントの章立ても Offline Phase → Online Phase).Kanachan は CQL・IQL・ILQL を実装している.
    それ以外(Suphx,LuckyJ,FlyA,Epsilon,極雀)はオンラインの自己対戦が中心で,オフライン RL の採用例は確認できなかった.

  8. 報酬設計:GRP 系が主流で,2025 年以降は「順位点配分ごとのモデル」へ.
    公開情報で確認できる範囲では GRP 系が主流である.
    Suphx は GRU で最終順位点を予測して局ごとの報酬に分配し,Mortal は GRP が予測する順位確率から順位点の期待値を求めて局間の差分を報酬にする.Epsilon も GRP で最終順位を予測し,天鳳段位戦に基づく順位点で効用を定める.
    2025〜2026 年には,順位点配分(目的)ごとにモデルを分ける・切り替える動きがはっきりしてきた.NAGA はラスのマイナスが大きい段位戦向けのアナンタとトップが大事な配分向けのウロボロスを出し,極雀はラス回避特化(ヘイロー)とトップ・素点重視(ノヴァ)のモデルを持つ.miai は検討時にトップ狙い・バランス・ラス回避を選べ,2022 年の未踏プロジェクトも順位点の配分を入力に加えた報酬関数を設計していた.
    一方,LuckyJ・NAGA・FlyA の報酬設計は非公開でブラックボックスである.

  9. 評価方法:人間相手から AI 同士へ.
    評価は,人間相手の天鳳での安定段位(数千戦)から,AI 同士の大規模対戦(10⁵〜10⁶ 半荘,重複麻雀)を経て,オープンアリーナ(RiichiLab の OpenSkill)へと移ってきた.
    人間相手の公認の新記録は,AI アカウントの制約(特上卓まで,個人開発は不可)もあり,2023 年の LuckyJ 以降確認できない.

公開性

名称 論文・技術文書 コード 学習済みモデル ライセンス・条件
北川ら,三木ら GPW 論文 — — —
mjai/manue — ○(2012) ○(放銃率の決定木などを同梱) README に New BSD と記載
爆打 IEEE CIG 2015 論文 × × —
Akochan 論文(arXiv 2019,IEEE ToG 2021) ○(2019-09) ○(パラメータを同梱) 独自の利用規約(私的な研究・学習は自由,営利利用は作者の許可が必要)
NAGA 技術記事(2019) × × 商用サービス
Suphx 論文(2020) × × —
Kanachan README,Wiki ○ ×(学習データとクローラも非同梱) ライセンス表記なし
Mortal ドキュメント(作成途中) ○(2022-04) ×(2022-08 に「公開予定なし」と表明) AGPL-3.0-or-later
LuckyJ ×(関連研究として ACH) × × —
MajsoulAI/Archer — MajsoulAI は GPL-3.0 で公開.Archer は無料版のない配布ソフト × Archer は「アカウント凍結の可能性」を明記
極雀(旧 BigCoach) × × × 有料(無料枠あり)
MAKA,KIRIN × × × ゲーム内機能
RiichiEnv(RiichiLab) ブログ,ドキュメント ○ — Apache-2.0
MahJax 論文(2026) ○ — Apache-2.0
FlyA × ルールエンジン FlyTable の公開版のみ × FlyTable は MIT.FlyAgent はクローズドソースの商用ソフト
Epsilon README,学習記録 ○ ○(Epsilon-Prism v760,2026-11-05) コードは GPL-3.0,重みは MIT.オンライン対局や大会での不正に使わないよう要請
miai × × × 無料(1 日の上限あり)
  • 公開の型は大きく 4 つに分かれる.
    論文だけ(爆打,Suphx.LuckyJ は本体の論文もない),コードだけ(Mortal,Kanachan),コードと重み(Akochan,Epsilon),何も公開しないサービス(NAGA,極雀,MAKA,KIRIN,miai,FlyA)である.
    2022 年以降の強い AI で重みを公開したものは,Epsilon-Prism を除いてほぼない.
  • 重みを出さない最大の理由はチート対策である.
    Mortal の作者は 2022 年に,Akochan を流用したとみられる雀魂の bot がすでに販売されていたこと,重みを公開すれば段位戦での悪用を防ぐ手段がないことを挙げ,重みを公開せずオンラインの検討サービス(mjai.ekyu.moe)を提供する道を選んだ(作者の文書).
    コードに AGPL を選んだのも「チートへの悪用や,改名しての転売」を防ぐためとしている(Mortal Documentation).
  • それでもリアルタイム支援は広がっている.
    Mortal を組み込み例とする OSS の Akagi(雀魂・天鳳・麻雀一番街・天月麻雀に対応),対局中の指導と自動打牌を販売する FlyAgent,有料の Archer,無許可で段位戦を打つアカウント(未払い)などである.
    強さの記録のうち,検証できないもの・公認でないものが増えていることが,「最強」の判定をさらに難しくしている.
  • 2026 年の Epsilon は,RiichiLab 上位クラスの重みを MIT で公開した.
    同時に「対局中の利用はしないで」と要請しており(MIT の条件は変えない旨も明記),公開と悪用防止をどう両立させるかは引き続き課題である.

