はじめに
2023年12月5日、Kali Linux 2023.4 Release (Cloud ARM64, Vagrant Hyper-V & Raspberry Pi 5)の通りにKaliの新しいリリースが公開されています。
今回のリリースでは、多数の新しいプラットフォームの提供や新しいツールが追加されました。詳細については、上記公式のブログ記事をご参照ください。
本記事では、今回新しく追加されたツールの一部について記載しています。
アップデート方法
公式ドキュメントのUpdating Kaliを踏まえて、Kaliのアップデート方法を以下に記載します。
前提として、/etc/apt/sources.list
が適切に設定されていることを確認した上で以下のコマンドを実行します。
$ sudo apt update
$ sudo apt full-upgrade -y
上記コマンド実行後、OS再起動を行います。
OS再起動後、/etc/os-release
ファイルを参照してディストリビューションのバージョンが更新されたことを確認します。
VERSION_ID="2023.4"
VERSION="2023.4"
VERSION_CODENAME=kali-rolling
PassDetective
PassDetectiveは、BashやZ Shellなどのコマンド履歴をスキャンして、誤って書き込まれたパスワード、API キー、およびシークレットを検出します。
以下に実行例を記載します。
- パッケージのインストール
$ sudo apt install passdetective
検証としてAWSの公式ドキュメントで使用されているアクセスキーの環境変数をexportします。
$ export AWS_ACCESS_KEY_ID=AKIAIOSFODNN7EXAMPLE
Bashを使用しているため、以下のコマンドを実行します。
$ PassDetective extract -b -s
===============================================================
Scan is started.
===============================================================
AWS API Key
export AWS_ACCESS_KEY_ID=AKIAIOSFODNN7EXAMPLE
Amazon AWS Access Key ID
export AWS_ACCESS_KEY_ID=AKIAIOSFODNN7EXAMPLE
===============================================================
Scan is finished.
===============================================================
exportした環境変数が検出できました。
PassDetective extract -h
を実行することで、コマンドのオプションが確認できます。
The "extract" command allows you to automatically extract passwords from shell history.
By analyzing the history of shell commands, this tool can identify and extract passwords that were used during
previous commands and display them for further inspection or use.
Usage:
PassDetective extract [flags]
Flags:
-a, --all Check passwords on all shells
-b, --bash Check passwords on BASH
-h, --help help for extract
-s, --secrets Check secrets on shell history
-z, --zsh Check passwords on ZSH
Portspoof
Portspoofは、OSのセキュリティを強化することを目的に開発されています。
使い方として、特定のポートがCLOSEDまたはFILTERED状態にあることを攻撃者に通知する代わりに、PortspoofはポートごとにSYN+ACKを返します。
従って、攻撃者に対して偽のバナーを生成したり、スキャナーを騙すために使用されます。
以下に実行例を記載します。
- パッケージのインストール
$ sudo apt install portspoof
以下の様なコマンドを実行することで、ポートをエミュレートします。
portspoof -i <Ip address> -p <Port Number>
おわりに
今回のアップデートではOSINTに関するパッケージもいくつか追加されているため、OSINTに対する重要度が上がっている気がします。
仮想マシンでもKali Linuxを動かすことはできますが、不自由なくパフォーマンスを発揮するためには自作PCなどで動かすのもお勧めです。
以前書いた以下の記事では、自作PCにKali Linuxを導入及び構築する方法について記載しています。