こんにちは。10分で生産的なミーティングができるWeb会議ツール「minmeeting」を開発している伊勢川です。
無駄な会議はエンジニアの敵。いろんな会議をハシゴして飛び回っていると、なんだかすごく仕事をしているような気になりますが、我々エンジニアは何かを創り出すのが本来の仕事で、いくら忙しく飛び回ったとしても、よい作品を世に出せなければ存在価値がありません。仕事をしているような気にさせて、創造の時間を奪う無駄な会議は、我々にとって非常に危険な存在であります。
そこで、無駄な会議・残念な会議を撲滅するために、すぐにできること、すぐやるべきことをまとめました。
会議の調整・スケジュール登録
定例を少しずつ減らす
定例は効果的に使えば決して無駄ではありませんが、単なるルーティンワークとして繰り返されているケースも多く、無駄の温床になりがちです。マンネリ化している場合、効果が見えない場合は、一度定例を少しずつ減らしてみましょう。減らしすぎて支障が出るくらいまでやってみるのがオススメです。
参加人数を減らす
例えば会社で70万円のモノを購入するとなった場合、市場価格を調べたり、コスト以上の成果が出せるかなど、きっちり検討をして、責任者の承認を得た上で購入すると思います。しかし、毎週1時間のチームミーティングを10人で半年実施すると、時給3000円換算で直接労働者に支払うコストだけで75万を超えますが、週1回の定例の場合に、モノを買う場合と同じくらい、きちんと費用対効果が評価されていないように思います。
会議は人数が増えると、発言者に偏りが生じて、一人ひとりに必要なことが伝わり腹落ちする確率が減ってしまいます。よって、費用面でも効果の面でも、参加人数は必要最小限にすべきで、念のためにあの人も呼んでおこうなどもってのほかです。
会議室・テレビ会議システムを予約しない
会議室を予約すると会議が長くなりがちです。また、テレビ会議は準備や機材トラブルで時間を浪費することが多いため、できる限り避けた方がよいでしょう。どうしても必要な場合は、skypeやapper.inのように、準備が簡単で、必要なときに、どこでもすぐ始められるWeb会議ツールを使ったほうが効率がよいです。
メールで会議調整をしない
メールでの会議調整は時間がかかるし、調整される側も突然訳も分からずに呼ばれると返信する気も失せるので、余計に時間がかかってしまいます。社内会議の場合は、オンラインスケジュールで参加者の空き時間に予定を入れた上で、参加者全員がいるチャットなどで、参加可否を問うのがよいでしょう。すると、そのチャットの中で一番えらい人以外は、正当な理由がないと延期や不参加が申し出にくくなります。
なお、スケジュール調整の前に対面か電話で直接言葉を交わしてみるとよいでしょう。すると、その人を会議に呼ぶべきか判断できますし、場合によっては会議をしなくても立ち話で問題が解決することもあります。
相手がお客様など社外の人の場合はオンラインスケジュールに直接登録できないことが多いですが、その場合もメールはあくまで補助手段で、電話で話をした方がよいです。大抵の場合、その場で調整が終わります。
偉い人への根回しは早朝か夜遅くか移動中を狙う
組織で仕事をする以上、各責任者や意思決定者に話を通さないと動きが取れないことも多々あります。しかし、そういった意思決定待ちによって組織の動きが鈍るのは非常に無駄なことです。かといって、そういう偉い人たちに会議に呼びまくって、偉い人たちの仕事の時間を奪うと、余計に決まるものも決まらなくなってしまいます。
単に話を通したいだけなら、数分あれば十分でわざわざ会議をセットする必要はありません。ただ、(単に偉そうな人たちではなく)本当に偉い人たちは、日中結構忙しいはずなので、数分でも捕まらないことが多くあります。その場合は、早朝か夜遅くか移動中を狙うと比較的つかまりやすいでしょう。これは営業マンや新聞記者などが昔からやっている方法なので、目新しくはありませんが、それなりの効果が保証されていると思います。
10分以上の会議は設定しない
最近実施した会議の議事録を見返して、アジェンダを抽出してください。そして、そのアジェンダを議論するのに最低限必要な時間を再見積もりしてみてください。すると、実時間よりも大幅に少ない見積もりになったのではないでしょうか。つまり、理論的にはその再見積もり時間まで会議を短縮することができます。
会議の性質や目的にもよりますが、多くの会議はきちんと準備をすれば10分以内に収めることができます。例えば、朝礼やふりかえりなどで、問題を共有することがありますが、そこで議論が盛り上がって時間を浪費することがよくあります。チームが大きくなると、その議論に参加できる人も限られており、その他の人にとっては全く無駄な時間になります。課題は共有してもよいですが、一緒に問題解決ができそうな人を見つけたら、後でその人たちだけで議論すべきでしょう。
さらに理想を言えば、朝会やふりかえりの時間まで問題を持ち越すのは無駄で、問題が起きた時点で、すぐに共有して、必要な人を集めて解決をすべきです。
このように、すぐに細かい単位で最小限の人で問題を解決していけば、それぞれの会議で10分以上かかることも少なくなるでしょう。
