私は数ヶ月にわたって Cursor のエージェントをヘビーユーザーとして使ってきました。実際、毎週何千人もの開発者が参照する Cursor のヒント記事も書きました。
その後、Claude Code が登場し、それが自分の常用ツールになりました。
そして今、また常用が変わりました。望んでいたわけではありませんが、その理由を説明します。
以下ではエージェント群、機能、価格、UX を比較します。
エージェントの違い(収束傾向)
これらのプロダクトはどんどん似てきています。Cursor の最新エージェントは Claude Code の最新エージェントにかなり近く、さらに Codex のエージェントとも似ています。
歴史的に見ると Cursor が多くの基礎を作り、Claude Code が改善を加え、Cursor は to-do リストや差分フォーマットの改善など有用な要素を取り入れ、Codex も多くを採用しました。
Codex は Claude Code と非常に似ているため、正直に言うと学習データに Claude Code の出力が使われているのではないかと疑うこともあります。
小さな挙動の違いに気づいた点
- Codex は reasoning(推論)に時間をかける傾向があり、しかし画面に出てくるトークンの表示速度は速く感じます。
- Claude Code は短めの推論で済ませることが多く、可視化されるトークン出力はやや遅めに感じます。
- Cursor 内でモデルを切り替えると同様の感覚の違いが出ます。GPT-5 は長めに推論し、Sonnet は推論よりも早くコードを吐き出す傾向があります(Opus を使うと出力がやや遅く感じることがある)。
最終的に、どのエージェントも概ね同等です。好みで Cursor や Claude Code、Codex を選ぶのはまったく妥当だと思います。個人的には Codex か Claude Code にやや傾いています。理由はツールを作っている会社自体がモデルを訓練していて、エンドツーエンドの最適化ができているように見えるからです。💡
勝者:引き分け
モデルと推論コントロール
私は GPT-5(Codex での実装)がかなり気に入っています。タスクの種類によってどの程度推論すべきかを以前より上手く判断するようになりました。基本タスクで過剰に推論されるのはイライラするので、適切な推論量が選べるのは重要です。
Codex は「low / medium / high / minimal」といった推論レベルを選べるため、超高速実行が必要な場面で便利です。Claude Code は選択肢が少なく、Cursor は理論上は選択肢が多いものの、実務では選択肢が多すぎて迷うことがあります。
同じ会社がツールを開発しモデルも訓練している点は、運用面やコスト面でのメリット(中間マージンがない、最適化がしやすい)につながります。実際、Builder.io のユーザー感情を GPT-5, GPT-5 Mini, Claude Sonnet で比較したところ、平均で GPT-5 の評価が約 40% 高かったという結果もありました(詳細統計は省略します)。
とはいえ、人によって好みは分かれるので、ここも実質的には引き分けです。🚀
勝者:引き分け
価格と実用的な制限
全体として、Codex は ChatGPT 系の標準プラン構成、Claude Code は Claude 系の標準プラン構成に沿っています。表面的な価格帯は似ており、free、約 $20 程度の層、$100〜$200 の高額層といった形です。
重要なのは、内部的に GPT-5 が Claude Sonnet や特に Opus よりも効率的である点です。品質は多くの事例や公開ベンチマークでは概ね互角に感じますが、GPT-5 は Sonnet の約半分、Opus の約十分の一程度のコストで済むケースがあり、結果として Codex はより多くの利用量を安く提供できます。実運用での実感としても Codex の方が寛容なクォータ設定に見えます。
多くのユーザーは $20 の Codex プランで問題なく運用できますが、Claude の $17 プランではすぐに上限に達するケースが多く見られます。Claude の $100 / $200 プランでもヘビーユーザーはまだ天井に当たることがあります。Codex Pro だと利用者が制限に当たる報告をほとんど聞きません。
また、これらは単なる「コーディング用プラン」ではありません。ChatGPT や Claude Chat が含まれ、ChatGPT では画像生成や動画生成モデル、デスクトップアプリなどより洗練された製品群が付随する点も考慮すべきです。Claude のデスクトップアプリは基本的な Electron 包装のように感じられることがあり、一方で Claude は多くのワンクリック連携(MCP など)が充実しています。日常的には私は ChatGPT 系を多く使っています。
コーディングエージェントで最もよく聞く不満が「クレジット切れ」なので、その点で Codex は大きなアドバンテージがあります。⚠️
勝者:Codex
UX と権限管理
- Codex は git 管理されたリポジトリを認識し、デフォルトで許容的(permissive)です。扱いやすい。
- Claude Code の権限システムは煩わしく感じることがあり、私は頻繁に --dangerously-skip-permissions のようなフラグを使って起動してしまうことがありました(ワークフロー摩擦が高く、設定が永続しないことがあるため)。
- Terminal UI はどちらも実用的ですが、Claude Code の方が UI が洗練されていて権限管理も細かくコントロールできます。
総合すると僅差ですが、権限周りの細かさや成熟度では Claude Code に軍配を上げます。🔐
勝者:Claude Code
機能(私が考えていたより重要性が違った項目)
