環境
以下の環境で確認しました
- macOS 15.4.1 (Sequoia), Apple M3 Pro
- Xcode 16.3, Build version 16E140
- ターミナルからHomebrewをインストールしてある
- ターミナルから
xcode-select --install
でCommand Line Toolsをインストールしてある(必要)
Note
2025年4月29日にpmemd24とambertools25がリリースされました( http://ambermd.org/GetAmber.php)。
重要なこととして、これまでのインストール方法から大きく変化しています。これまではAMBERとAmberToolsが、別のファイルとしてダウンロードしてくるとはいえ、展開したときのディレクトリ名がamberXX
と同じ名前になっていましたが、今回からはpmemd24.tar.bz2
とambertoosl25.tar.bz2
をそれぞれ展開すると
- 高速なMDシミュレーションを実行するパッケージは
pmemd24_src
- 解析ツール群の
ambertools25_src
に分かれました。インストール方法はほぼ共通です。
macOSへのインストール方法
ambertools25
公式からソースコードのpmemd24.tar.bz2
とambertoosl25.tar.bz2
を入手していることが前提です。
以下の処理を先にしておく必要があります。
-
XcodeとXcode command line developer toolsをインストールしておく。XcodeはApp storeからダウンロードします。Xcode command line developer toolsはターミナルから
xcode-select --install
を入力し、その後指示に従います。さらにターミナルからsudo xcodebuild -license accept
も追加で入力が必要
以下インストール手順です。
- 2025年5月4日更新。gcc-14でもMPIが動作する
- 最新のcmake 4.0が入っている状態では
-DCMAKE_POLICY_VERSION_MINIMUM=3.5
を追加する
# macOSのHomebrewで必要なソフトウェアをインストールしておく。
brew install cmake gcc wget open-mpi
# ダウンロードしてきたソースコードをtar jxvfで解凍する
tar jxvf ambertools25.tar.bz2
cd ambertools25_src
# updateを実行する
./update_amber --update
# cmake用のbuildディレクトリに入る
cd build
###############################
# ここが最重要の設定。-DCMAKE_INSTALL_PREFIXにインストール先ディレクトリを指定する
# 下の例はホームディレクトリ以下のapps/amber24にインストールする設定。
# MPIはTRUEでも動作する。
# 基本的にはbuild/run_cmakeの中に書かれているとおりに実行すれば良いが、最新のcmake 4.0が入っている状態では`-DCMAKE_POLICY_VERSION_MINIMUM=3.5`を追加することだけ必要。
###############################
AMBER_PREFIX=$(dirname $(dirname `pwd`))
cmake $AMBER_PREFIX/ambertools25_src \
-DCMAKE_INSTALL_PREFIX=$AMBER_PREFIX/ambertools25 \
-DCOMPILER=CLANG -DBLA_VENDOR=Apple \
-DMPI=TRUE -DCUDA=FALSE -DINSTALL_TESTS=TRUE \
-DDOWNLOAD_MINICONDA=TRUE \
-DFORCE_DISABLE_LIBS="boost" \
-DCMAKE_POLICY_VERSION_MINIMUM=3.5 \
2>&1 | tee cmake.log
ここで設定ミスによってconfigure incompleteになってしまった場合は、build
ディレクトリの中で./clean_build
を実行し、設定を初期化してから改めてやり直したほうが良いです。
コンパイラ設定も確認してみます。
-- Compilers:
-- The C compiler identification is AppleClang 17.0.0.17000013
-- The CXX compiler identification is AppleClang 17.0.0.17000013
-- The Fortran compiler identification is GNU 14.2.0
Configureが正常終了していることを確認したらmakeとインストールを実行します。
# Configureが正常終了していることを確認したらmakeとインストールを実行する
make -j8 install
インストールが終わったら、AMBERのプログラムコマンドをいつでも使えるようにするために、~/.bash_profile
(echo $SHELL
と打ってみて最後がbash
の場合)または~/.zshrc
(echo $SHELL
と打ってみて最後がzsh
の場合。macOS Catalinaを使っているヒトはzshがデフォルトになっているはず)のどちらかのファイルに(なければ作成する)、以下のように書き込みます。