ただし、あまり細々処理しすぎるとオーバーヘッドが大きくなることもあります。オンライン処理に向いているのか、バッチ処理に向いているのかを、リーダーなどの相談を受ける側の人が即座に判断して、後者の場合は、ヒマができたときにまとめて処理すると効率がよいでしょう。
判断が必要な会議は13時〜15時を狙う
『時間の使い方を科学する』という本(参考資料1)によると、思考が必要な作業は10時〜14時、記憶が必要な作業は16時〜20時が適しているそうです。判断が必要な会議は思考重視のため、早い時間帯の方がよさそうですが、エンジニアの場合、思考が活発になる午前中は設計や生産などに充てるべきです。そのため、お昼を食べてちょっと眠くなる13時から15時あたりに、気分転換を兼ねて、お茶でも飲みながら会議をするのが狙い目です。
共有会議はなるべく避け、どうしても必要なら夕方定時前にする
単に情報を共有するだけの会議であれば、動画をとって参加者にばらまくのと大差がないので、やめた方がよいです。
ただ、どうしても直接伝えたいこともあり、共有会議が必要な場合は、最も生産的であるべき午前や日中の時間帯は避けて、記憶に定着のしやすい夕方の時間帯を狙うのがよいでしょう。
アイディア出しなどの発散はチャットツールなどを用いて非同期で行う
アイディア出しのミーティングを一堂に会して行うと、盛り上がってあっという間に1時間、2時間と経過してしまいます。それ自体は悪いことではありませんが、アイディアは実現しなければ何の価値もないため、エンジニアとしては、実現に時間を使いたいところです。
アイディアは会議室では生まれないとよく言われることですが、たしかに面白いアイディアは会議をしているときよりも、昼食を食べているときや寝る前など別のことをしているときが多いような気がします。参考資料2の記事によると、まず困難な問題に本腰を入れてしばらく取り組み、生産性の低下やストレスの低下を感じ始めた後に、切り替えて休憩をしてリラックスをすると、創造的なアイディアや問題解決の方法がひらめく「ブレークアウト」(ゾーン)の状態になるそうです。つまり、会議室だけでは、よいアイディアを取りこぼしている可能性が高いということです。
また、対面でアイディア出しをすると、会話の流れによっては、発散がしきらず、部分的な議論のみに終始することがよくあります。相手が話している間に新しいアイディアを出すことができないので、アイディア出しのスピードの面でも対面はあまりよくないというデータもあります(参考資料3)。
そのため、アイディア出しの発散は、ある程度期間をとって、チャットツールなどを使って、非同期で十分発散してアイディアが出た上で、対面のミーティングを行うとよいでしょう。
雑談やアジェンダレスで話がしたい場合はランチミーティングかティータイムをセットする
アジェンダを決めて、きっちりと時間管理をしたミーティングばかりを行っていると、脱線しづらくなり、計画外のテーマについては議論がされにくくなるというデメリットがあります。そんな際には、たまにランチミーティングやティータイムをセットして、ゆっくりと雑談してみてもよいでしょう。
自分のToDoはこまめにスケジュールに登録しておくことで、無駄な会議が勝手に登録されるのを防ぐ
少し観点が変わりますが、自分のToDoリストはオンラインスケジュールに登録しておくとよいです。今自分が何をしているのか、チームや社内の人に共有できるのと同時に、無駄な会議が勝手に登録されるのを牽制できます。(それでも勝手にスケジュールを入れてくる人はまだいますが、多くの人は空気を読んでくれます。)
会議の準備
Web会議を行う場合は10分前につなぐルールとする
Web会議はよく接続のトラブルが発生し、よく遅れるというのは、多くの人が経験していることでしょう。IDG Research社の調査によると、オンライン会議ツールを使っている人の56%は接続で技術的な問題を経験しており、オーバム社の調査によると、会議が遅れるときの遅延時間の平均は10分だそうです(参考資料4)。
それならば、Web会議のトラブルと遅延は見越して、会議開始の10分前には接続をして準備をしておくとよいでしょう。
スタンディングミーティングにする
立ち会議にすると、ダラダラと長時間はやってられないので、会議を短くするのに効果的です。また、動き回りやすいため、議論が活発になるという効果もあります。
アジェンダは事前に参加者に共有し、過不足がないようにしておく
アジェンダを決めておくだけでも、会議が脱線してなかなか前に進まないという状態を避けることができます。アジェンダは会議の内容や流れを決める重要なことなので、事前に参加者に共有して、過不足がない状態にしておきましょう。「そもそもの目的はなんだっけ」と言わせない準備が必要です。
アジェンダごとの予定時間を決めておき、会議の終了予定時間を定める
アジェンダを準備する際は、予定時間も定めておきましょう。それにより、今会議が遅れているのか進んでいるのかが明確になり、時間管理ができるようになります。
資料を作り込みすぎない
会議用の資料はアジェンダのメモ書き程度で十分で、説明資料づくりにあまり時間を費やしすぎないようにしましょう。
会議の進行
