はじめに
本記事はDebianベースのLinuxディストリビューションであるDietPiについて記載しています。
DietPiは、Raspberry Piをはじめとするシングルボードコンピュータ向けに設計された軽量なOSですが、仮想マシンなど他の環境にも対応しています。
Raspberry Piに軽量なOSを導入したいと考えている方には、おすすめのOSです。
DietPiとは
DietPiは、高度に最適化された軽量なOSとして、限られたリソース環境でも高いパフォーマンスを発揮します。
特徴として、CPUやRAMの使用量を最小限に抑えるよう設計されているため、シングルボードコンピュータなどの小リソースのデバイスに最適です。
また、ユーザーインターフェースには Whiptailによるメニュー形式のCUIを採用しているため、CLIでも直感的な操作が可能です。
DietPiのインストール
Debianのインストール方法を以下に記載します。
Debianのインストールは、Raspberry Piと同様に以下の作業を行ないます。
- SDカードのフォーマット(microSDカード)
- イメージファイルの作成
- セットアップ
本記事では、シングルボードコンピュータとしてRaspberry Pi Model 3 Model B+を使用し、Macで作業を行っています。
公式ドキュメントの「How to install DietPi」では、コミュニティによって作成されたYouTube動画が掲載されているため、実際のインストール手順を映像で確認することができます。
SDカードのフォーマット
SDメモリカードフォーマッターなどを使用して、SDカードのフォーマットを行います。
イメージファイルの作成
事前にDietPiのDownloadページからイメージファイルをダウンロードします。
ターミナルを起動し、diskutil
コマンドを実行してSDカードの位置を特定します。
$ diskutil list
/dev/disk4 (external, physical):
#: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER
0: FDisk_partition_scheme *31.9 GB disk4
1: Windows_FAT_32 NO NAME 31.9 GB disk4s1
以下のコマンドを実行して、アンマウントを行います。
$ diskutil umountdisk /dev/disk4
Unmount of all volumes on disk4 was successful
dd
コマンドを実行してイメージファイルの書き込みを行います。of=
で指定する出力先に注意します。
$ sudo dd bs=1m if=DietPi_RPi234-ARMv8-Bookworm.img of=/dev/disk4
Password:
879+1 records in
879+1 records out
922402816 bytes transferred in 98.142544 secs (9398603 bytes/sec)
書き込みが終わったら、SDカードを安全に取り出します。
セットアップ
Raspberry PiにSDカードを挿入後、電源を入れて起動します。
DietPi起動後、デフォルトの認証情報は以下を使用します。
- login:
root
- password:
dietpi
ログイン後、インストールプロセスが開始するので、セットアップを行います。
本記事では、以下の設定を行っています。
- ロケール・タイムゾーン・キーボード
- NW設定
- ソフトウェアのインストール
- デスクトップ環境
- 日本語フォントのインストール
DietPiツールを利用することで、インストール後の設定変更は簡単に行えます。
ロケール・タイムゾーン・キーボード
DietPi Configより「 5 : Language/Regional Options」を選択します。
ロケール、タイムゾーン、キーボードを設定します。
NW設定
DietPi Configより「7 : Network Options: Adapters」を選択します。
WiFi接続を行う場合は「WiFi」を選択します。
SSIDをスキャンしてWi-FI設定を行います。
ソフトウェアのインストール
DietPi Softwareより「Search Software」または「Browse Software」で行いますが、以下では「Search Software」を選択しています。
インストールしたいソフトウェア名を入力します。
以下では「TigerVNC Serve」を選択しています。
「Install」を選択します。
「OK」を押すと、インストールプロセスが開始します。
DietPiでは軽量なDropbearがデフォルトでインストールされているため、OpenSSHをインストールしなくてもSSH接続できます。必要に応じてOpenSSHに変更することも可能です。
デスクトップ環境
DietPiでは、複数のデスクトップ環境が用意されており、用途やリソースに応じて選択できます。
LXDEは非常に軽量で、旧型のマシンや性能の低いコンピュータでも快適に動作します。デスクトップ環境のインストール後、startx
コマンドを実行することでデスクトップ環境を起動できます。
対応しているデスクトップ環境の種類については、公式ドキュメントのDesktop environments & utilitiesをご参照ください。
日本語フォントのインストール
DietPiは非常に軽量に作られているため、日本語フォントがインストールされていません。
そのため、ブラウザを起動すると、文字化けが発生しています。従って文字化けを解消するためには、日本語フォントのインストールを行います。
以下はfonts-noto-cjk
をインストールする例です。
$ apt install fonts-noto-cjk
おわりに
軽快な動作と柔軟なカスタマイズ性を両立するDietPiは、Raspberry Piを自由に使いたい方におすすめのOSです。
また、以下のようにタッチディスプレイを接続したり豊富なソフトウェアをインストールすることで、ミニPC環境を手軽に作ることができます。