はじめに
本記事は自作PCの組み立て方について記載しています。
自作PCは決まった場所にパーツをはめていく作業になるため、誰でもできます。
初めて自作する際のパーツ選定の考え方や、組み立て時のつまづきやすいポイントなどについて解説しています。
目的
目的をしっかりと決めて、要件を整理することからはじめましょう。
本記事の背景としてMacBook ProにVirtualBoxをインストールし、仮想マシン上でペネトレーションテストなどで使用されるKali Linux(以降、Kali)を動かしていました。
課題に感じていたのがBurpsuiteなど使用時にPCのスペック不足及び、オーバーヘッドで操作が非常に重くストレスを感じため、専用のベアメタルを構築したいと思い、自作PCの組み立てを決意しました。
要件の整理
自作PCを構築するために必要となる要件について整理します。
- 目的(ゲーム、動画編集、検証用途、機械学習等)
- 予算
-
システム要件
- CPUアーキテクチャ(Intel/AMD)
- メモリ及びストレージ等記憶装置の容量
- OSの種類(Windows/Linux)
- NW環境(有線・無線)
- 自作PCの設置場所
本記事の場合、目的は上記に書いた通りで予算は10〜13万程度、システム要件としてCPUにAMDは必須に考えていました。AMDが必須な理由はKali公式のInstalling Kali Linuxを参照し、amd64が推奨だったためです。
考えた方として重要なのは課題に対して、逆張りして何をしたいか目的を明確にすることで、自作PCを構築するために必要な要件が見えてきます。留意事項としてCPUアーキテクチャはOSに依存するため、やりたいことに合わせてOSを選定し、OSがサポートしているCPUアーキテクチャを選択するのが最適です。
構成検討
整理した要件を踏まえて、CPUとマザーボードを軸にパーツを選定していきます。
前提として使用するOSは決定しているものとします。
パーツ選定を行う際に、意思決定するために必要な情報はPCショップや、メーカーのホームページから確認します。
闇雲にパーツ毎に検索して調べるよりは、購入店舗(PCショップ等)を事前に決めた上でそのPCショップのホームページから必要なパーツを調査する方が調べやすく見積り精度も上がります。
パーツ選定の基本的な考え方について以下に記載します。構成検討は選定したパーツがCPUやマザーボードに対応しているかを見極める作業です。
CPU
CPUはコンピュータの中枢です。CPUは演算と制御の機能を司っています。
自作PCの分野ではIntelとAMDのCPUが提供されています。
IntelはCore iシリーズ、AMDではRyzenシリーズが主流です。
x86CPU市場においてもIntelとAMDによってほとんどのシェアをカバーしています。
Intelは大部分を自社で製造していますが、AMDはファブレス経営により、自社で製造ラインを持たずに設計に資源を集中することでコストを抑えています。高性能なCPUが低価格で供給されているのは、そのようなビジネスモデルによって実現されているためです。
ここ数年に対するCPU市場全体の動向としてはAMDの成長が著しいですが、昨今の情勢を踏まえて今度の動向についても気になるところです。2022年5月23日に行われたAMDのイベントで「Ryzen 7000」が発表されました。詳細はAMDのPress Releasesから確認できます。
本記事ではKaliの要件であるamd64を踏まえて、RyzenシリーズからミドルクラスのCPUながらIntelのハイクラスのCPUを凌ぐほどと言われているRyzen 5 5600Xを選定しています。
AMD Ryzen™ 5000 シリーズは2020年11月に発売されたシリーズです。
「Ryzen 5 5600X」のRyzen 5はシリーズ名、次の5は世代、600は性能、Xはモデルなどの種類を意味します。
CPUの性能を左右するのが「コア数」、「スレッド数」、「クロック周波数」の指標です。
TSUKUMOのIntel / AMD CPU性能比較表より最新のCPUについて比較ができます。
PCの目的に合わせてCPUを選定することが重要です。ネットサーフィンなどWebページを閲覧するだけならハイエンドクラスのCPUは必要ないでしょう。最新の3Dゲームや、動画編集等クリエイティブな作業を用途とする場合は、ハイエンドクラスを視野に検討するのが良いと思います。また、CPUはマザーボードに対する互換性の考慮が必要です。CPUのソケット形状や、チップセットがマザーボードに対応していないと動作しません。
マザーボード
マザーボードはCPU、メモリ及びSSD等を装着し、コンピュータとして動作するように構成するための基盤です。
マザーボードの性能を左右するチップセット、CPUソケット、メモリソケット、電源や拡張スロットとして使用するためのPCIで構成されています。
