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VMwareからHyper-Vへ!~移行検証でわかった、失敗しないための注意点と学び~

Last updated at Posted at 2025-11-17

💁‍♀️ 前回記事

👉 VMwareからHyper-Vへ!~環境構築と結果の概要~ 👈

導入

前回記事の検証結果一覧で、「⚠️ 要注意」とした項目には、作業中に予想外の問題が発生したり、想定外の挙動が見られるケースが含まれていました。

本記事では、以下を整理しています。
:heavy_check_mark: 移行検証で実際に起きた問題や想定外の挙動を詳しく
:heavy_check_mark: 課題ごとの対応策

これから移行を検討している方にとって、事前に注意すべきポイントを把握し、学びを得られる内容になれば幸いです!

⛔事象1
「VMware Toolsがアンインストールできない」

発生状況

VMwareからHyper-Vへ移行後、Hyper-V上で起動したWindows仮想マシンにおいて、VMware Toolsのエラーが表示され、通常の手順ではアンインストールできない状態となりました。
ただし、この事象は必ず発生するわけではありません。正常にアンインストールできるケースも確認されており、環境依存の可能性が考えられます。

今回の検証環境では、例外的にクローンから作成したWindows Server 2019で正常に削除できましたが、明確な原因は特定できていません。


本事象は、以下に示すすべての構成条件下で発生しています。

  • 仮想マシンの起動設定の違い
    • VMware:起動オプションのファームウェア選択 → 「BIOS/UEFI」
    • Hyper-V:仮想マシン世代の選択 → 「第1世代(BIOS)/第2世代(UEFI)」
  • Hyper-Vのホットフィックスの有無

以下の環境要素の違いによる切り分けを行いましたが、発生状況は変わりませんでした。

  • VMware Toolsのバージョン変更
  • Veeamのバージョン変更

現状と対応方針

環境によって結果が異なるものの、原因は特定できていません。GUIからのアンインストールができない場合には、PowerShellなどによる強制削除が必要と判断しています。

⛔事象2
「IPアドレスの引き継ぎとネットワーク関連の事象」

発生状況

VMwareからHyper-Vへ移行後、Windows仮想マシンにおいて、以下のようなネットワーク関連の事象が確認されました。


📶NICの設定に関する問題

  • デフォルトゲートウェイが設定されていないNICのIPアドレスが初期化される
    • NIC1(ゲートウェイあり):ネットワーク設定が正常に引き継がれる
    • NIC2(ゲートウェイなし):ネットワーク設定が初期化される
  • 無効化していたNICが自動的に有効化され、DHCPで起動する

📛名前やプロトコルの変更

  • NICのアダプター名が初期状態に戻る(例:移行前「Public」→ 移行後「イーサネット1」)
  • IPv6が有効化される(移行前は無効設定)

👌正常に引き継がれた項目

  • MACアドレスは正常に引き継がれており、NICごとの識別は維持されている

この事象は以下の条件に関係なく発生しています。

  • Veeam Proxyの使用有無
  • バックアップサーバとVMゲスト間の接続状態

現状と対応方針

Veeamは、レジストリ上で最初に認識されるNICにIPアドレスを設定する仕様と推測されますが、詳細は不明です。

過去に使用されたNIC情報が残っているゴーストデバイス(OS上で非表示になっている古いデバイス情報)が影響する可能性もあり、複数NIC構成ではIP引き継ぎが不安定になる傾向があります。

また、Veeam以外の移行手段でも同様の現象が報告されており、ツール固有の問題ではない可能性があります。

今後は、大規模移行時の工数増加を避けるため、※ParentからWindows OSのIP設定を変更するスクリプトの作成など、自動化による対応を検討しています。

※「Parent」とは、Veeamのインスタントリカバリ機能で使用される一時的なホスト仮想マシンで、Hyper-V上で動作します。復元対象のディスクを一時的にマウントし、復元プロセスをサポートします。

ℹ️情報共有
「Linuxの移行における※Helper Appliancesの注意点」

※「Helper Appliances」とは、Veeamのインスタントリカバリ機能で使用される補助的な仮想マシンで、Linux仮想マシンの復元をサポートします。

Linux仮想マシンを移行する際、Helper Appliancesのネットワーク設定が適切でないと移行が失敗する可能性があります。
Helper Appliancesは、バックアップサーバーとマウントサーバー(Hyper-Vホスト)と通信可能なネットワーク上に配置する必要があります。

Veeamの公式ドキュメントにも以下のように明記されています。

Consider that the backup server and the mount server must have access to the helper appliance over the network.

詳細はVeeamの公式ドキュメント:Helper Appliancesの設定をご参照ください。

課題のまとめ

1️⃣ VMware ToolsのアンインストールはPowerShellによる削除が必要なことがある
2️⃣ IPアドレスの引き継ぎに制限があり、NIC構成によって初期化されることがある
3️⃣ IPv6やNICの状態が意図せず変化することがある

今後の対応方針

課題1
✔️PowerShellスクリプトを活用したVMware Toolsの強制削除手順を確立
課題2・3
✔️IP設定の自動化スクリプトを作成し、Parentから制御する運用を検討

おわりに

今回の検証を通じて、Hyper-V移行における思わぬ注意点が見えてきました。
特にネットワーク関連は構成によって挙動が変わり、IPアドレスの再設定など追加対応が必要になるケースもありました。
こうした点は、大規模移行時の工数増加や影響範囲の見積もりに直結する可能性があります。
すべての事象が完全に解決できたわけではありませんが、実際の移行に向けた検討材料としては十分な収穫がありました。

未解決の課題も含めて情報を共有することで、同様の移行を検討している方の参考になれば幸いです!

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