Agora Japan
Voice AIエージェント開発では、単純にAIモデルを選択するだけではなく、多くの設定や検証が必要になります。
例えば、
- 音声認識モデル(ASR)
- 大規模言語モデル(LLM)
- 音声合成モデル(TTS)
- 会話フロー設計
- 外部ツール連携
- 電話システムとの統合
などです。
これまで開発者は、これらの設定を手動で行いながら、何度もテストと調整を繰り返す必要がありました。
今回Agoraは、この開発体験を大きく改善する新しい Agora Console をリリースしました。
最大の特徴は、Console内に統合されたAIアシスタント 「Concierge」 です。
自然言語で依頼するだけで、AIエージェントの作成や変更をサポートします。
例えば、
「予約リマインダー用のAIエージェントを作成して」
と入力すると、Conciergeは最適なテンプレート、ASR、LLM、TTSモデルを提案し、その理由まで説明します。
もちろん、ユーザーが承認するまで変更は適用されません。
今回のアップデートでできること
新しいAgora Consoleでは、以下のような開発フローを実現できます。
| 従来の開発フロー | 新しいAgora Console |
|---|---|
| 複数ツールを行き来する | Console内で完結 |
| モデルを手動選択 | AIが最適構成を提案 |
| 作成後に別環境でテスト | Live Previewですぐ確認 |
| 設定変更を個別管理 | Version Historyで管理 |
| 手動でAgent構築 | 自然言語で作成可能 |
Conciergeとは?
ConciergeはAgora Consoleに組み込まれたAIアシスタントです。
開発者は自然言語で以下のような指示を出せます。
Create an appointment reminder agent
または、
顧客へ予約確認の電話をするAIエージェントを作成して
Conciergeは現在のプロジェクト情報を理解した上で、以下を提案します。
- 作成するAgent
- 利用するプロジェクト
- 推奨テンプレート
- ASRモデル
- LLMモデル
- TTSモデル
- 設定理由
安全な確認フロー
AIが自動的に設定を変更するわけではありません。
Conciergeは必ず Proposal(提案) を表示します。
提案には以下の情報が含まれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Agent | 作成・変更対象 |
| Project | 配置先プロジェクト |
| Template | 推奨テンプレート |
| Runtime | ASR / LLM / TTS構成 |
| Reason | なぜその構成なのか |
ユーザーは以下から選択できます。
| Action | 内容 |
|---|---|
| Create agent | 新しいAgentを作成 |
| Modify | 既存Agentを変更 |
| Reject | 提案を拒否 |
承認後にのみ変更が適用されます。
作成したAgentは同じEditorで管理可能
新しいConsoleでは、Agentの作成方法に関係なく、すべて同じEditorで管理できます。
対象:
- Conciergeで作成したAgent
- テンプレートから作成したAgent
- Blank状態から作成したAgent
すべて同じ環境で編集できます。
Voice AIモデル構成を柔軟に変更
Agentでは用途に合わせて複数の構成を選択できます。
Cascaded Pipeline
一般的な構成:
ユーザー音声
↓
ASR(音声認識)
↓
LLM(AI推論)
↓
TTS(音声生成)
↓
AI音声回答
または、
Realtime Multimodal Model
リアルタイムマルチモーダルモデルによる処理も利用できます。
さらに、
- Agora標準モデル
- 外部AIプロバイダー
- 独自Endpoint
なども設定可能です。
実際の通話品質を改善するAdvanced設定
Voice AIでは、実際の利用環境で発生する問題への対応が重要です。
新しいConsoleでは以下の調整が可能です。
- 発話検知(Turn Detection)
- 音声開始・終了タイミング
- ノイズ環境でのAttention制御
- Filler Words(応答待機中の自然な間)
これらの機能はAgoraのリアルタイム音声処理技術を活用しています。
RAG・Tools・MCP Serverとの連携
高度なAI Agent開発にも対応しています。
利用可能な機能:
- RAG Knowledge Base
- HTTP Tools
- Connectors
- MCP Servers
例えば、
- 顧客データ検索
- 予約システム連携
- CRM情報取得
- 外部API実行
など、業務システムと連携したAgentを構築できます。
また、Agentごとに利用可能なToolを制限するAllowlist機能も利用できます。
Live Previewで公開前にリアルな通話テスト
新しいConsoleでは、公開前のAgentへ実際に電話して確認できます。
開発フロー:
Agent作成
↓
Live Previewで通話
↓
設定変更
↓
再テスト
↓
Publish
実際の音声を聞きながら改善できるため、開発サイクルを短縮できます。
DraftとLive Version管理
Agentには2つの状態があります。
| Status | 内容 |
|---|---|
| Draft | 開発・テスト中 |
| Live | 公開済み |
さらにVersion Historyによって、
- 過去バージョン確認
- 以前の設定へ復元
- 安全なデプロイ
が可能です。
電話システムへの展開
Agent公開後はDeploy機能から電話システムへ接続できます。
対応例:
- Inbound Call
- Outbound Campaign
例えば予約リマインダーAgentでは、
- 電話番号設定
- 発信対象リスト設定
- CSVによる動的変数設定
を行い、自動発信システムを構築できます。
Console UIも改善
今回のアップデートでは、機能だけではなく利用体験も改善されています。
改善内容:
- Light / Dark Theme対応
- WAI-ARIA対応
- キーボード操作改善
- Screen Reader対応
また、プロジェクト管理画面では以下を一元管理できます。
- App ID
- Credentials
- Usage
- Webhooks
- Cloud Recording
- Real-Time Speech-to-Text
- Media Gateway
- Signaling
5分で試すQuick Start
必要なもの:
- Agoraアカウント
- 1つ以上のAgora Project
手順:
1. Agora Consoleへログイン
2. Conciergeを開く
3. Agent作成を依頼
例:
create an appointment reminder agent
4. Proposalを確認してApprove
5. Live Previewで通話テスト
6. 調整後Publish
7. Deployから電話番号を設定
これだけでVoice AI Agent開発の基本フローを体験できます。
まとめ
新しいAgora Consoleは、Voice AIエージェント開発をより高速で簡単にするための大きなアップデートです。
AIアシスタント「Concierge」により、
- Agent作成
- モデル選択
- 設定変更
- テスト
- デプロイ
までの開発サイクルを大幅に短縮できます。
これからのAI開発では、
「コードを書く」
だけではなく、
「AIと会話しながらシステムを構築する」
時代へ進んでいきます。
Agora Consoleは、その新しいVoice AI開発体験を提供します。
参考リンク
- Agora Conversational AI Engine
- Agora Console Documentation
著者プロフィール
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