前提としてマザーボードはフォームファクタと呼ばれる、コンピュータなどの電子機器の部品に関するレイアウトや寸法を定めた下記に示す規格が存在します。この中ではATXが一番大きいサイズで製品数が多いのが特徴です。
CPUにAMDのRyzenシリーズを使用する場合、AMDで公開しているAMDソケットAM4チップセットが参考になります。各チップセットの詳細をクリックすると、チップセットとシリーズの対応表を参照することでCPUとマザーボードの互換性について確認できます。なお、本記事執筆時点の最新世代は「X570」になります。チップセットの考え方として、CPUに5000シリーズを選定する場合は基本的に500シリーズのチップセットが必要になります。
GIGABYTE社の最新世代となるX570にするか悩みましたがB550と比較して、価格的に1万以上違ってくるため、B550I AORUS PRO AXを選定しています。
なお、X570とB550の主な差異として、PCI Express 4.0のレーン数が違います。
考え方として複数のPCIe4.0接続する要件がある場合は、X570を選定したい方が良いでしょう。
その他、M.2スロットや、USBのインタフェース規格がマザーボード選定する際に考慮する点になります。
特にM.2スロットは後述する「M.2 NVMe SSD」を利用する場合、M.2スロットを搭載したマザーボードが必要になります。また、USB 3.1などType-Cで機器を接続したい場合はUSBの規格が対応しているかも確認しましょう。
CPUが対応するチップセットを搭載したマザーボードを選択するのが重要です。予算に余裕がある場合はCPUの性能を最大限に引き出すために性能の良いマザーボードを選択するのも良いと思います。
メモリ
メモリは主記憶装置として機能し、CPUと合わせて性能観点で考慮すべきパーツになります。
メモリにも様々な規格が存在し、現在はDDR4-2666と、DDR4-3200が主流です。
メモリについてもマザーボードに対応しているか確認しましょう。
メモリ容量の算出はOSで必要とするメモリ要件と、使用するMWやアプリケーションなどのメモリ容量を合計して見積ります。
本記事では16GBを要件として8GB*2となるよう、Crucial社のCT2K8G4DFRA32Aを選定しています。
CPU毎に対応する規格が異なるため、考え方として基本的にCPUに対応する規格のメモリを選択します。また、同じ規格及び容量のメモリを挿すデュアルチャンネルを用いてデータ伝送経路を増やすことで高速化を実現できます。例として8GBを1枚挿すより、4GBを2枚挿した方がデータ伝送の処理速度が向上ます。
ストレージ
ストレージもメモリ同様に記憶装置としての役割を持ち、補助記憶装置として機能します。
ストレージの種類としてハードディスクドライブ(HDD)と、ソリッドステートドライブ(SSD)に大別できます。
SSDはHDDに比べてデータの読み込み及び、書き込み性能が優れていますが、価格が高いのが特徴です。
また、SSDには種類があり、従来のHDDと同じようにマザーボードのシリアルATAで接続するタイプと、M.2スロットに直接接続するタイプがあります。
M.2 スロットの接続方式には、PCI Expressで接続するNVMeに対応しているものと、従来のSATA接続のものがあります。特徴としてNVMeは価格は高めですが、高速なデータ転送を実現します。SATA接続のものはM.2が普及し始める初期に一般的に使われてきた接続方法となっています。
本記事では高速なデータ転送を行うためにSSDを前提とし、NVMe対応かつ、PCIe4.0にも対応しているWestern Digital社のSN770 500GB WDS500G3X0Eを選定しています。
PCIe4.0対応のSSDを利用するためには、マザーボードも対応している必要があります。
PCケース
PCケースはPC全てのパーツを搭載する必要があるため、選定した各パーツのサイズに合わせて選択します。
マザーボードの大きさの規格を示すフォームファクタを考慮して、ATX/Micro-ATX/Mini-ITXから対応したPCケースを選択します。
デザインを考慮しSilverStone社や、Fractal Design社のPCケースも気になりなりましたが、コンパクトな仕上がりにしたかったため、Mini-ITX規格に準拠したLian Li社のPC-Q21を選定しています。
フォームファクタの規格に合わせてCPUクーラーの高さや、ビデオカードのサイズなど取り付けようとしている各種パーツのサイズに対する考慮も必要です。最近の傾向として5インチベイなどの光学ドライブを搭載していないものが増えてきています。
電源
電源は家庭内のコンセントから供給される交流100VをPC内の各パーツが必要とする直流の12Vや、5Vなどの電圧に変換するための役割を持ちます。
電源にも容量の違いがあります。考え方として自作するPCパーツに必要な消費電力を計算した上で容量を見積ります。
ドスパラ(DOSPARA)の電源容量計算機などのサイトから必要な電源容量の合計を計算することができます。
