はじめに
2026年も半導体メモリが高騰している昨今ですが、久しぶりに自作PCを作りました。
PCケースは、台湾に拠点を置くSilverStone Technology社によって販売されている「FLP02」を採用しました。
FLP02のレトロなデザインと最先端のパーツを組み合わせることで、懐かしさと先進性が共存するユニークな体験を生み出します。
構成検討
自作PCを作るにあたり当初は以下の要件を踏まえて、コンパクトな構成を考えていました。
- 用途:GPUを使用したAIのモデル学習
- OS:Windows
- フォームファクタ:Micro-ATX
従ってPCケースについても、Micro-ATXで検討していたものの、FLP02の存在を知り、最終的にATXにも対応するFLP02に決めました。
PCケース以外のパーツについては、以下の通りです。
CPU
近年、ゲームのAMDとAIのIntelと言われるようにCPUは選びやすくなったと思います。
2024年にリリースされたIntelのCore Ultra 200シリーズは、デスクトップ向けのCPUとしてAI処理機能が搭載されるなどの進化を遂げています。
Core Ultra 200シリーズは、以下のラインナップが用意されています。Core Ultra9が上位モデルに位置付けされていますが、Core Ultra7でもCore Ultra9に匹敵するモデルもあります。
- Core Ultra9
- Core Ultra7
- Core Ultra5
本記事では、Intel Core Ultra7 265KFを選定しています。このモデルは、4万円台でCore Ultra9のベンチマークを超える1モデルと言われています。
末尾にFの付いていないモデルは、グラフィック機能を内蔵しているため、グラフィックボードがなくても映像を出力することができます。
マザーボード
マザーボードは、CPU、メモリ、ストレージなど各種パーツを接続するための基盤です。
マザーボードによって、装着できるCPUの種類や拡張性が変わってくるため、パーツ選定を行う際はどのフォームファクタにするかを事前に決めておくことが重要です。基本的に大きくなるほど拡張性は高くなりますが、PCケースのサイズやコストは高くなる傾向です。
マザーボードには、CPUソケットと呼ばれるCPUを取り付けるインターフェースがあります。従って装着可能なCPUはCPUソケットの種類で決まります。また、CPUソケットが適合しても、マザーボードに搭載されたチップセットやBIOSがCPUに対応していない場合もあるため、注意が必要です。
本記事では、CPUにIntel Core Ultra7 265KFを選定しているため、シリーズ2の世代向けとしてLGA1851のソケットに対応した台湾のASRock社で販売されているB860M Rock WiFiを選定しました。
フォームファクタによって、追加できるPCIスロット数が変わります。
ATXなら最大7個、Micro-ATXの場合は最大4個です。また、スロット数があっても、PCIカードが搭載できるかについては、使用するPCケースの大きさにも影響します。従って、拡張性を検討する場合はPCケースについても考慮する必要があります。
メモリ
現在流通しているメモリの規格は、DDR5 SDRAMと、DDR4 SDRAMの2種類です。
マザーボードによって、対応しているモジュールの規格が異なるため、事前に確認しましょう。
2026年、メモリの購入に関する最大の課題は、世界的なAI需要などを背景に依然高騰している価格の問題です。この価格高騰に関する問題は、ゲーム業界にも影響を及ぼしています。例として、2026年5月8日、任天堂社は家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」の国内向け本体価格を5月25日から引き上げる発表をしました。
しかし、ポジティブなニュースもあります。2026年3月、Googleはメモリを効率的に使うためのデータ圧縮技術であるTurboQuantを発表したことで、株価の世界ではメモリー関連銘柄の株価が一時急落するなどの動きもありました。
このように日々、メモリに関するニュースの動きはありますが、依然高騰しているのが現状です。購入するのにベストなタイミングはないため、買えるときに買うのが良いと思います。
本記事では、最低16GBのメモリ2枚を要件としているため、価格を考慮してADATA社のAD5U560016G-DTを選定しました。
メモリは、デュアルチャンネル機能を使用することで、データ転送速度を高速化できます。例として8GBを1枚挿すより、4GBを2枚挿した方がデータ伝送の処理速度が向上します。