Claude Code はサブエージェントやカスタムフック、豊富な設定など機能が多彩です。多機能を求めるなら Claude が勝ちます。Cursor も機能が充実していますが、Codex は比較的シンプルです。
ただし、Codex の長所はオープンソースである点です。カスタマイズや学習用に自由に扱えるのは大きな利点です。
率直に言うと、私が学んだことは「機能の多さそのものにはそれほど価値を感じない」ことです。重要なのは良いエージェント、明確なプロンプト(instructions file)、そして信頼できるアウトプットです。多機能は便利ですが、それが無くても良い体験が得られるかが重要です。💡
それでも、豊富な追加機能が欲しい人には Claude が最適です。
勝者:Claude Code
指示ファイル: Agents.md 対 Claude.md
私は良い Agents.md を書くための解説を別に用意しています。ここで不満に感じるのは Claude Code が Agents.md 標準をサポートせず、独自の Claude.md のみをサポートしている点です。
Cursor、Codex、Builder.io などは Agents.md をサポートしており、プロジェクト間で標準ファイルを共通化できるのは運用上助かります。Claude のためだけに別ファイルを維持するのは煩雑です。
勝者:Codex
最大の差分:GitHub 統合
ここが私が Codex を好む大きな理由です。🔧
Claude Code の GitHub 統合を試したことがありますが、Builder.io の開発チームの評価は低めでした。レビューは冗長で、明らかなバグを見逃しがちで、コメントをして修正を依頼するフローも使い勝手が良くありませんでした。結果として価値が十分に出ない印象です。
一方、Codex の GitHub アプリはかなり良好です。リポジトリにインストールして自動コードレビューを有効にすると、本当に見つけにくい実際のバグを指摘してくれます。インラインでコメントし、修正を依頼でき、バックグラウンドで動作して PR 上でレビュー・更新・マージまでの流れがスムーズです。
重要なのは CLI と GitHub UI の挙動が一貫している点です。CLI で有効なプロンプトは GitHub 上でも同じように機能し、モデル・設定・振る舞いが揃っていることが実運用で大きな価値を生みます。
Cursor の Bugbot も優れたバグ検出能力と「ウェブで直す / Cursor で直す」といった実用的な修正パスを提供しており、どちらを選んでも大きく間違うことはありません。それでも価格、モデル統合、一貫性の点で私は Codex を推します。
勝者:Codex
我々の Codex の使い方
最近、Builder.io に Codex を統合しました。これにより、2 つの選択肢に共通していた「実用的な UI が弱い」という不満点を解消しました。AI を使ってビジュアルを反復する必要がある場合、非開発者もすばやく操作できるようになり、デザイナーや PM もループに入れられます。
2025年11月時点では、私はハンドオフのプロセスが好きではありません。デザイナーが Builder.io に入り、Codex を使って Figma ライクなビジュアルエディタ上でプロンプトを通じてサイトやアプリを更新します。準備ができたら PR を送り、開発チームがレビューしてマージします。
良い点は、全員が同じ基盤とコードベース、同じモデルと Agents.md に基づいて作業できる点です。デザイナー、PM、エンジニアの間で認識の齟齬が少なくなります。
追加の考慮事項:プライバシー・セキュリティ・スケーリング
- データ保持とログ:どのサービスでも「ソースコードや内部データがどのくらい保持されるか」「モデル訓練にフィードバックされるか」は重要です。企業用途ではオンプレミスや専用インスタンス、データ無効化ポリシーを確認してください。
- 監査とログ:自動レビューや自動コミットを採用する場合、誰が何をしたのかが追跡できる監査ログが必須です。
- レイテンシとスケール:大規模 CI/CD パイプラインで利用する場合、スループットと遅延、同時実行上限を必ずテストしてください。
- セーフガード:権限を緩めると便利ですが、誤操作で大きな影響が出ることがあるため、ロールベースアクセスや承認フローを併用してください。⚠️
これらは運用でよく見落とされるポイントなので導入前にチェックリスト化すると良いです。
短い比較表(要点まとめ)
| 項目 | Codex | Claude Code | Cursor |
|---|---|---|---|
| モデル効率 | 高い(GPT-5)🚀 | 良好(Sonnet, Opus など) | 選択肢多め |
| 価格感 | 寛容($20 プランで使いやすい) | クォータが厳しめ | 中程度 |
| GitHub 統合 | 非常に優れている 🔧 | 改善の余地あり | Bugbot が強い |
| 権限 / UX | シンプルで permissive | 細かい制御が可能(成熟)🔐 | 多機能だが複雑 |
| 機能性 | シンプル/オープンソース | 多機能(フック等) | 多機能だが煩雑 |
結論
私の個人的な現時点(2025年11月)の勝者は Codex です。日常的に使っており、GitHub 統合、価格と制限、モデルオプション、CLI との一貫性が特に気に入っています。
とはいえ、最近の各ツールはどれも十分に成熟しており、Claude Code や Cursor を選んでも大きな間違いではありません。用途や好みに応じて選べばよく、チームのワークフローや優先事項(価格、GitHub 統合、機能の多さ、権限管理の細かさ)に基づいて決めるのが最適です。
あなたは Codex の CLI、background agents、PR bot を試しましたか?どんな結果になりましたか?経験やコツがあればぜひ共有してください。📝