本記事ではPCケースに搭載可能なサイズとして、SFXサイズであるCORSAIR社のCV550を選定しています。
STFは小型PC用の電源になるため、ATX電源と比べて小さいサイズになります。
選定した電源はPCケースにも収まるか確認することが重要です。PCケースによってはSFXサイズのみ搭載可能など、対応している規格が異なります。
ビデオカード
ビデオカードはグラフィックボードまたは、グラボと呼ばれている映像をディスプレイに出力するために必要なパーツです。
マザーボードなどによってはオンボードグラフィックが搭載されている場合、ビデオカードがなくてもディスプレイに対して映像の出力を行うことができます。
本記事で紹介しているマザーボードではオンボードグラフィックの機能がないため、何かしらのビデオカードを搭載しないとディスプレイへの出力ができません。そのため、最低限のディスプレイ出力を行うために玄人志向社のGF-GT730-E2GB/LPを選定しています。
高解像度の4K出力を行うためには、4Kに対応しているビデオカードが必要です。
CPUクーラー
CPUは多くの電力を消費するため、熱暴走しないようにCPUの冷却装置としての役割を持つのがCPUクーラーです。
また、ドレスアップ目的で用いられることもあります。
多くのCPUでは付属品として純正のCPUクーラー(リテールクーラー)が付いてきます。
そのため、必須ではありませんが冷却効果を高めたり、静音を求める場合はサードパーティ製のCPUクーラーは必要になってきます。特にオーバーククロックを行う場合は必須になります。
CPUクーラーにはCPUの上から風を送り込む方式のトップフロー、文字通り横から冷却するサイドフロー、冷却効果が高い簡易水冷などの種類があります。リテールクーラーはトップフローが多いと思います。
本記事ではNoctua社のNH-L9a-AM4を選定しています。
NH-L9a-AM4について同じ仕様ですが色違いで低価格なタイプもあります。マザーボードに合わせて黒色の統一したかったため、黒色のタイプを選定しました。ちなみに色の違いでで価格が変わってくるのは塗装するための料金が含まれているためです。
ケースファン
ケースファンはPCケース内の空気の流れを良くするためにエアフローとして追加で購入することが多いです。
考え方として前から後ろ、下から上に空気が流れるようにエアフローを設計します。なお、CPUクーラーとケースファンの違いとして、PCに対する冷却効果の意義は変わりません。
エアフローは電子機器を扱う上で重要なな検討事項です。データセンターなどではサーバの熱を効率良く放出するために冷たい空気のコールドアイルと、暖かい空気のホットアイルを分離するなどして空調効率を向上させるための工夫をしています。
本記事ではThermaltake社のCL-F117-PL12BL-A TOUGHFAN 12を選定しています。
ケースファンもCPUクーラー同様に必須ではありませんが、PCケースにエアフローがほとんどない場合は導入をした方が良いでしょう。また、PCケースに取り付け可能かどうかも事前に確認しましょう。
見積り
構成検討を行ない要件を満たすことが確認できた場合、見積りを行います。
見積もりは構成検討したパーツの価格を合計して算出し、予算内に収まるかどうか確認します。
自作PCがはじめての場合、選定したパーツの規格が対応しているか、マザーボードに搭載可能かどうかまたは、パーツの過不足など不安があると思います。
日本のパソコン量販店として東京の秋葉原を本拠地とするツクモ(TSUKUMO)ではオンライン 自作PC 構成相談フォームのサービスが提供されています。
相談フォームに希望のパーツや用途を記入すると、担当者の方から数日以内に返信があります。また、パーツに対する質問や、見積りと合わせてお勧めのパーツについてレコメンドをもらえます。自作PCが初めてな方はこのようなサービスを利用することで、パーツ購入失敗に対するリスクを低減できます。利用は無料なので不安な方は是非利用するのをお勧めします。
以下は本記事で紹介しているパーツのリストになります。
見積り時と比べて購入時の誤差としてはマザーボードの保証に対する金額と、CPUクーラーのカラー変更分の差額分のみで、結果的に想定内の金額に収まりました。
項目 | メーカー | 品名・型番 | 価格(税抜) |
---|---|---|---|
CPU | AMD | Ryzen 5 5600X | 29,546 |
マザーボード | GIGABYTE | B550I AORUS PRO AX | 18,000 |
メモリ(DDR4-3200) | Crucial | CT2K8G4DFRA32A | 7,200 |
SSD(M.2) | Western Digital | SN770 500GB(WDS500G3X0E) | 7,695 |
電源 | CORSAIR | CV550 | 12,255 |
ビデオカード | 玄人志向 | GF-GT730-E2GB/LP | 6,500 |