ストレージ
SSDについても、メモリ同様高騰している状況が続いています。
SSDは、SATAやM.2など接続規格によって、マザーボードとの接続方法が変わります。データの転送速度を考慮する場合、PCIe接続のNVMe SSDを採用することで、データの読み書き性能を大幅に向上させることができます。但し、PCIe5.0など性能が良い製品については、価格が高くなります。
ストレージについても価格を考慮して、Western Digital社のWDS500G4X0Eを選定しました。
M.2 スロットの接続方式は、従来のSATA接続を行う機器と、PCIe接続するNVMe対応の機器があります。
電源ユニット
電源ユニットは、PCに充分な電力を供給するための重要なコンポーネントです。
電源ユニットを選ぶ際は、以下のようなポイントについて確認します。
- PCケースに搭載可能なサイズであること
- 電源容量が搭載するパーツ全体の消費電力に対して十分であること
- グラフィックボード用の補助電源コネクタがATX 3.1規格に対応していること
本記事では、Antec社のGSK750 V2 ATX3.1を選定しています。
電源ユニットを選ぶ際のポイントとして、80 PLUSと呼ばれる電力変換効率に関する規格について理解しておくことが重要です。
80 PLUSは、電力変換効率が80%以上の電源ユニットに与えられる認証であり、電源効率毎にグレードが分かれています。但し、電源ユニットの効率が高いほど、消費電力は少なく発熱量も減少しますが、価格も高くなります。
グラフィックボード
CPUにグラフィック機能が内蔵されていない場合は、ディスプレイへ映像を出力するためにグラフィックボードが必要です。
グラフィックボードは、NVIDIAとAMDの2強ですが、価格の観点ではAMDの方がコストを抑えて購入できる傾向があります。
本記事では、GeForceのエントリーモデルであるRTX 5050を搭載したグラフィックボードとして、GeForce RTX 5050 8G VENTUS 2X OCを選定しました。
グラフィックボードの性能は、搭載するGPUによって決まるため、GPUのスペックや価格に目が行きがちです。しかし、グラフィックボードを選ぶ際は、PCケースとの互換性も考慮する必要があります。
当然ですが、PCケースの幅を超えるグラフィックボードは搭載できません。また、近年のグラフィックボードは大型化が進み、PCIeスロットを複数占有する製品も多いため、拡張も視野に入れる場合はPCIeスロットの空きについて事前に確認しましょう。
CPUクーラー
PCに負荷の高い作業を行わせる場合は、別途CPUクーラーを用意したりPCケース内のエアフローに対する考慮が重要です。
CPU製品によっては、リテールクーラーが付属している場合もありますが、冷却性能は高くありません。
本記事では、静音性を重視した結果、Noctua社のNH-U12Aを選定しました。
NH-U12Aでは、ファン動作音を低減するために、Low-Noise Adaptor (L.N.A.)と呼ばれるモジュールが付属していますが、冷却性能を求める場合はLNAを取り外します。
見積り
本記事で紹介している構成の見積りの金額を以下に記載しています。
| 項目 | メーカー | 品名 | 価格(税抜) |
|---|---|---|---|
| OS | Microsoft | Windows 11 PRO パッケージ版 | 21,911 |
| CPU | Intel | Intel Core Ultra7 265KF | 41,801 |
| CPUクーラー | Noctua | NH-U12A | 13,619 |
| メモリ | ADATA | AD5U560016G-DT | 63,619 |
| SSD | SanDissk | WDS500G4X0E | 20,519 |
| マザーボード | ASRock | B860M Rock WiFi | 17,800 |
| 電源ユニット | Antec | GSK750 V2 ATX3.1 | 9,982 |
| グラフィックボード | MSI | GeForce RTX 5050 8G VENTUS 2X OC | 49,819 |
| PCケース | SilverStone | FLP02 | 25,573 |
| - | - | 合計(消費税10%含む) | ¥291,107 |
PCの組み立て
全体的なPCの組み立てに関する作業の流れを以下に記載します。
- CPUの取り付け
- CPUクーラーの取り付け
- メモリの取り付け
- SSDの取り付け
- マザーボードの設置
- 電源ユニットの設置