目的とアジェンダを掲げる
会議の目的と事前に準備したアジェンダは、口で説明するだけでなく、できれば全員が見える場所に掲げてください。それにより、参加者全員が、目的に向かって、今何をすべきかが明確になり、余計な脱線を防ぎ、動きやすくなります。
アジェンダごとに時間を測る
前述の通り、アジェンダごとに予定時間を定めたら、会議を進める際は、アジェンダ別に時間を計測しましょう。計測をすることで、計画との差異が明確になり、予定通りに進めようとする圧力が加わります。ダラダラと話さず、急いで発言することによって、議論がいつもより活性化されます。
役職に関係なく司会とタイムキーパーと書記を決める
誰も仕切らず、ダラダラと進む会議は時間もかかり、非生産的です。司会とタイムキーパーを決めるだけで、ずっとましになります。人によるうまい下手はありますが、アナーキーよりはましです。また、書記を定めてディスカッションの流れを可視化しましょう。
ホワイトボードか大きなディスプレイを用いる
会議を脱線させずに、今の議題に集中してもらうためには、全員で一つのホワイトボードを見るのがよいです。画面共有のツールを使ってもよいですが、その場合も各拠点で一つの大きなディスプレイを見るようにして、各人がバラバラに自分のPCを見ることがないようにしましょう。皆が違う方向を見ながら会議をすると、盛り上がりと集中を欠く会議になりがちです。
ムダ話が長い人には注意をする
ここまでやっても、無駄話をしてしまう人はまだいます。そういう人には、今はその話をすべきではないと、はっきりと注意をしましょう。
発言がない人には質問をする。それでも何も出なければ会議から外す
会議中に地蔵のように押し黙っている人がいますが、同意しており発言する必要がないから黙っているのか、関心がないから黙っているのかを区別するために、司会は質問を投げかけましょう。関心がない場合は、居てもムダなので、すぐに会議から出ていってもらいましょう。
会議の事後処理
決定事項やTODOは必ず書き留めて参加者に共有する
会議だけして、その後行動に起こさなければ意味がありません。決定事項やTODOは必ず書き留めて、参加者に共有し、やるべきことが実施されるまできっちりフォローしましょう。
きれいな議事録はとらない
会議中にごちゃごちゃと書いたホワイトボードのメモでも、次に見たときに、すぐに内容を思い出すことができます。他方で、きれいにまとめられた議事録を読んでも、前回の議論の内容を思い出すのに時間がかかってしまいます。次回の会議の際に、内容を思い出すのが目的であれば、ホワイトボードを写真にとって保存しておくだけで十分で、きれいな議事録は不要です。
会議のコストを算出する
会議にかかるコストを算出して、見える化しましょう。それだけで無駄な会議を減らす圧力になります。主なコストは人件費ですが、テレビ会議システムの費用や、都心の場合は不動産費もそれなりの額になります。また、顧客にサービスを提供した場合の客単価で計算すると、逸失利益も算出できます。
会議の成果を評価し、成果が出なければやり方を変えるかやめる
会議が終わったらやりっぱなしではなく、次に向けてきちんと成果を評価し、より高い成果を生み出すためにどのような改善ができるかをきっちり考えましょう。成果がコストを上回らないなら、抜本的にやり方を変えるか、いっそのことやめてしまうか、早めに判断する必要があります。
その他
創造的な会議を行うためには
「創造性 ✕ 会議の科学」という連載をnoteに書いています。
全文無料ですので、ご興味があれば、ご覧ください。
https://note.com/minmeeting/m/mfb4d78375a7a
この記事をさりげなく上司やチームメンバーにシェアする
最後に、この記事を上司やチームメンバーが目にしそうなSNSや社内のチャットツールなどでさりげなくシェアしておくと、わざわざ説得して回らなくても、徐々に無駄な会議を減らそうという意識が浸透していくのではないでしょうか。お後がよろしいようで。
minmeetingのご案内
「それを使えば上記のようなことを特に意識しなくても自然とできるようになる」という状態を目指して、minmeetingの開発を進めています。googleやgithubのアカウントがあれば、無料で使えます。ミーティングの生産性に課題意識をお持ちの場合は、ぜひお試しください。
minmeeting
参考資料
- 一川誠、『「時間の使い方」を科学する 思考は10時から14時、記憶は16時から20時』、2016/07/29、PHP新書。
- ハーバート・ベンソン、『ストレスの効果を最大限に生かす ブレークアウト原則の科学』、December 2006 Diamond Harvard Business Review。
- 「ブレスト」のアイデア出しは、実は効率が悪い!
- ダグ・ディビトリー、『デジタル対面営業 画面を共有する新しいセールス方法』、2017/02/10、DIRECT PUBLISHING。
関連記事
-
【会議効率化事例】会議時間が42.7%減、うち定例は68.8%減 90日の取り組みを紹介
- 上記の取り組みを実際にやってみた効果について、具体的な数字とともに紹介しています。