PCケース | Lian Li | PC-Q21A | 7,980 |
CPUクーラー | Noctua | NH-L9a-AM4 | 7,437 |
ケースファン | Thermaltake | CL-F117-PL12BL-A TOUGHFAN 12 | 2,280 |
- | - | 合計(消費税10%及び、保証など含む) | ¥110,454 |
その他、PCパーツ以外では以下のようなデバイス類などが必要になります。
持っていない場合は合わせて用意しましよう。
- USBデバイス(OSインストールに必要)
- キーボード
- マウス
- LANケーブル(有線接続の場合)
一般的にLANケーブルと言われるものはRJ45コネクタを利用したツイストペアケーブルのことです。イーサネットの規格毎にカテゴリー分けされているため、それぞれ転送速度が異なるなど種類が異なります。
CAT.5等数字が大きくなるほど通信速度が速く、帯域幅が広くなります。一般家庭で使用する場合は1000BASE-T(CAT.5)などを基準に選択するのが良いと思います。また、考え方としてルーターなどの通信速度を確認し、LAN環境に合わせて規格以上のケーブルを使用することで性能を活かすことができます。
購入するPCショップによっては有料の補償サービスを行っている場合があります。別途料金が発生しますが、保証サービスを利用することでパーツが合わなかった場合など、一部または全額の保証を受けるなどのサービスの利用ができます。そのため、補償サービスの金額についても予算内の見積もりに含めておくと良いでしょう。
自作PCの組立
パーツ購入後、PCの組立作業を行います。
PCの組立作業はPCケースを中心にパーツを取り付ける作業です。
作業工程はPCケースによって変わるため、まずはPCケースの説明書を確認し、パーツの取り付ける順序や位置を確認します。
本記事ではPCケースの説明書を踏まえて、以下の工程で組み立て作業を行います。
- CPUの取り付け
- メモリの取り付け
- SSDの取り付け
- CPUクーラーの取り付け
- マザーボードの設置
- 電源の設置
- ケースファンの取り付け
- ビデオカードの取り付け
- 配線作業
道具の準備
PCの組立作業に必要な道具は以下になります。
基本的にドライバーを必須とし、それ以外はあれば便利と言った考えでも大丈夫です。
- ドライバー・・・基本的に2番のプラスドライバーを使用
- ピンセット・・・配線作業時に役に立つ
- ライト・・・スマートフォンのライトでも大丈夫
- 綿棒・・・CPUのグリスを塗る時に重宝する
- 接着剤・・・PCケースは脆いため、用意しておくと役に立つ
CPUの取り付け
まずはマザーボードを用意します。
CPUソケット及び、各パーツを取り付けるために全体的な位置などを確認します。
CPUソケットのレバーのロックを外し、レバーを上に持ち上げます。
CPUの向きと、マザーボード上のCPUを取り付ける位置(CPUソケット)を確認します。
以下写真の例では、左下の角に三角の印があるのが確認できます。また、CPUの裏側には細かなピンがあるため、取り扱いには注意しましょう。
マザーボードのCPUソケットにも左下の角に三角の印があることが確認できます。
CPUとCPUソケットの向きを確認しながら、CPUをソケットに乗せてレバーを下げます。
また、レバーを下まで完全に下げた状態であることを確認し、レバーををロックします。
メモリの取り付け
マザーボードのメモリを取り付けるスロットの位置を確認します。
なお、メモリを2枚挿してデュアルチャンネルとして動作させる場合は注意します。
メモリスロットの位置を確認後、メモリスロットのロックを外します。
メモリスロットの向きに注意しながら、メモリスロットに対してメモリを差し込みます。
メモリをメモリスロットに差し込んだ後は、しっかりとロックしていることを確認します。
SSDの取り付け
マザーボードのM.2スロットの位置を確認します。
マザーボードによっては複数のM.2スロットを用意している場合があるため、PCIeの規格について注意します。
取り付けるM.2スロットの位置を確認後、覆っているヒートシンクを外していきます。この際にドライバーが必要です。
多段構成になっているため、更にもう一つのヒートシンクを外します。
ヒートシンクに貼られている保護フィルムを外します。この際にピンセットなどがあるときれいに剥がすことができます。
SSDを斜めから差し込みます。この際にSSDは斜めに浮いた状態になります。
外したヒートシンクを元に戻し、ネジでしっかり留めます。
CPUクーラーの取り付け
別途、購入したCPUクーラーを用意します。本記事で記載している商品の場合、グリスも同梱されているのでグリスも合わせて取り出します。
なお、以下AMDのリテールクーラーは使用しないため箱に戻します。
事前に埃を取り除いた状態で、CPUの中央部分にグリスを塗ります。
グリスが塗り終わったらCPUクーラーを上から装着します。
CPUクーラー装着後、抑えながら裏面からネジで固定します。