牌譜解析サービス展開

サービス 開始 エンジン 対応 料金 特徴
akochan-reviewer → mjai-reviewer(mjai.ekyu.moe) 2020-02 Akochan,Mortal 天鳳・雀魂の牌譜 URL,麻雀一番街・Hime Mahjong の牌譜 ID,tenhou.net/6 形式(Mortal は四麻の半荘のみ) 無料 指標「Rating」(各打牌の Q 値を min-max 正規化した値の二乗平均 ×100).天鳳の個室に Mortal を 1〜3 体呼べる
NAGA 牌譜解析 2021-08-19 NAGA(7 タイプ) 天鳳の牌譜 URL,天鳳牌譜エディタ形式(四麻) 月 550 円(Gold,東南戦 10 半荘相当)〜2,200 円(Diamond,同 100 半荘相当) 一致率・類似度・悪手率.2026-10 に 3D の「リッチ表示」と局面クイズの「復習」を追加
KIRIN 2023-07-18 KIRIN Maru-Jan 1 半荘 20 ポイント(約 20 円) Maru-Jan 会員 160 万人のうち平均着順 2.30 以下の上位 0.008% のデータ 7,000 万局面で学習.局収支・半荘収支・予測順位・和了率・和了期待値・聴牌率を表示
MAKA 2025-02-26(β) MAKA 雀魂(当初は四人東・四人南.2025-08 から三麻にも対応[攻略ブログによる]) 無料(β 開始時は 1 日 5 回,開運御守の有効中は計 20 回.その後の上限変更を伝える記事もある) 局・半荘ごとの S+〜D 評価と推奨打牌.中身は非公開の独自システム
極雀(旧 BigCoach) 2025 リゲル 1.4(=未払い),ノヴァ 1.0,ゼニス 1.0,ヘイロー 1.1 天鳳・雀魂(note 記事による) ポイント制(VIP Plus 約 800 円/30 日,VIP Pro 約 1,900 円/30 日など.2026-08 時点の note).無料でも一部利用可 最大 3 モデルで同時に解析
miai 2026-10-31 Miai 天鳳・雀魂の牌譜リンク,tenhou.net/6 形式(赤 3 枚・喰いタン・ダブロン・トビありの四麻のみ) 無料(1 日の検討回数に上限) トップ狙い・バランス・ラス回避の 3 モード.牌ごとの放銃率と打点別の和了率(2026-11-05).Miai との対局(2026-11-03)
Epsilon AI レビュアー 2026-11-05 Epsilon-Prism ローカルで実行(Windows 用インストーラ) 無料(OSS) 牌譜の判断ごとに AI の候補を表示
FlyAgent 2026 FlyA 雀魂,天鳳,麻雀一番街 有料(キー購入制) 対局中のリアルタイム指導(自動打牌機能あり)と対局のリプレイ検討.Windows のみ
  1. 2020〜2021 年:有志の OSS と専業の有料サービスが並び立つ.
    Akochan を使う akochan-reviewer(のちの mjai-reviewer)と,NAGA の有料サービスである.
  2. 2023〜2025 年:対局サイト公式の組み込み.
    Maru-Jan の KIRIN,雀魂の MAKA が登場した.
  3. 2025〜2026 年:新興 AI の参入.
    極雀,miai,Epsilon AI レビュアーが加わった.
  4. 目的(順位点配分)別のモデル選択が標準機能になりつつある.
    NAGA の 7 タイプ(アナンタ=ラス回避,ウロボロス=トップ取りなど),極雀の複数モデル,miai の 3 モードがその例である.
    2022 年の未踏プロジェクトも「ネット麻雀とプロの麻雀の順位点の違いに応じた選択のレコメンド」を掲げていた.
  5. 一致率・悪手率・Rating などの指標はエンジン固有で,サービス間・モデル間で比較できない.
    たとえば NAGA の新タイプでは,同じ半荘の悪手率が従来の 5 タイプの 5〜10% に対して 21.7〜24.2% と出た例が報告されている(note.1 半荘の例).
  6. 検討とリアルタイム支援の境界があいまいになりつつある.
    FlyAgent や Akagi のように対局中に助言するツールも増えており,対局サイトの規約上の扱いには注意が必要である.

おわりに

今後注目したいのは次の点である.

  • NAGA 新タイプ,極雀,FlyA が,人間相手の公認の記録を出すか.
  • 大手・商用 AI が RiichiLab のような共通の場に出てくるか.
  • Epsilon-Prism のように,強い AI の重みの公開が続くか.
  • CFR 系の手法が,自己対戦の強化学習を明確に上回るか.

データと試算について

  • RiichiLab の数値は,2026-11-07 01:33(JST)に公開 API(https://api.riichi.dev/api/v1/leaderboard?activity=all,activity=2m,/api/v1/bots/{id},/api/v1/stats)から取得した.平均順位は各 bot の 1〜4 位の回数から計算した.
  • 安定段位の標準誤差はデルタ法で計算し,95% 区間は仮定した順位分布から多項分布で 20,000 回シミュレーションして求めた.
  • 文中の「〜とされる」「伝聞」は,個人ブログ・note などの二次情報や,開発者の自己申告に基づく記述である.

2026年11月現在における最強の麻雀 AI を調べてみましたが良く分かりませんでした!いかがでしたか?

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