- 配線作業
- グラフィックボードの取り付け
- PCケース作業
FLP02のインストールガイドは、「Multi-FLP02-Manual.pdf」より確認できます。
CPUの取り付け
マザーボードを用意します。
CPUソケットのレバーのロックを外し、カバーを開きます。
CPUの向きを確認しながら、設置します。
CPUソケットのカバーを閉じて、レバーを下げてロックします。
CPUクーラーの取り付け
CPUクーラー本体と部品を用意します。
説明書を見ながら組み立てを行い、CPUクーラーの取り付け前にグリスを塗ります。
マザーボードにCPUクーラーの金属部分を設置します。
CPUクーラーを取り付ける位置に注意します。CPUクーラーの位置が正しくない場合、メモリが挿入できなくなります。
CPUクーラーの金属部分にファンを取り付けます。
メモリの取り付け
メモリスロットの位置を確認後、両サイドのツメを開きます。
メモリスロットにメモリを挿します。
SSDの取り付け
SSD用のヒートシンクを外します。
M.2スロットに対して、斜めからSSDを挿します。
ナットを固定します。
ヒートシンクを取り付けます。
マザーボードの設置
FLP02のサイドカバー外して、グラフィックカードのサポートブラケットを確認します。
グラフィックカードのサポートブラケットを取り外します。
マザーボードを設置する位置を確認します。
マザーボードのフォームファクタに合わせてネジを調整します。
マザーボードを設置します。
電源ユニットの設置
電源ユニットを設置します。
配線作業
PCケース内の配線作業を行ないます。
電源ユニットのATX12Vコネクターをマザーボードに接続します。
電源ユニット側についても、各電源テーブルを接続します。
グラフィックボードの取り付け
グラフィックボードを用意します。
PCケースのPCIスロットカバーを取り外します。
グラフィックボードを取り付けます。
グラフィックボードの電源ケーブルを接続します。
グラフィックカードのサポートブラケットを戻します。
PCケース作業
PCケースのサイドカバーを戻して完成です。
動作確認
PCの組み立て完成後、以下について動作確認を行います。
- BIOS
- ファン(FLP02搭載)
BIOS
電源を投入して、BIOS画面が起動し、グラフィックボードの映像が正常に出力されていることを確認します。
ファン(FLP02搭載)
FLP02に搭載されているファンが正常に動作していることを確認します。
TRUBOボタンを押して、ファンが最大出力で動作することも確認します。
配線作業が正しくない場合、ファンは正常に動作しません。
OS及びドライバのインストール
OS及びドライバのインストールを行い、PCとして使用できる状態にします。
OSのインストール
Windows 11の箱からUSBを取り出し、PCに接続します。
インストール作業を開始します。インストールには、付属のプロダクトキーが必要です。
ウィザードに従いながら初期設定を行ない、Microsoft アカウントを持っていない場合は、作成します。
初期設定を終えると、Windows 11が起動します。
Windows 11は、ダウンロード版もあります。
ドライバーのインストール
自作PCを正しく使用するためには、搭載したGPUや機能していないドライバーをインストールする必要があります。
GPUドライバに関してNVIDIAの場合は、NVIDIA 公式最新ドライバーのダウンロードページより、対象のドライバーを検索してダウンロードできます。
Bluetoothなど機能していないドライバーについては、デバイスマネージャーの画面を開き、対象のデバイスを選択して「ドライバーの更新」を実行して更新後、使用できるようになります。
ASRock社のマザーボードについては、「Auto Driver Installer」機能を使用することでドライバーのインストールを自動化できます。
おわりに
FLP02のデザインは、90年代のノスタルジーを感じさせる筐体となっているため、見ているだけでも不思議な気持ちになります。
搭載されているTRUBOボタンを押すと、全てのPWMファンがフルスピードで動作したり、ディスプレイの表示はギミック好きの心をくすぐります。
また、セキュリティ機能として、専用の鍵をかけることで電源スイッチとリセットボタンをロックする仕組みとなっているため、小さな子供がいても安心です。
FLP02は、購入して満足なPCケースでした。
-
PassMark SoftwareのIntel Core Ultra 7 265KFを参照 ↩











