取り付けるネジを間違えてしまった場合、貫通してCPUクーラーに傷を付けてしまう恐れがあるため注意しましょう。
ネジで固定した後はCPUクーラーのケーブルをマザーボードのCPUファンコネクタに装着します。
マザーボードの設置
PCケースを用意します。
CPUクーラーを装着したマザーボードを装着し、ネジを留めていきます。ネジは付属のPCケースのネジを使用します。
電源の設置
電源を箱から取り出し用意します。
また、箱には複数の電源ケーブルが入っているため、マザーボードに取り付ける電源ケーブルを確認します。
PCケースに合わせて横から電源を設置します。
ケースファンの取り付け
ケースファンを箱から取り出し用意します。
PCケースの下にケースファンを取り付けます。
ケースファンを取り付ける際にネジは付属されていますが、ナットは同梱されていませんでした。
パーツによっては取り付ける際の部品が同梱されていない場合があるため、注意しましょう。
ケースファンのケーブルをマザーボードのCPUファンコネクタに装着します。
ビデオカードの取り付け
ビデオカードを用意します。
ビデオカードを取り付ける位置の金具を外します。
PCケースに合わせながらマザーボードにはまるようにビデオカードを装着します。
取り付ける際は横からの取り付けるため、きちんとはまるように取り付けます。
ビデオカード取り付け後、金具を元に戻します。
配線作業
電源から電気をマザーボードに供給できるようにするために、PCケースとマザーボードの配線作業を行います。
なお、配線作業で接続する電源ケーブルのピン数についてはパーツ構成によって変わります。
電源に接続した18Pの電源ケーブルをマザーボードの対向先に装着します。
電源に接続した8Pの電源ケーブルをマザーボードの対向先に装着します。8PはCPU用の電源になります。
PCケースのフロントパネルから出ているケーブルを配線します。フロントパネルから出ているケーブルの配線についても使用するPCケースによって違います。
フロントパネルの配線は細かい配線作業になるため、接続先を間違うと電源が投入できないため注意が必要です。
フロントパネルコネクタのケーブルをマザーボードの対向先に装着します。
この時にやりにくい場合はピンセットなどがあると重宝します。
以上で配線完了です。サイドパネルの蓋を閉めます。
組み立て完成後の実際の写真は以下になります。
Mac風のアルミを基調としたシルバーカラーのPCケースです。
写真だと分かりにくいですが、Nintendo Switchを約2.5個分重ねた程度の高さでコンパクトな仕上がりです。
組み立て後の動作確認
OSインストールを行う前に正しく電源が投入できるかなどの動作確認を行います。
電源に電源ケーブルを装着します。また、LANケーブルやキーボード及び、マウスなど周辺機器も接続して準備を行います。
準備完了後、以下について正常性の確認を行います。
-
電源投入
- 電源ボタンを押して電源を投入し、BIOS画面が表示され、組み立てに問題ないことを確認
-
BIOS起動確認
- BIOS画面からCPU、メモリ、SSD、ファンなどが正しく認識されていることを確認
-
デバイス確認
- キーボード及びマウスの操作、ディスプレイの映像出力を確認し、インストール作業を行うにあたり問題ないことを確認
-
インストールディスクの確認
- USBなどのインストーラが正しく認識されていることを確認
以下はBIOSのメニュー画面です。CPUなどが正しく認識されていることが確認できます。
動作確認について問題ないことが確認できた場合、USBドライブを接続した状態でBIOSの設定変更を行います。
変更内容はBIOSのメニュー画面から起動シーケンス順について、インストールディスクとなるUSBドライブが一番上にくるように設定します。
その他、環境によってはUnified Extensible Firmware Interface(UEFI)のセキュアブートにより、ブートローダーが起動できない場合があります。本記事の場合は対応不要なため、特にBIOSのセキュアブートを無効にするといったような設定変更は行っていません。起動シーケンスの順番以外は全てデフォルト仕様のままです。
自作PCの難しいところはトラブルシューティングは自分で行うため、自分で問題を解決することが求められます。急いで早く組み立てて不具合を起こし、原因が分からず、結果困り果てて膨大な時間を消費するよりは、焦らずに間違いないよう組み立てるほうが建設的です。
OSインストール
上記、動作確認を行なって問題ない場合はOSインストールの作業を行います。
効率よく作業を行うためには後述するイメージのダウンロード及び、USB書き込みについては事前に準備しておくと作業が捗ります。
イメージのダウンロード
Bare MetalよりOSイメージをダウンロードします。
KaliのOSイメージは約3ヶ月毎に最新のイメージがリリースされています。
リリース履歴はKali Linux Release Historyより確認できます。
USB書き込み