# for ambertools25
test -f ${HOME}/apps/ambertools25/amber.sh && source ${HOME}/apps/ambertools25/amber.sh
これでターミナルの起動時にambertools25のコマンドがいつでも使えるようになっているはずです。ターミナルを再起動してみたときにecho $AMBERHOME
と打ってみてAMBERをインストールしたパス(/Users/username/apps/ambertools25
みたいな感じ)が表示されれば成功です。
$ echo $AMBERHOME
/Users/moriwaki/apps/ambertools25
$ which cpptraj
/Users/moriwaki/apps/ambertools25/bin/cpptraj
pmemd24
上記のambertools25とほぼ同じです。
# macOSのHomebrewで必要なソフトウェアをインストールしておく。
brew install cmake gcc wget open-mpi
# ダウンロードしてきたソースコードをtar jxvfで解凍する
tar jxvf pmemd24.tar.bz2
cd pmemd24_src
# updateを実行する
./update_amber --update
# cmake用のbuildディレクトリに入る
cd build
# run_cmakeファイルの中のやり方に、-DCMAKE_POLICY_VERSION_MINIMUM=3.5を追加。
cmake $AMBER_PREFIX/pmemd24_src
-DCMAKE_INSTALL_PREFIX=$AMBER_PREFIX/pmemd24 \
-DCOMPILER=CLANG -DBLA_VENDOR=Apple \
-DMPI=TRUE -DCUDA=FALSE -DINSTALL_TESTS=TRUE \
-DDOWNLOAD_MINICONDA=FALSE -DBUILD_PYTHON=FALSE \
-DBUILD_PERL=FALSE -DBUILD_GUI=FALSE \
-DPMEMD_ONLY=TRUE -DCHECK_UPDATES=FALSE \
-DCMAKE_POLICY_VERSION_MINIMUM=3.5 \
2>&1 | tee cmake.log
# Configureが正常終了していることを確認したらmakeとインストールを実行する
make -j8 install
# for pmemd24
test -f ${HOME}/apps/pmemd24/amber.sh && source ${HOME}/apps/pmemd24/amber.sh
Ubuntu 22.04の場合
2025年5月4日現在、古い情報のままです。
apt
で依存パッケージを入れます。
sudo apt -y update
sudo apt -y install tcsh make cmake gcc gfortran flex bison patch bc xorg-dev libbz2-dev wget
以下、cmake
インストール時に確認することです。
- インストール先は
-DCMAKE_INSTALL_PREFIX=<path>
で設定する。 - GCCはUbuntu 22.04のデフォルトであるversion 11.4.0を使用し、
-DCOMPILER=GNU
でGNU Compilerによるコンパイルを指定する。 - OpenMPIを利用する場合は、この記事などを参考にして
apt
またはソースコードからのインストールを行っておき、PATHが通った状態で-DMPI=TRUE
を設定する。 -
CUDAを使ったMDシミュレーションは最大10倍近く高速なので、
apt
などであらかじめ入れておき、-DBUILD_CUDA=TRUE
とする。CUDAのバージョンは12.4(AMBER24の場合)までは対応している。 -
QUICKというQM/MMのバッケージを利用するために、
-DBUILD_QUICK=TRUE
とする。 - マルチGPU環境でのNCCLを利用した計算を有効化する場合は、環境変数
NCCL_HOME
をncclのインストール場所に設定し、-DNCCL=TRUE
にする(下の例ではFALSEにしてある)。
tar jxvf AmberTools24.tar.bz2 ; tar jxvf Amber24.tar.bz2
cd amber24_src
# updateを実行する
./update_amber --update
# cmake用のbuildディレクトリに入る
cd build
# ここからcmake処理
AMBER_PREFIX=$(dirname $(dirname `pwd`))
# もしNCCLを有効化したいときは環境変数NCCL_HOMEを設定し、-DNCCL=TRUEにする。
# export NCCL_HOME="/path/to/apps/nccl/2.7.3"
cmake $AMBER_PREFIX/amber24_src \
-DCMAKE_INSTALL_PREFIX=${HOME}/apps/amber24 \
-DCOMPILER=GNU -DMPI=TRUE -DOPENMP=TRUE -DBUILD_GUI=FALSE -DCUDA=TRUE \
-DBUILD_QUICK=TRUE -DINSTALL_TESTS=TRUE -DNCCL=FALSE \
-DDOWNLOAD_MINICONDA=TRUE 2>&1 | tee cmake.log
# Configureが正常終了していることを確認したらmakeとインストールを実行する
make -j8 install