公式のMaking a Kali Bootable USB Drive (macOS/OS X)を参照し、isoイメージの作成方法についてコンソールからdd
コマンドを使用するCUIの方法と、Etcherを使用するGUIの2つの方法が記載されています。
GUIで行うEtcherの方が直感的な操作ができるため、ディスクの書き込みが初めての場合はEtcherなどのGUIツールを使用したが方がリスクを低減できます。本記事ではMacのターミナルを起動して、dd
コマンドを使用してUSB書き込みを行なっています。
MacにUSBドライブを接続後、ターミナルを起動します。
ターミナル起動後、下記のコマンドを実行して/dev/disk
などのデバイスファイル名を確認します。以下は出力例です。
hoge@MacBook-Pro Downloads % diskutil list
/dev/disk0 (internal, physical):
#: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER
0: GUID_partition_scheme *251.0 GB disk0
1: EFI EFI 314.6 MB disk0s1
2: Apple_APFS Container disk1 250.7 GB disk0s2
/dev/disk1 (synthesized):
#: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER
0: APFS Container Scheme - +250.7 GB disk1
Physical Store disk0s2
1: APFS Volume Macintosh HD 15.2 GB disk1s1
2: APFS Snapshot com.apple.os.update-... 15.2 GB disk1s1s1
3: APFS Volume Macintosh HD - Data 189.1 GB disk1s2
4: APFS Volume Preboot 493.4 MB disk1s3
5: APFS Volume Recovery 1.1 GB disk1s4
6: APFS Volume VM 6.4 GB disk1s5
/dev/disk2 (external, physical):
#: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER
0: FDisk_partition_scheme *30.8 GB disk2
1: Windows_FAT_32 NO NAME 30.8 GB disk2s1
上記の場合、USBドライブは/dev/disk2
になります。
確認したUSBドライブのデバイスファイル名を指定してアンマウントします。
hoge@MacBook-Pro Downloads % diskutil unmountDisk /dev/disk2
Unmount of all volumes on disk2 was successful
dd
コマンドを実行し、オプションのif
にKaliのイメージを指定し、of
に書き込み先であるUSBドライブを指定します。
hoge@MacBook-Pro Downloads % sudo dd if=kali-linux-2022.2-installer-amd64.iso of=/dev/rdisk2 bs=4m
Password:
701+1 records in
701+1 records out
2944139264 bytes transferred in 102.806006 secs (28637814 bytes/sec)
上記のような出力結果が表示されたらUSB書き込みは正常終了しています。
Mac OSではストレージデバイスとしてブロックファイル (/dev/disk*) と、キャラクターデバイスファイル (/dev/rdisk*) の両方が存在します。/dev/rdisk
のキャラクターデバイスに対するイメージの書き込みは、/dev/disk
ブロックデバイスに比べると高速です。
OSのインストール
PCの電源投入後、以下のような画面が表示されるのでInstalling Kali Linuxを参考にしながらインストールを行います。本記事ではGraphical installを選択してインストールを行なっています。
・・・
以下の「インストールの完了」の画面が表示されていればインストール完了です。
OS再起動後、以下のようなログイン画面が表示されれば、OSが正しく起動できていることが確認できます。
ログイン後、Kaliのデスクトップ画面が表示されます。
おわりに
自作PCの最大の魅力は全て自分の思い通りに設計でき、組み立てたあとの達成感だと思います。
次回は組み立てた自作PCのKaliに対して、Ansibleを使用してVNCなど使用するツールを簡単にセットアップする方法について紹介します。